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Channel: アートテラー・とに~の【ここにしかない美術室】
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private, private−わたしをひらくコレクション

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4月にリニューアルしていたのは、森美術館六本木ヒルズ展望台 東京シティビューだけに非ず。
実は、ひそかに (?) 埼玉県立近代美術館も、
2年間にわたる改修工事を終えて、4月にリニューアルオープンしていました。

埼玉


見た目は、そんなに変わっていない気がしますが、
空調や照明、収蔵庫が大規模に改修されたようです。
また、外壁タイルも改修されたとのこと。
そう言われてみれば、建物が少し若返ったような気もします。


さて、そんな埼玉県立近代美術館のリニューアルオープンを飾るのが、

プライベート
(注:館内の写真撮影は、特別に許可を頂いております)


“private, private-わたしをひらくコレクション”
公立 (=パブリック) の埼玉県立近代美術館のコレクションを、
「プライベート」 という切り口で紹介するユニークな美術展です。

展覧会の核となるのは、3つのセクション。
まずは、 「private passion:越境者の軌跡 - 瑛九と須田剋太」 から始まります。

越境者


埼玉県立近代美術館コレクションの中でも重要な位置を占めるのが、
埼玉県にゆかりのある瑛九 (1906~1990) と須田剋太 (1911~1960) という2人の美術家。
同時代を生きながらも、特に2人に交流があったわけでは無かったそうですが。
そんな2人の作品を、あえて組み合わせて展示してみたのが、このセクションのポイント。

会場  会場


瑛九と須田剋太、意外と合っています。
むしろ、しっくりきています。
全然違うブランドの服なのに、組み合わせてみたら、妙にしっくり。
そんな感じでした。
コレクションをただ展示するのではなく、コレクション同士を組み合わせて展示する。
それも、美術館の一つの腕の見せどころなのですね。


続いてのセクションは、 「private collection:蒐集家の眼差 - 大熊家コレクション」
大熊家とは、埼玉県川口市で江戸時代から代々村役人などを務め、
江戸末期には 「東一味噌」 として味噌の製造・販売を手がけた旧家です。
その9代目の大熊武右衛門による日本画コレクションが、
埼玉県立近代美術館に寄贈されたのは、平成19年度のこと。
これまでに何点かずつは紹介されていたようですが、今回の展覧会では初めて一挙に公開されています。

正直なところ、

「まぁ、地方の金持ちのコレクションだからなぁ」 (←千葉県民の僻み)

と、高を括っていたのですが。

大熊  大熊


橋本関雪やら堂本印象やら奥村土牛やら下村観山やら、日本画壇のビッグネームの作品がズラリ。
さらに圧巻だったのが、横山大観の作品群です。
その数、実に11点。
もちろん一挙に展示されていました。

横山


これがすべて個人 (=プライベート) コレクションだったとは。
大熊 (おおくま) 家恐るべし。
ダイナミック大熊。


最後のセクションは、 「private vision:美術家の作法 - アナザー・ヴィジョン・サイタマ」

サイタマ


こちらは、これまで埼玉県立近代美術館にて、
定期的に開催されたという “ニュー・ヴィジョン・サイタマ” という展覧会を機に、
コレクションに加わった現代作家の作品を紹介するセクションでした。
(ニュー・ヴィジョン・サイタマ・・・活躍中の埼玉ゆかりのアーティストに焦点を当てる展覧会)


これら3つのセクションも、それぞれに楽しかったのですが。
個人的にもっとも印象に残ったのは、「private to private」 と題されたインターセクション (幕間) 。

インターセクション


展示スペースを、コレクターの部屋に見立て、
埼玉県立近代美術館コレクションを、所狭しと楽しげに展示したコーナーです。

展示  コレクション


素晴らしきゴチャゴチャ感。
難しい理屈は抜きにして、なんか楽しかったです。うん。
星




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