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Channel: アートテラー・とに~の【ここにしかない美術室】
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ライアン・ガンダーが選ぶ収蔵品展

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現在、東京オペラシティアートギャラリーでは、

“ライアン・ガンダーが選ぶ収蔵品展” が開催されています。

(注:緊急事態宣言の発令を受けた政府・東京都からの要請をふまえ、

 2021年4月25日から5月11日の予定で臨時休館しています。その後の予定については、美術館ウェブサイトで改めて)

 

 

 

イギリスを代表するコンセプチュアル・アーティスト、ライアン・ガンダー。

その待望の東京での初個展とのことで、

開幕前から現代アートファンの間で話題となっていましたが。

新型コロナにより、イギリスがロックダウンされたことで、開幕は延期に・・・・・。

しかし、「イギリスからでも展覧会のキュレーションは出来るのでは?」 と、

ガンダーから提案があったそうで、急遽、当初展覧会が予定されていた期間に、

この “ライアン・ガンダーが選ぶ収蔵品展” が開催される運びとなったそうです。

 

今回の展覧会は、2部構成。

3階4階それぞれの展示室を使って、

実験的な展示企画が行われています。

 

まずは、「色を想像する」 と題された4階からご紹介いたしましょう。

展示室の壁一面には、何やら四角い枠がビッシリ。

 

 

 

よく見ると、それぞれの作品のキャプションが付けられています。

 

 

 

「色を想像する」 どころか、

キャプションから作品を想像しないといけないのかと思いきや。

その向かいの壁に、対応する形で作品が飾られていました。

 

 

 

しかも、上部左右にビッシリと作品を展示する、

いわゆる欧米の美術館の 「サロン・スタイル」 で。

 

さて、勘の良い方なら、もうお気づきでしょうが。

ガンダーが選んだ作品はすべて、白と黒の作品です。

 

 

 

白と黒の作品が、これだけビッシリと並べられると、

そして、「色を想像する」 というキーワードが与えられると、

不思議と、次第に会場内がカラフルに感じられてきました。

それ自体は面白い試みだと思いましたが、

冷静に考えると、反対側の壁一面の黒い枠は必要なかったような。

作者や作品名を知りたくなるたびに・・・・・・

 

 

 

壁から壁へ移動しなくてはならないという。。。

色を想像するのも大事ですが、

鑑賞者の動きももう少し想像して欲しかったです。

 

 

続いては、3階の 「ストーリーはいつも不完全……」 へ。

会場の入り口に置かれていたのは、懐中電灯。

 

 

 

どうやら、1人1本懐中電灯を持って、

会場内へと入る必要があるようです。

というのも・・・・・

 

 

 

会場内は真っ暗。

作品を照らす照明は一切ありません。

そう、作品を観るためには、

自分自身で懐中電灯を当てなくてはならないのです。

 

 

 

なんと画期的なシステム!!

 

ありそうでなかった新感覚の鑑賞体験です。

懐中電灯を片手に鑑賞するだなんて。

 

 

 

気分はまさに 『ナイト・ミュージアム』 状態。

閉館後のミュージアムを探検しているようなワクワク感がありました。

しかも、ただワクワクするだけでなく。

 

 

 

「ここの色彩はとても淡いなァ」 とか。

「ここに金箔が使われているんだ!」 とか。

光を自ら当てる。

つまり、能動的に鑑賞することで、

いろいろな発見や気づきがあるのです。

星星

 

 

また、コレクション展で何度か目にしたことがある作品も、

通常の照明ではなく、懐中電灯を当てることで、これまでとは違った印象に。

小松崎邦夫の 《花の祈り》 は、妖しさが3割増しになっていましたし。

 

 

 

野又穣さんの 《世界の外に立つ世界》 は、

廃墟感 (?) が、5割増しになっていました。

 

 

 

ちなみに。

全体的にはワクワクできましたが、

たまに、ギョッとさせられる作品も混じっているので要注意です。

例えば、三宅一樹さんの 《YOGA-逆さの氣息》 という作品。

 

 

 

展示室の片隅で、ヨガをする女性。

光を当て、このポーズが飛び込んできた瞬間、

「不審者か!」 と、思わず身構えてしまいました。

 

それから、野田裕示さんの 《Work 996》 という作品。

 

 

 

一瞬、マジでダイイングメッセージかと思いました。

『ナイトミュージアム』 気分から一転、『バイオハザード』 気分へ。

心臓に悪いので、暗闇にこういうの飾っちゃダメ、ゼッタイ。

 

 

さてさて。

暗い展示室を抜けた先には、

明るく長いコンコースがあります。

 

 

 

普段の展覧会では、あまりここに椅子が置かれていないので、

これもまたガンダーによるキュレーションで、向かいの壁に秘密があるのかも。

 

 

 

そう思い、マジマジと観てみましたが、とくに何もありませんでした。

何の変哲もないただの白い壁です。

しかし、僕がマジマジと観ていたせいで、

他のお客さんも釣られて、マジマジと壁を観ていました。

あっ!そういえば、展示室のラストに、

相笠昌義の 《みる人》 が展示されていましたっけ。

 

 

 

もしかしたら、この状況を暗示していたのかもしれません。





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