フランス文学者としてお馴染みの鹿島茂氏。
その愛蔵コレクションを連続して紹介する美術展の第3弾が、今年も練馬区立美術館にて開催されています。
第1弾では、19世紀フランスを代表する挿絵画家J.J.グランヴィルを取り上げ、
第2弾では、アール・デコを代表するアーティスト、バルビエとラブルールを紹介。
そして、今回の第3弾では・・・
(注:こちらの記事で使用している写真は、特別に会場の撮影許可を頂いたものです)
“鹿島茂コレクション3 モダン・パリの装い” と題して、
19世紀から20世紀初頭のアール・デコの時代までに描かれたファッション・プレートを紹介しています。
・・・・・で、ファッション・プレートって??
ファッション・プレートとは、ファッションイラストの版画のことで。
写真がまだ一般的でなかった時代に、
ファッション・プレートが、写真の代わりとして流行のファッションを伝えていたのだそうです。
ファッション・プレートを紹介する美術展と知って、
おそらくファッションに敏感な女性の読者さんの多くが、興味を抱かれたことでしょうが。
男性の読者さんの多くは、 「ふ~ん。。。」 と素通りしようとしていることでしょう。わかります。
実を言うと、僕自身は、そこまでファッションに興味がないので、
必然的に、今回の美術展にも、そこまで興味をそそられていませんでした。
「この美術展は、僕なら、10分で観終えちゃうね!」
と、よくわからない宣言をしていたほどです (←?)
が、しかし!
実際に僕が美術館に滞在していた時間は、2時間弱。
予想したよりも、遥かに興味深い美術展でした。
早く観終えちゃう宣言は、無かったことにしてください。
さてさて、まず何よりも、驚かされたのは、
100年以上も前に制作されたとは思えない、デザインセンスの高さ。
例えば、1911年に発表された 《ジョルジュ・ルパップが見たポール・ポワレの作品》 をご覧くださいませ。
特に右側のカットなんて、PARCOのグランバザールのDMと言われても、納得してしまうくらいに (?)
デザインセンスが、優れています。
この他にも、男の自分でさえキュンキュンするファッション・プレートの数々に遭遇。
ファッションに興味のあるなしに関わらず、普通に美術展として楽しめました。
また、デザインセンスもさることながら、
版画作品としての技術の高さも、目を見張るポイントの一つ。
例えば、1841年に出版された 《才能、地位、美貌により有名となった女性たちのフランスギャラリー》 をご覧くださいませ。
あまりに細かすぎて伝わらないと思われますが。
ドレスは黒一色に見えますが、よ~く目を凝らすと全体に刺繍が施されているのがわかります。
同様に、毛皮の毛並みも、あり得ないほど細密に表現されています。
これだけの高いクオリティーのファッション・プレートが、
百数十年前に制作されていたという事実に、ただただ驚くばかりです。
(それも1点のみでなく、50点セット以上で!)
このスゴさは、画像では決して伝えきれないため、
是非会場に足を運んで、皆様自身の目をよ~く凝らして、実感して頂きたいものです。
ちなみに、オシャレな作品ばかりかと思いきや、
ウォーズマン?謎のマスクウーマンをはじめ、
クリスマスツリー風ドレスなど、
意外とヘンテコなファッションも多く、個人的には、こちらの方が楽しめました (笑)
最後に、《出所不明のイラスト》 として紹介されていた謎の作品をご紹介。
出所不明の謎多き作品と言われると、ついつい、その謎を解きたくなってしまいます。
この作品の前で、いろいろと考えてみたものの、
結局左下に描かれているのが、ビートたけしであることくらいしかわかりませんでした (笑)
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鹿島茂コレクション3 モダン・パリの装い
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