現在、ちひろ美術館・東京では、
“ちひろと初山滋 ―永遠のコドモ―” が開催されています。
(注:館内の写真撮影は、特別に許可を頂いております)
こちらは、いわさきちひろが敬愛し続けた画家・初山茂の没後40年を記念して開催される展覧会です。
さてさて、多くの方が、初山滋という名前にピンと来てないことでしょう。
初山滋 (1897~1973) は、大正から昭和にかけて活躍した童画家で、
大正時代を代表する雑誌の一つ 『コドモノクニ』 に参加していたことでも知られています。
ちなみに、いわさきちひろは、子供時分に、
この 『コドモノクニ』 で初めて初山滋の作品に出合って以来のファンだったそうです。
ただ、もし、 『コドモノクニ』 を知らないという方でも (世代的に) 、
初山滋さんの絵は、人生の中で一度は目にしていることでしょう。
というのも、光村図書出版が発行していた国語の教科書の表紙を手がけていたのが、何を隠そう (?) 初山滋。
今回の展覧会場には、初山滋が表紙を描けた国語の教科書がズラリと並んでいました。
世代によっては、 「懐かしい~♪」 となること必至です。
僕の小学生時代に使っていた国語の教科書は、おそらく初山滋の装丁では無かった気がしますので。
懐かしさこそ感じませんでしたが。
純粋に、現代の眼で見ても、ただならないセンスは感じました。
特に、キラリと光るセンスを感じたのが、 《教科書「小学新国語4年上」表紙(光村図書出版)》
1960年代前半
このブックカバーがあったら、即買いしたいほど!
こんなオシャレな国語の教科書だったら、国語の勉強が待ち遠しくなりそうな気しかしないのですが。
実際に使っていた皆様は、どうだったのでしょうか?
もちろん、国語の教科書に限らず、
あらゆる分野で、初山滋のデザインセンスは発揮されています。
これらの作品を観ていると、あのいわさきちひろがあこがれ続けた才能というのも納得。
少なからず、いわさきちひろの作風に影響を与えているであろうことも納得です。
そんな初山滋作品を、 「童心の世界」 や「アンデルセン童話」 といった切り口で、
いわさきちひろの作品と並べて展示しているのが、今回の展覧会の最大の特徴。
2人の作品世界が共鳴し合うことで、
それぞれの作品が持つファンタスティックな魅力が、増幅されているような印象を受けました。
さてさて、見た目は、どことなく似ているような2人の作品ですが、その作品イメージは、対照的。
これは、あくまで僕個人の見解ですが、
初山滋の作品に登場する人物は、キャラクターがしっかりと立っているのに対し、
いわさきちひろの作品に登場する人物 (子ども) には、キャラクター性が感じられません。
その分、いわさきちひろ作品には、
自分自身や自分の子供など、誰かのイメージを投影しやすいのでしょう。
これは、いわさきちひろオンリーの美術展では気づかなかったちひろ作品の魅力。
こうして初山滋作品と対比させることで、見えてくるものがあるのですね。
ちなみに、 “ちひろと初山滋 ―永遠のコドモ―” とは別に。
現在、ちひろ美術館・東京では、童画だけでなく、
初山滋の残した木版画の数々も前後期一部入れ替えありで紹介されています。
版画を摺っては、気前良く、人に配っていたという初山滋。
(特に、お酒が入ると、綺麗な女性に配っていたのだとかw)
そのため、その作品のほとんどが、行方知れずなのだそうです。
それだけに、まとまって初山滋の版画を目に出来るのは貴重な機会とのこと。
ちなみにちなみに、 “ちひろと初山滋 ―永遠のコドモ―” とは別に。
現在、ちひろ美術館・東京では、数年ぶりに、
ちひろ作品の中でも特に人気の高い 《ゆきのひのたんじょうび》 の原画が公開されています。
赤い毛糸帽の女の子『ゆきのひのたんじょうび』(至光社)より 1972年
それにちなんで、ちひろ美術館・東京では、
会期中、赤い帽子または赤い手袋着用でご来館のお客様に、
次回利用出来る招待券 (東京・安曇野共通) をプレゼントする太っ腹なキャンペーンを実施中。
赤い帽子か赤い手袋をお持ちの方は、是非♪
《ゆきのひのたんじょうび》 の原画が見られたのも嬉しかったですが、
個人的には、同じ 『ゆきのひのたんじょうび』 に収録されていた・・・
雪だるま『ゆきのひのたんじょうび』(至光社)より 1972年
《雪だるま》 の可愛さにノックアウトされました。
何でしょう?この異常な可愛さは?!
ずっと眺めていても、全く飽きません。
おそらく、この雪だるまよりも先に、眺め続けている僕の方が溶けちゃいそうです。
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ちひろと初山滋 ー永遠のコドモー
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