長い!細い!ゴツゴツ!
(注:館内の写真撮影は、特別に許可を頂いております。)
一度、目にしたら決して忘れられない。
静かながら強烈なインパクトのある彫刻作品でお馴染みのアルベルト・ジャコメッティ (1901~1966) 。
日本では約11年ぶりとなる待望の回顧展、
“国立新美術館開館10周年 ジャコメッティ展” が、いよいよ開幕いたしました!
世界3大ジャコメッティ・コレクションの一つ、
マーグ財団美術館のコレクションを中心に、油彩や素描を含む132点が大公開されています。
展示作品は基本的に、初期から晩年まで、時系列に沿って紹介されていました。
作家人生のスタート時から、個性的な彫刻作品を作っていたのかと思いきや。
キュビスム風、シュルレアリスム風、アフリカ彫刻風と、
意外と普通に、当時の流行のスタイルに乗っかっている感じでした。
この時点ではまだ、ジャコメッティの 『ジャ』 の字もありません。
これらの彫刻から、何がどうなって、あのようにクセが強い彫刻へとなっていったのか。
展覧会では、実際の作品を交えつつ、丁寧に紹介されています。
画家であった父のもとで、幼い頃より制作活動をしていたというジャコメッティ。
そんな彼には、謎の性質がありました。
それは、「見えるものを見えるまま」 に描こうとすると、
描くモチーフが実物大にはならず、なぜか小さくなってしまうというもの。
じーっと見れば見るほど、モチーフが小さく感じられるようで、
それをそのまま描いてしまうため、極小サイズになってしまうのだそうです。
というわけで、なるべく記憶を頼りに描くというスタイルを取るようになったのだとか。
さて、その謎の性質は、彫刻家に転向しても変わらず。
最初は、キュビスム風やシュルレアリスム風な抽象的な彫刻を制作していたわけですが。
立っている人物像をリアルに制作しようと、何度も試みてみるものの・・・
どう頑張っても、大きくならず。。。
出来上がる立像は、わずか2センチか3センチほどにしかならないのです。。。
アルベルト・ジャコメッティ 《小像》 1946/80年 ブロンズ マルグリット&エメ・マーグ財団美術館、サン=ポール・ド・ヴァンス
Archives Fondation Maeght, Saint-Paul de Vence (France)
そこで、ジャコメッティは、「何が何でも1メートルで作る!」 という自分ルールを課すことに。
モデルを前に、“1メートル1メートル1メートル…” と呟きながら (←?) 、制作してみたところ、今度は・・・
アルベルト・ジャコメッティ 《大きな像(女:レオーニ)》 1947年 ブロンズ マルグリット&エメ・マーグ財団美術館、サン=ポール・ド・ヴァンス
Archives Fondation Maeght, Saint-Paul de Vence (France)
彫刻が、どんどん細くなってしまったのだとか!!
こうして、唯一無二のジャコメッティの作風は生まれました。
ウケを狙ってヘンな彫刻を作っているわけではなく、本人はいたって大真面目なのです。
むしろ、似せようとすればするほど、実際の形から遠くなっていくという。。。
押しちゃいけないとわかっていながら、ボタンを押しちゃう。
遅刻しちゃいけないとわかっていながら、つい遅刻しちゃう。
不倫をしちゃいけないとわかっていながら、そっちに走っちゃう。
そんな人間の性に通ずるものがあるのかもしれません (←??)
これまでジャコメッティの作品に哲学的な印象を抱いていましたが。
実は、逆に人間味が感じられる作品でした。
いい意味で、ジャコメッティに対するイメージがガラッと変わった展覧会です。
さてさて、今回のジャコメッティ展の見どころは何と言っても、
とあるアメリカの銀行からの依頼を受けて、ニューヨークの広場のために制作した3点の大作。
残念ながら、このプロジェクトは、最終的に実現しなかったそうですが。
もし、実現していたら、このような空間がニューヨークに存在していたわけですね。
ちなみに、空間のセンターにある 《女性立像Ⅱ》 の大きさは、なんと約2.8メートル!
細いけれども、威圧感がハンパではありません。
今にも動き出しそうな感じでした。
その隣にいた 《歩く男Ⅰ》 も今にも動きそう。
いや、というより、動いてますね。たぶん。
閉館後、夜の展示室内を徘徊しているはずです。
そんな想像をせずにはいられないほど、謎の生命感がありました。
今回出展されていた中で、個人的にお気に入りなのは、
ジャコメッティには珍しい動物作品の 《猫》 と 《犬》 です。
今、改めて写真で見てみると、全然可愛くないのですが (笑)
会場でじっと観ているときは、愛おしさすら感じました。
しばらく進んで振り向いたときに、
目が合ったので (…という気がしたので)、連れて帰ろうかと思ってしまったほどです。
そうそう、こちらの 《林間の空地、広場、9人の人物》 という作品も、
じーっと観ているときは、妙に可愛らしく思えていました。
何だかチンアナゴみたいで。
1位を目指して、ランキングに挑戦中!(現在7位です)
下のボタンをポチッと押して頂けると嬉しいです!
(注:館内の写真撮影は、特別に許可を頂いております。)
一度、目にしたら決して忘れられない。
静かながら強烈なインパクトのある彫刻作品でお馴染みのアルベルト・ジャコメッティ (1901~1966) 。
日本では約11年ぶりとなる待望の回顧展、
“国立新美術館開館10周年 ジャコメッティ展” が、いよいよ開幕いたしました!
世界3大ジャコメッティ・コレクションの一つ、
マーグ財団美術館のコレクションを中心に、油彩や素描を含む132点が大公開されています。
展示作品は基本的に、初期から晩年まで、時系列に沿って紹介されていました。
作家人生のスタート時から、個性的な彫刻作品を作っていたのかと思いきや。
キュビスム風、シュルレアリスム風、アフリカ彫刻風と、
意外と普通に、当時の流行のスタイルに乗っかっている感じでした。
この時点ではまだ、ジャコメッティの 『ジャ』 の字もありません。
これらの彫刻から、何がどうなって、あのようにクセが強い彫刻へとなっていったのか。
展覧会では、実際の作品を交えつつ、丁寧に紹介されています。
画家であった父のもとで、幼い頃より制作活動をしていたというジャコメッティ。
そんな彼には、謎の性質がありました。
それは、「見えるものを見えるまま」 に描こうとすると、
描くモチーフが実物大にはならず、なぜか小さくなってしまうというもの。
じーっと見れば見るほど、モチーフが小さく感じられるようで、
それをそのまま描いてしまうため、極小サイズになってしまうのだそうです。
というわけで、なるべく記憶を頼りに描くというスタイルを取るようになったのだとか。
さて、その謎の性質は、彫刻家に転向しても変わらず。
最初は、キュビスム風やシュルレアリスム風な抽象的な彫刻を制作していたわけですが。
立っている人物像をリアルに制作しようと、何度も試みてみるものの・・・
どう頑張っても、大きくならず。。。
出来上がる立像は、わずか2センチか3センチほどにしかならないのです。。。
アルベルト・ジャコメッティ 《小像》 1946/80年 ブロンズ マルグリット&エメ・マーグ財団美術館、サン=ポール・ド・ヴァンス
Archives Fondation Maeght, Saint-Paul de Vence (France)
そこで、ジャコメッティは、「何が何でも1メートルで作る!」 という自分ルールを課すことに。
モデルを前に、“1メートル1メートル1メートル…” と呟きながら (←?) 、制作してみたところ、今度は・・・
アルベルト・ジャコメッティ 《大きな像(女:レオーニ)》 1947年 ブロンズ マルグリット&エメ・マーグ財団美術館、サン=ポール・ド・ヴァンス
Archives Fondation Maeght, Saint-Paul de Vence (France)
彫刻が、どんどん細くなってしまったのだとか!!
こうして、唯一無二のジャコメッティの作風は生まれました。
ウケを狙ってヘンな彫刻を作っているわけではなく、本人はいたって大真面目なのです。
むしろ、似せようとすればするほど、実際の形から遠くなっていくという。。。
押しちゃいけないとわかっていながら、ボタンを押しちゃう。
遅刻しちゃいけないとわかっていながら、つい遅刻しちゃう。
不倫をしちゃいけないとわかっていながら、そっちに走っちゃう。
そんな人間の性に通ずるものがあるのかもしれません (←??)
これまでジャコメッティの作品に哲学的な印象を抱いていましたが。
実は、逆に人間味が感じられる作品でした。
いい意味で、ジャコメッティに対するイメージがガラッと変わった展覧会です。
さてさて、今回のジャコメッティ展の見どころは何と言っても、
とあるアメリカの銀行からの依頼を受けて、ニューヨークの広場のために制作した3点の大作。
残念ながら、このプロジェクトは、最終的に実現しなかったそうですが。
もし、実現していたら、このような空間がニューヨークに存在していたわけですね。
ちなみに、空間のセンターにある 《女性立像Ⅱ》 の大きさは、なんと約2.8メートル!
細いけれども、威圧感がハンパではありません。
今にも動き出しそうな感じでした。
その隣にいた 《歩く男Ⅰ》 も今にも動きそう。
いや、というより、動いてますね。たぶん。
閉館後、夜の展示室内を徘徊しているはずです。
そんな想像をせずにはいられないほど、謎の生命感がありました。
今回出展されていた中で、個人的にお気に入りなのは、
ジャコメッティには珍しい動物作品の 《猫》 と 《犬》 です。
今、改めて写真で見てみると、全然可愛くないのですが (笑)
会場でじっと観ているときは、愛おしさすら感じました。
しばらく進んで振り向いたときに、
目が合ったので (…という気がしたので)、連れて帰ろうかと思ってしまったほどです。
そうそう、こちらの 《林間の空地、広場、9人の人物》 という作品も、
じーっと観ているときは、妙に可愛らしく思えていました。
何だかチンアナゴみたいで。
1位を目指して、ランキングに挑戦中!(現在7位です)
下のボタンをポチッと押して頂けると嬉しいです!