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Channel: アートテラー・とに~の【ここにしかない美術室】
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第ニ十九話 国宝ハンター、鐘を鳴らす?

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前回までのあらすじ~
 『キョウトの悲劇』 のショックから、すっかり立ち直った国宝ハンター。
 沈んでいた約1ヶ月半もの間の遅れを取り戻すため、精力的に国宝ハンティングをこなす!
 国宝ハンターは、誓った。
 “もう国宝ハンティングしないなんて 言わないよ 絶対” と。



国宝を求めて、鎌倉へやってきました。
京都の仇は、小京都で討つのです。

アートテラー・とに~の【ここにしかない美術室】-鎌倉


前回、鎌倉に来た時には、たった1件の国宝しかハンティング出来ませんでしたが。
実は、鎌倉は、なかなかの国宝シティ。
少し散策するだけで、国宝を何点も目にすることが出来るのです。

というわけで、まずは、北鎌倉駅のすぐ目の前にある円覚寺へ。

アートテラー・とに~の【ここにしかない美術室】-円覚寺


京都のお寺と比べても、見劣りしない立派な境内。
さすが、関東屈指の古都・鎌倉です。

アートテラー・とに~の【ここにしかない美術室】-円覚寺  アートテラー・とに~の【ここにしかない美術室】-円覚寺 右


境内で鮮やかに咲き誇る紫陽花が、鎌倉らしさを強調しています。

アートテラー・とに~の【ここにしかない美術室】-紫陽花


さてさて、お目当ての国宝は、いずこに?

アートテラー・とに~の【ここにしかない美術室】-円覚寺


中途半端なイラストが気になる案内板の指示に従ったところ、こちらに辿り着きました。

アートテラー・とに~の【ここにしかない美術室】-円覚寺


どうやら、国宝は、この階段の上にあるようです。。。

アートテラー・とに~の【ここにしかない美術室】-円覚寺


そうでした。これが国宝ハントの旅でした。
京都でも、こんなようなキツい体験を、何度もしましたっけ。
長い長い階段を登りながら、2か月前のことを走馬灯のように思い返します。

で、到着。
こちらが、国宝の 《梵鐘》 (ジャンル:工芸品) です。

アートテラー・とに~の【ここにしかない美術室】-円覚寺


京都の妙心寺では、日本最古の国宝 《梵鐘》 を観ましたが。
その梵鐘と比べると、こんな山奥の戸外で保管されていることもあって、かなりワイルドだぜぇ。
乳の部分が、皮ジャンの鋲みたいに見えるぜぇ。

アートテラー・とに~の【ここにしかない美術室】-梵鐘


ちなみに、ワイルドではあるものの、もちろん由緒正しき梵鐘です。

アートテラー・とに~の【ここにしかない美術室】-梵鐘


2500人の善男善女と250人の僧衆によって鋳造されたのだとか。
2500人の善男善女って・・・。
世の中に、そんなにも善男善女がいたのですね!


続いて向かったのは、円覚寺から歩くこと約10分の場所にある建長寺

アートテラー・とに~の【ここにしかない美術室】-建長寺


こちらも、なかなかどうして立派なお寺です。
山門も唐門も、国宝のような風格をしています。

アートテラー・とに~の【ここにしかない美術室】-山門 アートテラー・とに~の【ここにしかない美術室】-唐門


・・・が、これらは、国宝に非ず。
建長寺が誇る国宝は、こちら↓

アートテラー・とに~の【ここにしかない美術室】-建長寺


「・・・ん?もしや?」

そう。《梵鐘》 (ジャンル:工芸品) です!

アートテラー・とに~の【ここにしかない美術室】-梵鐘  アートテラー・とに~の【ここにしかない美術室】-梵鐘 右


誰ですか??
「梵鐘が国宝って、カブってるじゃん!!」 なんて、失礼なことを思っている方は。
いやいや、僕は、そんな失礼なことは思ってもいません。

ただ、2つを見比べた個人的な感想としては、
僕は、円覚寺のワイルドな梵鐘のが好みでした。
建長寺のは、ちょっとのっぺりし過ぎと言いますか。
近くの円覚寺とカブってるんだから、もう少し個性を発揮して欲しいと言いますか。
(↑やっぱり、カブってると思ってるんじゃん!)

ちなみに、建長寺のお土産コーナーでは、

アートテラー・とに~の【ここにしかない美術室】-さぶれ


梵鐘サブレ (20枚入り1000円) なるものが売っていました。
国宝ハンター的には、相当気になる逸品ですが。
普通の人は、どういう反応をするのか気になります。

 「昨日、建長寺行ってきたんだよね。ハイ。梵鐘サブレ。」
 「梵鐘?何それ?」
 「境内にある鐘のことじゃん」
 「いや、そうじゃなくて、何でそんなのが、わざわざサブレになってるの?」
 「何でも建長寺の梵鐘は、国宝らしいよ」
 「ふーん。」
 「・・・・・。」


おそらく、こんなしっくり来ないやり取りがオフィスで繰り広げられるに違いない。



ともあれ、京都の妙心寺のと合わせて、これで3件の国宝の梵鐘をハンティング。

「もう全ての国宝の梵鐘を観たんじゃない?」

と、ホクホクしていたのですが、甘かったです。
調べてみると、今現在国宝の梵鐘は、全部で13件もあることが判明!
まだ、あと10件も、梵鐘を観ないといけないのか。
梵鐘は、特にコメントのしようもない代物だから、
出来ることなら、もう観なくてもいいのですが。。。

ゴーーーーンカラス

国宝全制覇のための試練の一つを知って、心の中の遠くで鐘の音が鳴り響きました。



最後は、建長寺から鶴岡八幡宮に足を運んで、境内にある鎌倉国宝館へ。

アートテラー・とに~の【ここにしかない美術室】-鎌倉国宝館


こちらでは、 “常盤山文庫名品展2012” という展覧会が開催されていました。
(注:7/1で、会期は終了)

常盤山文庫が所蔵する国宝2件のうち…

アートテラー・とに~の【ここにしかない美術室】-清拙正澄墨蹟


《清拙正澄墨蹟〈遺偈/暦応二年正月十七日〉》 (ジャンル:書跡・典籍) が展示されていました。
こちらの国宝は、中国からの渡来僧・清拙正澄 (1274~1339)が残した最後の墨痕だそうです。
ちなみに、この国宝には、こんなエピソードが伝えられているのだとか。

 清拙正澄の臨終に間に合わなかった一人の弟子。
 彼が、そのことを悲しみ、棺の前で号泣していると・・

 棺から清拙正澄が、ドーーーーーーーン!!!

 目を開け、筆を掴んで、その弟子に法を授けたのです。

 
それが、この国宝。
このため、 『棺割の墨蹟』 という別名が付いているのだそうな。

信じるか信じないかはあなた次第。


今現在の国宝ハンティング数 226/1084




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