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Channel: アートテラー・とに~の【ここにしかない美術室】
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Film:43 『ゴーギャン タヒチ、楽園への旅』

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■ゴーギャン タヒチ、楽園への旅

  監督:エドゥアルド・デルック
  出演:ヴァンサン・カッセル、マリック・ジディ
  2017年/フランス/102分/R15+

19世紀フランスを代表する画家ゴーギャンの知られざる創作の秘密や、
タヒチでの愛と苦悩の日々を、ヴァンサン・カッセル主演で描いた伝記ドラマ。
パリで株式仲買人として働きながら、趣味で絵を描きはじめたゴーギャン。
しかし、1882年にパリの株式市場が大暴落すると、それまでの裕福な生活は一変。
ゴーギャンは絵画を本業にしようと考えるが、
生活は困窮し、妻や子どもたちと別れることになってしまう。
わずかな資金を手にタヒチへ渡ったゴーギャンは、
すっかりその地に魅了され、現地の美女テフラと結婚する。
ところが、資金が底をつくと再び極貧生活に陥り、テフラの愛情も離れていってしまう。
(「映画.com」より)


「最初から最後まで、ほぼずーっと面白味のない映画でした。
 見始めて30分くらい経ったあたりから、
 「早くこの映画から解放されたいなぁ」 と思っていた次第です。
 こっちがタヒチに行きたいくらいだわ!

 
 5人も子どもがいるにもかかわらず、
 パリは文明に毒されているから、タヒチに行きたいと言い出すゴーギャン。
 当然、妻も子どもも付いてきません。
 で、単身、タヒチに渡るも、そこはもちろんフランス領。
 パリほどではないものの西洋文明が流入していました。
 そのことに腹を立てたゴーギャンは、
 周囲の忠告を無視して、もっと自然豊かな奥地へと移り住むことを決意。
 そこから映画は、『ゴーギャンの無人島0円生活』 へと突入します。
 葉っぱを集めて寝床を作ったり、よくわからない果物を食べたり、
 本家の無人島生活でもよく見かけるようなシーンを経て、いよいよ魚採りに挑むゴーギャン。
 銛でトライするもなかなか巧くいかず、全然、「採ったどー!」 とはいきません。
 と、次の瞬間、予想の斜め上を行く展開が待っていました。
 銛で捕まえるのは無理と判断したゴーギャンが、
 おもむろにライフルを取り出し、水面にいる魚に向かって撃ち始めたのです。

 思いっきり、西洋文明じゃねーか!

 いや、西洋文明でも、そんな使い方はしないでしょう。
 ともあれ、このシーンに限らず、
 言ってることとやってることがチグハグなゴーギャン。
 ヴァンサン・カッセルの演技が巧いだけに、
 ゴーギャンの自分勝手ぶりに、どんどんと怒りが湧いていきました。

 


 また、この映画のメインテーマは、現地で出逢った少女テフラとの恋なのですが。
 2人が出逢うシチュエーションも特殊なら、
 2人がすれ違っていくシチュエーションも特殊。
 こんな感情移入もできない2人の特殊な恋愛模様を見て、一体誰が一喜一憂するのであろうか。
 ちなみに、映画に登場するテフラは、どう見ても20歳前後でしたが、
 実際に、当時43歳だったゴーギャンと出逢った時のテフラの年齢は、14歳。
 それを忠実に再現したら、もろもろ問題があるから、おそらく映画ではぼやかしたのでしょう。
 14歳と知った上で観ると、ゴーギャンの行動はいろいろアウトです。
 男の自分ですらそう感じたのですから、女性がこの映画を観ても何が楽しいのだろうか。
 この映画を観て共感できるのは、

 ”俺も他の国で生活したら、若い女の子と結婚できるのかァ”
 
 と、アホな妄想をしているオッサンくらいなものでしょう。


 この映画を観て、ゴーギャンを好きになる人がどれくらいいるのでしょう?
 もしくは、ゴーギャンの絵が好きになる人がどれくらいいるのでしょう?
 むしろ、ゴーギャンのイメージが悪くなるだけの映画。
 一体、誰が得する映画なのか。
 なぜ、そもそも映画化しようとしたのか。

 我々はどこを楽しめばよかったのか。
 我々は何を思えばよかったのか。
 我々はどこにこの怒りの矛先を向けたらいいのか。
 スター ほし ほし ほし ほし (星1つ)」


~映画に登場する名作~

《マナオ・トゥパパウ(死霊は見守る)》


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