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Channel: アートテラー・とに~の【ここにしかない美術室】
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草原の王朝 契丹 ―美しき3人のプリンセス―

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ちょうど一か月前に、国立科学博物館で閉幕した “インカ帝国展”
なんと、95日間の会期中に、45万6484人もの人が来館したそうです。
そして、大阪で一足先に開催されていた “ツタンカーメン展” には、
なんとなんと、93万3130人が来場し、入場者数歴代2位の記録を打ち立てました!


・・・と、このように。
『世界ふしぎ発見』 系の展覧会 (※) は、
日本人に根強い人気を誇っていることがわかります。
(※ とに~が勝手に作った造語です)

そんな “『世界ふしぎ発見』 系の展覧会” 大好きな日本人の皆様に、
是非ともオススメしたい展覧会が、現在、東京藝術大学大学美術館で開催されています。
それは、 “草原の王朝 契丹 ―美しき3人のプリンセス―” という展覧会。

契丹で生きた3人のプリンセスに関する遺物を中心に、
約40カ所の契丹遺跡から出土した至宝を一堂に公開している展覧会で。
展示品のうち50件が、世界初公開!!!
しかも、中国の国宝である一級文物あ、45件も紹介されています!!!!!


・・・・・・・。


『!』 を多用してみたので、
なんとなくスゴそうな展覧会であるのは、伝わったとは思いますが (笑)
そもそも、 「契丹って何?大鶴??」 という人が、大半でしょう。
というわけで、まずは、簡単に、 “契丹” についてご紹介することにいたしましょう。

今から遡ること1000年前。
唐王朝が滅亡した東アジア大陸は、群雄割拠の時代に突入しました。
そんな中で、いち早く国づくりに着手し、強大な勢力を築き上げたのが、
北アジア草原地帯で生まれた遊牧民を主体とする “契丹” の人々でした。
その後、チンギス・ハーンの登場によって、文明は衰退してしまいましたが
キャセイパシフィック航空の ‘キャセイ’ とは、

「キッタン→キッタイ→キタイ→キャタイ→キャセイ…バンザーイ!」

と、 “契丹” という言葉が変化したもの。
今でも、実は、その文明の名残は息づいているのです。


ではでは、 “契丹” について、ある程度わかったところで。
早速、会場に足を踏み入れてみましょう。

「草原地帯に生きた遊牧民族の文明。」

という情報から、良く言えば、大らかな。
悪く言えば、大味で大雑把な展示品が多いのかと思っていましたが。
意外や意外。

《鳳凰文冠》 や、

アートテラー・とに~の【ここにしかない美術室】-鳳凰文冠
陳国公主墓出土 11世紀前半 内蒙古文物考古研究所蔵


《鏡箱・鸚鵡牡丹文鏡》 に、

アートテラー・とに~の【ここにしかない美術室】-鏡箱鸚鵡牡丹文鏡
トルキ山古墓出土 10世紀前半 内蒙古文物考古研究所蔵


《鳳凰舎利塔》 など、

アートテラー・とに~の【ここにしかない美術室】-鳳凰舎利塔
慶州釈迦仏舎利塔出土 11世紀前半 巴林右旗博物館蔵


力強さ・武骨さもありつつ、
なおかつ繊細な美しさを兼ね備えた展示品が、多くを占めていました。
(契丹の皆さま、勝手に野蛮なイメージを抱いてしまっていて、申し訳ありません
特に、契丹の陶磁器が紹介されているコーナーでは、
予想以上に、美しい白磁作品や三彩作品を目にして、その文明度の高さに驚かされました。
(契丹の皆さま、何か上から目線の発言で、申し訳ありません


さてさて、数ある展示品の中で、
今回の目玉は、何と言っても、こちら↓

アートテラー・とに~の【ここにしかない美術室】-3彩色木棺
トルキ山古墓出土 10世紀前半 内蒙古文物考古研究所蔵


2003年にトルキ山古墓から出土した 《彩色木棺》 です。
まずは、その大きさに圧倒されます!
画像から、普通の木棺の大きさを想像していたのですが。
実物は、ワンボックスカーくらいの大きさがありました!!
大きさもさることながら、装飾の見事さにも、圧倒されました。
よく見ると、金箔の鳳凰がいたり、
棺の入り口サイドに、契丹人のガードマンが描かれていたり。
この画像では伝わりませんが、
欄干に配置された獅子の鼻の穴が、とてもユーモラスなので、それも見どころの一つです。
・・・って、木棺がユーモラスでいいのかという疑問は残りますが (笑)


ともあれ、この 《彩色木棺》 に関しては、
今年見ておきたい展示品の一つであることは間違いなし。
よくぞ日本に持ってきてくれたものです。
企画者のこの展覧会への気合いが伝わってきました。
また、企画者の気合いは、図録にも!

アートテラー・とに~の【ここにしかない美術室】-図録  アートテラー・とに~の【ここにしかない美術室】-図録


車やファッションのオシャレなカタログのような仕上がりの図録。
基本的に、図録は買わない派の僕ですが、
この図録は、インテリアとしても手元に置いておきたい一冊です。
展覧会に、図録に。
気合いの入り方が、2つ星。
星星



というわけで、全体的には、
今まであまり接する機会の無かった契丹の文明を知ることのできる良展覧会でしたが。
サブタイトルの 『美しき3人のプリンセス』 に期待して、

「どんな美しいプリンセスに出会えるんだろう♪」

という気持ちで展覧会を訪れると、何だか裏切られた気分になりますので、要注意。
展覧会会場には、クレオパトラも楊貴妃もマリー・アントワネットのようなお姫様はいません。
会場に、いたのは・・・

アートテラー・とに~の【ここにしかない美術室】-金製仮面
陳国公主墓出土 11世紀前半 内蒙古文物考古研究所蔵


「!!!」

こちらは、契丹第5代皇帝の景宗耶律賢(やりつけん) の孫で、
18歳という若さで亡くなったプリンセス・陳国公主の顔を模して制作された 《金製仮面》 です。

す、すっぴんなのでしょうかね??

何とか褒めて差し上げたいのですが、
彼女の美しさを形容する言葉が、僕の乏しいボキャブラリーの中には見当たらないです (汗)


というわけで、正直なところ、
今回の会場では、美しきプリンセスには、一人も出会えませんでした (あくまで自分的に)
美しきプリンセスに出会うためには、類い稀なる想像力が必要だと思われます (笑)



最後に。
この夏、契丹展に足を運んでみたいという方のために、

契丹展のチケットを5組10枚様にプレゼントいたします!

「契丹展に行きたい!」 という熱い思いを、
こちらの記事のコメント欄に書き込んで頂いた後に、
住所・氏名・電話番号を、以下の応募フォームよりお知らせください。
http://homepage3.nifty.com/art-teller/tony_contact.htm
(〆切は、7月31日。当選は発送をもって代えさせていただきます




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