国立西洋美術館では、 “ベルリン国立美術館展” 。
東京都美術館では、 “マウリッツハイス美術館展” 。
そして、上野の森美術館では、 “ツタンカーメン展” 。
一体、どの美術展が、この夏一番の入場者数となるのか。
今、上野の美術館同士で、熱き熾烈なバトルが繰り広げられているのです!!
・・・・・と、そんな中。
上野を代表する東京国立博物館は、今、何をしているのでしょう??
もちろん、この熱き熾烈なバトルに挑んでくるはずですよね・・・・・って、あれ?!
「ガラガラやないか~い (笑) !」
先に断わっておきますが。
これは、ブログの記事を面白くしようと、
あえて、人が少ない時を狙って撮影した写真ではありません。
本当に、終始こんな感じだったのです。
その原因は、間違いなく、現在開催中の美術展にあります。
現在開催されているのは、 “青山杉雨の眼と書” という美術展。
昭和から平成にかけて書壇に一時代を画した書家・青山杉雨 (1912~1993) の大々的な回顧展です。
“・・・・・・・・・・・誰??”
いや、青山杉雨さんには、何の非もありませんが。
こんなにも上野が、やれフェルメールだ、やれツタンカーメンだ、で盛り上がっている時に、
一般的に、お客さんが集まらない 『書』 の美術展、
それも、国民的・・・というほどではない書家の美術展を開催する、トーハクの真意がわかりません (笑)
むしろ、こういうタイミングでこそ、 “ボストン美術館 日本美術の至宝” や、
“北京故宮博物院200選” のような人気が集まる美術展を開催して欲しいものです。
無気力試合のような気がしてしまったので、1ツ星。
書が好きな人には、たまらない美術展なのでしょうが。
(実際、会場にいたお客さんは、書に携わっているっぽい方ばかりでした)
そこまで書に興味がない人間にとっては、
これほど足早になってしまう美術展はないのではないでしょうか (笑)
さてさて、こちらの美術展は、大きく2つの柱に分かれています。
1つの柱は、青山杉雨の書に関するコレクション。
楊維楨の 《張氏通波阡表巻》 をはじめ、
彼が熱心に蒐集した中国の書画の貴重なコレクションの数々が、一挙に展示されています。
さらに、
《蘭亭洮河緑石抄手硯》 のような文房四宝のコレクションも
紹介されています。
正直なところ、中国の書画に関しては、どの作品もよくわからなかったのですが (笑)
文房具好きな身としては、文房四宝のコレクションは、
今の文房具にも通ずるものがあって、思った以上に楽しく眺めてしまいました。
ちなみに、一番インパクトに残っている文具は、 《鶏血石印材》
凶器のようにも見えますが、ご心配なく (←?)
これは、もともとこういう色の石なのです。
ちなみに、この石は、 “鶏血石” と呼ばれるのだそうですが、
あまりに貴重なことから、 『幻の石』 とも言われているのだとか。
貴重かもしれないですが、プレゼントの包装紙を開けて、
もし、この石が入っていたら、嫌がらせ以外の何物でもないと思うことでしょう (笑)
そして、美術展のもう一つの柱は、もちろん青山杉雨の書。
作品によって、それぞれ表情がガラッと変わるため、
“一作一面貌” と評される青山杉雨の書。
《白楽天・間夕》 も、
《萬方鮮》 も、
《黒白相変》 も、
どれも青山杉雨の書です。
その変幻自在ぶりは、まるでカメレオン。
カメレオン俳優ならぬ、カメレオン書家です。
くどいようですが、書に関しては、あまり明るくない僕ですが。
青山杉雨の書は、作風が変幻自在のため、
「次はどんなのが来るのかな??」 と、意外と楽しく観賞できました。
普段は、書を観ても、 “ふ~ん・・・” くらいしか思わないのですが、
青山杉雨の書には、 “リズミカルだな♪” とか、 “ぬめぬめしてるな” とか、
いろいろな感想が湧いて出ました。
書を観ているというよりは、絵を観ているのに近い印象です。
というか、 《殷文鳥獣戯画》 なんて、もはや絵です (笑)
思ったよりは、楽しめましたが、
僕が、これまで訪れたトーハクの美術展の中では、断トツにお客さんの少ない美術展であったことは確か。
どうして、こんな冒険をしたのでしょうか。
夏は、人だけでなく、博物館も大胆になるみたいです。
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青山杉雨の眼と書
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