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Channel: アートテラー・とに~の【ここにしかない美術室】
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センス・オブ・ワンダー もうひとつの庭へ

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注:ヴァンジ彫刻庭園美術館及びクレマチスガーデンは、
  新型コロナウイルス感染拡大防止のため、4月22日まで臨時休館しています。
  4月22日以降の対応は改めてお知らせするそうです。
  なお、この取材は、緊急事態宣言が発令される前に行いました。



雑誌の連載の取材で、約8年ぶりに、
ヴァンジ彫刻庭園美術館にやってきました。




こちらは、イタリアを代表する現代具象彫刻家、
ジュリアーノ・ヴァンジの世界で唯一となる個人美術館です。
常設展示室では、初期作から近作まで、
数多くのヴァンジの彫刻作品と素描作品を楽しむことが出来ます。




ヴァンジは、若き頃より一貫して、
人物像を制作していますが、その表現は実に多彩。
さらに、素材も、木に石に金属に・・・と、実に多彩です。




どの作品も一度見たら忘れられないインパクトがありますが、
特に強く印象に残ったのは、やはり 《チューブの中の女》 でしょうか。




チューブの中に、女性がすっぽりとハマっています。




狭いところに小さくなって入っている姿は、
どこか 『鬼滅の刃』 の禰豆子を彷彿とさせるものがありました。
とりあえず太陽の光に当たらないよう気を付けてくださいませ (←?)。

それから、もう一つ印象的だったのが、こちらの 《座る男》




よく見ると、お腹に紐のようなものが!
どうやら椅子に縛り付けられているようです。
もしかしたら、マフィアに監禁されているのかもしれません。




なお、全体はブロンズで作られていますが、
このリアルな目玉や歯は、石を象嵌しているのだそうです。
余談ですが、そういえば、
この男性に似た人をどこかで目にしたことがあるような・・・?
『カメラを止めるな!』 に、こんな顔の人が出てませんでしたっけ??


さて、ヴァンジ作品が観られるのは、常設展示室だけではありません。
ヴァンジ彫刻庭園美術館の屋外、クレマチスガーデンでも観ることができます。
(約250品種2000株以上のクレマチスが植栽されています!)





一面に広がる緑と色とりどりの花々と、時々、ヴァンジ。
僕が訪れた時は、ちょうど桜吹雪が舞っていて、
「CGか?」 と思わず疑ってしまうほどに、それはそれは幻想的な光景でした。
ところで、クレマチスガーデンのメインとなるクレマチスは。。。




残念ながら、全く咲いていませんでした (泣)

なんでも、見ごろは5月中旬頃からとのこと。
最盛期には、このポール全体にクレマチスが絡まり、色とりどりの花が咲き誇るのだそう。
その頃は、きっとコロナウイルスも落ち着いているはず!
満開のクレマチスを観るために、是非再訪したいものです。


ちなみに。
現在、ヴァンジ彫刻庭園美術館の企画展示スペースでは、
“センス・オブ・ワンダー もうひとつの庭へ” という展覧会が開催されています。




展覧会名となっているセンス・オブ・ワンダーとは、
『沈黙の春』 で知られる海洋生物学者レイチェル・カーソンの遺作のタイトル。




彼女はその著書の中で、センス・オブ・ワンダーとは、
「美しいもの、未知なもの、神秘なものに目を見はる感性」 であると語っています。
そんな 『センス・オブ・ワンダー』 に登場する言葉とともに、




国内外の現代アーティストの作品を紹介しようというのが、今回の展覧会です。


(注:企画展示スペースの写真撮影は、特別に許可を得ております。)


日常生活の何気ない場面を柔らかなトーンで捉え、その本質を映し出す川内倫子さんや、




植物の種子や茎などを素材に繊細な彫刻作品を作るクリスティアーネ・レーアをはじめ、




美しいもの、未知なもの、神秘なものに目を見はり、
それを作品化する7名のアーティストが参加しています。
彼ら彼女らは、いわばセンス・オブ・ワンダーの持ち主。
その作品と向き合うことで、鑑賞者のセンス・オブ・ワンダーも自然と磨かれる。
まさにワンダーな展覧会です。
星星


どの作品も良かったのですが、個人的に一番惹かれたのは、
ブラジル出身のロゼリネ・ルドヴィコによる作品でしょうか。




こちらの2点の絵画は、2017年に彼女がヴァンジ彫刻庭園美術館に滞在し、制作したもの。
タイトルの 《Pure Heart》《Jewely Rose》 は、
どちらもクレマチスガーデンに咲くクレマチスの名前から付けられたそうです。
上の写真では、まったく伝わらなくて恐縮なのですが、
実物はもっと淡く繊細なピンク色で、ふんわりとした雰囲気をまとっていました。
“もし、春の高揚感を視覚化したら、たぶんこうなるよね。うん。” といった感じの絵です。
絵と向き合った瞬間に、思わず脳内で小学生の時に歌った歌が再生されました。




なお、今回の展覧会には、須田悦弘さんも参加しています。
須田さんといえば、植物を本物そっくりに木彫で制作し、
その作品を意外な場所に設置することでお馴染みのアーティスト。
実は、この写真の中のどこかにも、須田さんの作品があります↓




センス・オブ・ワンダーがあれば、気づけるはずですよ。




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