現在、世田谷美術館では、コレクションの柱をなす北大路魯山人の作品と、
ルソーやボーシャンといった、いわゆる 「素朴派」 の作家の作品を紹介する展覧会、
“世田谷美術館コレクション選 器と絵筆 魯山人、ルソー、ボーシャンほか” が開催されています。
展覧会の前半で紹介されているのは、魯山人による器の数々です。
なお、ポスターにも使われている 《椿文鉢》 を筆頭に、
北大路魯山人 《椿文鉢》 1940年頃 世田谷美術館蔵 撮影:上野則宏
展示されている約50件の魯山人作品はすべて、
魯山人と深く交流した世田谷の実業家・塩田岩治によって寄贈されたもの。
そんな通称、塩田コレクションが一挙公開されるのは、かなり久しぶりの機会なのだそうです。
それだけでもレアな機会なのですが、さらにレアなのが、その展示スタイル。
昨年夏に開催され、話題となった “作品のない展示室” と同様に・・・・・
展示室の窓をオープンにした状態で展示されています。
魯山人の器を観る機会は、少なくはないですが。
太陽光を浴びる魯山人の器に、砧公園を背景にした魯山人の器。
そんな光景が観られるのは、開館以来初めてのことだそうです。
また、嬉しいことに、こちらの展示スペースは写真撮影が可能!
ただし、撮影ポイントが定められているため、訪れる時間によっては・・・・・
完全に逆光となってしまいます (涙)
撮影してはみたものの、
出来上がりは、映えてないにもほどがありました。
綺麗な写真を撮りたい方は、
太陽の動きなどを調べてから訪れることをおすすめします。
ちなみに。
今回出展されていた魯山人の器の中で、
個人的にお気に入りなのは、《色絵染付鮑形鉢》 です。
北大路魯山人 《色絵染付鮑形鉢》 1935-44 年 世田谷美術館蔵 撮影:上野則宏
このあとに紹介される素朴派の画家たちに負けないくらいに (?) ユルさ溢れる作品。
青いエビに、緑と黒のストライプのエビって!!
なお、縁に描かれているのは、たぶん波だと思われます。
もしくは、王蟲かと。
展覧会の後半で紹介されていたのは、素朴派の作品の数々。
アンリ・ルソーの 《フリュマンス・ビッシュの肖像》 や、
アンリ・ルソー 《フリュマンス・ビッシュの肖像》 1893年頃 世田谷美術館蔵
《サン=ニコラ河岸から見たシテ島(夕暮れ)》、
アンリ・ルソー 《サン=ニコラ河岸から見たシテ島(夕暮れ)》 1887-88年頃 世田谷美術館蔵
そして、アンドレ・ボーシャンの 《地上の楽園》 も、
アンドレ・ボーシャン 《地上の楽園》 1935年 世田谷美術館蔵
ⒸADAGP, Paris & JASPAR, Tokyo, 2020 E3962
もちろん見ごたえがありましたが。
それと同じくらいに、「ほか」 の2文字で一括りにされていた、
ルソーとボーシャン以外の素朴派の作家の作品も見ごたえ十分でした!
中でも印象に残ったのが、久永強による 「シベリアシリーズ」 です。
60歳で絵筆をとった遅咲きの素朴画家・久永強。
そんな彼が74歳の時に出逢ったのが、
シベリア抑留をテーマに作品を描く香月泰男の絵でした。
それらを見た瞬間に、彼自身のシベリアでの辛い抑留体験が蘇ったのだとか。
そして、久永は自分なりの 「シベリアシリーズ」 を描こうと決意しました。
香月泰男が描く 「シベリアシリーズ」 も、
鑑賞すると、ズシンと重い気持ちになりますが。
久永強の 「シベリアシリーズ」 はそれ以上!
香月泰男の作品が、戦争をテーマにした映画やドラマとするならば、
久永強の作品は、例えるなら、戦争のドキュメンタリーといった感じでしょうか。
生々しい分、より胸に迫ってくるものがあります。
あまりにも内容がハードすぎて、
新年早々に、しかも、コロナで世の中が暗くなってる時に、
皆さまにお見せできるような作品は、ほぼありませんでした。
唯一、紹介できそうなのは、こちらの 《お化け茸》 という作品くらい。
久永強 《お化け茸》 1993年 世田谷美術館蔵
凄惨な場面や不穏な空気が描かれた他の作品と違って、
一見すると、まるで絵本の世界のようなメルヘンチックな作品です。
とはいえ、解説によると、この絵のタイトルになっているお化け茸とは、
常に空腹に苛まれていた捕虜たちが、血眼になって探したごちそうとのこと。
・・・・・・・・・・・・・・。
メルヘンのメの字もありませんでした。
さて、最後に紹介したいのは、
モリス・ハーシュフィールドによる 《母と子》 です。
モリス・ハーシュフィールド 《母と子》 1942年 世田谷美術館蔵
モリス・ハーシュフィールドは、ポーランドに生まれ、アメリカに渡った素朴画家。
腕の生え方はどうなっているのか?
椅子の座り方はどうなっているのか?
なぜ髪型は毛糸の束のようになっているのか?
子どもの顔、小さすぎないか?
観れば観るほど、いろんなところが気になってくるスルメのような絵画でした。
何より気になるのが、母と子の周囲の紋様です。
ここWi-Fi飛んでんな?
┃会期:2021年1月5日(土)~2月28日(日)
┃会場:世田谷美術館
┃https://www.setagayaartmuseum.or.jp/