今、3年ぶりに、根津美術館にて、
鎌倉時代 13~14世紀 根津美術館蔵
国宝 《那智瀧図》 が公開されています。
こちらの作品のセンターに描かれているのは、もちろん那智の滝。
日本三大瀑布の一つとしても、
約半年前に、ロッククライミングした人が逮捕されたことでもお馴染み (?) の那智の滝です。
一見すると、ただ単に滝の姿を描いただけの風景画に見えますが、さにあらず。
自然の風景としての那智の滝を描いた絵というよりは、
熊野那智大社の別宮・飛瀧神社のご神体としての那智の滝を描いた、いわば神様を描いた絵なのです。
そのため、この絵を前にすると、自然と厳かな気持ちになります。
信心深くない僕ですら、思わず手を合わせたくなってしまう。
そんな圧倒的な風格が、この絵には備わっていました。
まさに、国宝絵画の中の国宝絵画です。
神様を描いた絵なので、とても有りがた~いオーラが感じられるのは、もちろんですが。
それと同時に、滝を描いた絵でもあるので、マイナスイオンも感じられます。
父のような威厳もありつつ、母のような安心感もありつつ。
《那智瀧図》 は、そんな相対する2つの要素が、 奇跡的に共存した絵である気がします。
それだけに、しばらく、この絵を観ていると、
いや、この絵に見守られると、自分の目頭がジンワリとしてきました。
あれ、目から那智の滝が・・・ (笑)
さてさて、今回の美術展では、この 《那智瀧図》 を存分に味わえるように、
《那智瀧図》 が展示されている展示室2には、他の絵が1点も展示されていませんでした。
1フロアに、 《那智瀧図》 が1点だけ。
それだけ聞くと、かなりスペースが淋しいような気がしますが、
全くそう感じさせなかったのは、やはり、 《那智瀧図》 が “もってる” からなのでしょう。
ちなみに、展示室2へと至る展示室1では、
根津美術館が誇る絵画コレクションの中から、 《善導大師像》 や、
室町時代 16世紀 根津美術館蔵
重要文化財の 《善光寺縁起絵》
鎌倉時代 13~14世紀 根津美術館蔵
同じく、重要文化財の 《天狗草紙絵巻》 など、
鎌倉時代 永仁4年(1296)頃 根津美術館蔵
仏教絵画の名作の数々が展示されていましたが。
国宝 《那智瀧図》 の扱いと比べてしまうと、まるで前座のような立ち位置だった気がします。
いやはや、それくらいに、 《那智瀧図》 は別格。
本物の那智の滝まで足を運ばずとも、
南青山で、那智の滝を詣でた気分になれる、またとない機会ですよ。
(でも、いつかは、本物の那智の滝を見てみたい)
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新春の国宝那智瀧図 仏教説話画の名品とともに
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