本日ご紹介する美術展は、静嘉堂文庫美術館で開催中の “曜変・油滴天目 -茶道具名品展-” 。
こちらは、まず間違いなく、日本最高峰レベルの茶道具展と断言できましょう。
それくらいに、出展作品のラインナップ及び美術展の内容が、ともに充実しています!
茶道具に少しでも興味がある人にオススメなのは、もちろんですが。
茶道具に全く興味が無いという人にこそオススメしたい美術展です。逆に。
この美術展に行って、それでも、どの茶道具に対してもピクリとも反応しなかったならば、
その時に初めて、 「私は茶道具に全く興味の持てない人間です!」 と胸を張りましょう (笑)
ちなみに、自分もかつては、 「私は茶道具に全く興味の持てない人間です!」 と宣言していましたが。
静嘉堂文庫美術館の茶道具コレクションを目の当たりにしたせいで (←?) 、
「私は茶道具に全く興味の持てない人間です!」 というアイデンティティは、脆くも崩壊。
今では、すっかり茶道具に関心を抱くようになってしまいました (←イヤなのか?!) 。
さてさて、そんな風に、僕を茶道具野郎へと変えてしまった、
静嘉堂文庫美術館の茶道具コレクションの最強の刺客たちをご紹介いたしましょう。
まずは、 《唐物茄子茶入 松本茄子(紹鴎茄子)》 と、
《唐物茄子茶入 付藻茄子(松永茄子)》 の大名物ペアです。
見た目からは、そのスゴさが伝わらないかもしれませんが、
特に、写真右側の 《付藻茄子(松永茄子)》 は、静嘉堂文庫美術館の “小さな巨人” ともいうべき至宝。
何と言っても、その歴史がスゴい!
歴代の主な持ち主を挙げただけでも、
足利義満、足利義満、織田信長、豊臣秀吉、徳川家康・・・とビッグネームばかり。
さらに、本能寺の変と大阪夏の陣という2つの戦火をくぐり抜けたという強運の持ち主です。
ちなみに、大坂夏の陣では、大阪城とともにバラバラになり、
《付藻茄子(松永茄子)》 も 《松本茄子(紹鴎茄子)》 も見るも悲惨な状態に。。。
しかししかし、徳川家康に命じられた藤重藤元・藤厳という漆塗りの名工の親子が、見事復元に大成功!!
会場では、この奇跡の2つの茶入れの隣に、そのX線写真も展示されており、
その写真を見ると、実は、内側全体にヒビがびっしり入っているのがわかります。
よくぞ、ここまで見事に復元したものだと、藤重親子の技術に感動を覚えること必至です。
続いて、国宝の 《曜変天目(稲葉天目)》
曜変天目とは、完品は全世界で3点しか確認されていないという奇跡の茶碗。
茶碗番付 (?) でも、常に1位をキープしているKing of King茶碗なのです。
漆黒の器に浮かぶ青白く光る昴のような斑紋。
その恍惚としてしまうほどの美しさに、
気づけば、呼吸をするのを忘れていたくらいに見惚れてしまいました。
(↑そういう意味では、危険な茶碗ですw)
余談ですが、この 《曜変天目(稲葉天目)》 に浮かぶ斑紋の中に、
猫の肉球みたいな斑紋やミッキーマ●スのシルエットみたいな斑紋を見つけました。
意外とポップな一面があるのも、 《曜変天目(稲葉天目)》 の魅力なのかもしれません。
その 《曜変天目(稲葉天目)》 が、お茶碗界のナンバー1ならば、
こちらの 《油滴天目》 は、お茶碗界のナンバー2。
今回の展示では、ライティングが下から当てられているため、
表面の斑紋たちが、ゆらゆらと虹色の光を放っているような表情に。
『不思議の国のアリス』 をどことなく彷彿とさせる、ファンタジーな魅力いっぱいのお茶碗でした。
今回の茶道具名品展には、これらの最強メンバーが、オール出演しているのはもちろん。
仙台藩主伊達家伝来の 《青磁鯱耳花入「砧花入」》 や、
丸亀藩主・京極家伝来の野々村仁清作 《色絵吉野山図茶壺》 など、
大名家が旧蔵していた名品の数々も出演 (=展示) し、
会場をより華やかに、よりゴージャスに盛り上げています。
ただ名品を展示するだけでなく、
日本での茶道具の歴史の流れが掴めるように展示されていたり、
キャプションだけでなく、配布のカラー8ページのリーフレットで詳しく解説してくれているなど、
茶道具観賞ビギナーに対する配慮があるのも嬉しいところ。
この美術展に行ってみましたが、
それでも 「私は茶道具に全く興味の持てない人間です!」 という方は、
是非コメント欄にカキコミをよろしくお願いします (笑)
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曜変・油滴天目 -茶道具名品展-
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