私の記憶が確かならば、
かつて 『グルメ』 をテーマにした浮世絵展はお目にかかったことがなかった―
ということで、今回は、天ぷらに、
初鰹に、
焼き芋に。
江戸っ子たちが大好きだった食べ物がたくさん登場する浮世絵展・・・
“江戸っ子味めぐり” をご紹介いたします。
“江戸っ子のグルメだけで、浮世絵展が成立するの??”
と、若干不安はありましたが、それは、全くの杞憂。
今では、 「東京は世界一グルメの都市」 と評されていますが、
いやはや、そのルーツは、すでに江戸時代にあったのだなぁと実感。
それくらいに、江戸のグルメ事情も豊かなものがあり、なかなかどうして見応えのある浮世絵展でした。
普通の浮世絵展と違って、目だけでなくお腹も刺激されるのだけは要注意です (笑)
現代人の僕から見ても、普通に美味しそうな食べ物も多数ありましたが。
逆に、 「えっ、そんな食べ方してたの?」 と、
カルチャーショックなケースもあり、食文化の奥深さを実感しました。
例えば、
歌川国貞(三代豊国)の 《十二月ノ内 水無月 土用干》 に描かれている・・・
お皿に、こんもりと盛られた、こちらの物体。
実は、四角く切られたスイカなのだそうです。
江戸時代のスイカは、今ほど甘くなく、
このように切り分けて砂糖をかけて食べるのが一般的だったのだとか。
志村けんのような食べ方は、江戸時代はメジャーで無かったのですね。
また、歌川広重の 《名所江戸百景 びくにはし雪中》 に登場する・・・
『山くじら』 なる謎の単語は、
江戸時代は、獣肉を食べるのが一般的でなかったため、猪の肉を 「山くじら」 と称していたものなのだとか。
猪の肉ならともかくも、山くじらの肉と言われてしまうと、
あまり食べる気がしないのですが、そこが現代人と江戸っ子の感覚の違いなのでしょう。
逆に、江戸時代も現代も、そう変わらないのだなァと共感を覚えてしまったのが、
歌川国貞 (三代豊国) の 《今世斗計十二時 辰ノ刻》 という浮世絵作品です。
こちらは、辰ノ刻・・・つまり、朝8時~10時頃に、のんびりと起きた女性を描いた一枚。
女性は起き抜け感満点ですが、コマ絵 (右上) にご注目。
描かれている女性の夫は、早起きして朝ごはんをしています。
男はつらいですね (笑)
ちなみに、同じシリーズの巳の刻、
つまり、10時から正午までを描いた作品のコマ絵に描かれているのは・・・
お惣菜屋さんなのだとか。
「お昼は、お惣菜で済ましちゃおう。」
江戸時代も現代も主婦の考え方には、そんなに差はないみたいです (笑)
最後に、今回一番印象に残った浮世絵作品を。
歌川国貞(三代豊国)の 《二五五四好今様美人 甘い物好》 です。
右手にお菓子。
左手にもお菓子。
甘い物好きにもほどがあります。
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江戸っ子味めぐり
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