東京都写真美術館で開催中の “ストリート・ライフ ヨーロッパを見つめた7人の写真家たち” に行ってきました。
こちらは、イギリス、ドイツ、フランスで、
19世紀後半から20世紀前半に展開したソーシャル・ドキュメンタリー写真に焦点をあてた写真展。
トーマス・アナン、ジョン・トムソン、ビル・ブラント、
ブラッサイ、ウジェーヌ・アジェ、アウグスト・ザンダー、ハインリッヒ・ツィレ
以上、7名の写真家たちのドキュメンタリー写真が、約180点展示されています。
見応えバッチリ。
ソーシャル・ドキュメンタリー写真とは、
社会問題を明らかにするために撮られた写真のこと。
つまり、アート性を狙っていない写真なのですが。
優れたドキュメンタリー番組やドキュメンタリー映画が、
時に、下手なフィクションの作品よりも感動を生むように。
優れたソーシャル・ドキュメンタリー写真からは、
やはり、静かな感動を受け取ることが出来ました。
例えば、トーマス・アナンの 《グラスゴーの古い小路と街路》
こちらは、1986年に、グラスゴー市からの委託により、
再開発計画の一環として壊される前の建築や街頭の風景の記録として撮られた写真です。
単なる記録写真なはずなのですが、
これから壊されるであろう街並みに漂う寂寥感、退廃感が、見事に写真に表現されている気がします。
しばらく観ていると、涙線がゆるんでくるので注意したい一枚。
トーマス・アナンが、街を記録したのならば。
アウグスト・ザンダーは、人を記録した写真家。
この 《若い農夫たち》 以外にも、
警官、医長、高等学校新卒者、酒場のボーイなど、様々な職業の人物がモデルになっていました。
その中に、 《クビを切られた海員》 の写真も。
こいつが、かなりヘラヘラした表情で、写真に収まっていました (笑)
クビを切られたのも納得です。
今回紹介されていた7名の写真家の中で、
個人的に一番惹かれたのは、ハンガリーのブラッサイの写真。
マグネシウム・フラッシュを多用して撮影された 『夜のパリ』 の写真は、何とも幻想的。
《霧に包まれたオプセルヴァトワール通り》
この他にも、ブラッサイが捉えたさまざまなパリの夜の顔が紹介されていました。
・・・と、その中に、思わずタイトルで噴き出してしまった写真が一枚。
タイトルは、
《酒場のカウンターの女とひも》
でした (笑)
確かに、 “ひも” の面構えです。
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ストリート・ライフ ヨーロッパを見つめた7人の写真家たち
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