こんな ‘ゆる~い’ 幟で来場者を出迎え、
‘ゆる~い’ 江戸絵画展を開催させたら右に出るものはいない (?) 板橋区立美術館。
なんと、そんな板橋区立美術館で今、
“発信//板橋//2013 ギャップ・ダイナミクス” という現代アート展が開催されているという。
・・・・・いやいやいや (笑)
あの板橋区立美術館で、現代アート展って。
全く想像が付きません。
仮に、現代アート展を開催したとしても、
板橋区立美術館のことですから、 ‘ゆる~い’ 現代アート展に仕上がっちゃっているはずです。
そんなことを思いながら、板橋区立美術館に向かったところ、、、
美術館の入り口前に設置された作品に、いきなりガツンとやられました。
こちらは、大矢りかさんの 《立ち尽くす木》 という作品。
もとから入り口の前にあったケヤキの木を、
自然素材のみで製作された高さ4m長さ13mの巨大な舟が囲っています。
まさに、ケヤキの木は、されるがままに立ち尽くしているという様相。
その光景を目の当たりにした僕も、しばし、その場に立ち尽くしてしまいました。
前言撤回。 (大変失礼しましたm(__)m)
これは、全然 ‘ゆる~い’ 現代アート展なんかではなさそうです。
そして、その予感は、展示室に入った瞬間に確信に変わりました。
金沢寿美 出窓のカーテン 2013年
(注:館内は写真撮影禁止です。こちらの記事に使用ている画像は、板橋区立美術館より特別にお借りしたものです)
「!!!」
会場で待ち受けていたのは、金沢寿美さんの 《出窓のカーテン》 というインスタレーション作品。
想像の斜め上をいく光景が広がっていて、思わず圧倒されました。
金沢さんご自身が経験された阪神大震災が、この作品のイメージソースとなっているそうです。
阪神大震災や一昨年の東日本大震災に関して、
メディアを通じて、これまでに沢山の映像や写真を目にしてきましたが。
それら以上に、こちらの 《出窓のカーテン》 が作り出した光景は、胸に迫るものがありました。
メディアが視覚的に震災の悲惨さを伝えているのに対し、
こちらのアート作品からは、もっとダイレクトに、感覚的に震災の悲惨さが伝わってきます。
ただ、悲惨さを感じる一方で、希望の風のようなものも同時に感じることが出来ました。
どこか救いのある作品です。
ともあれ、この作品を通じて、
「あの震災を風化させてはいけない」 と、初めて実感を伴って思えた気がします。
改めて、アートの持つ力、伝える力を再認識する作品でした。
ちなみに。
この 《出窓のカーテン》 は、建物の内だけでなく、外側も使ったインスタレーション作品とのこと。
というわけで、外に出てみました。
外壁だけでなく、窓も大変なことになっています。
(注:もちろん作品の一部ですので、消防署に通報することのないようお願いしますw)
まさか、あの ‘ゆる~い’ 板橋区立美術館が、
ここまでダイナミックな現代アート展を開催するとは夢にも思いませんでした。
そのギャップに、2つ星。
あっ、だから、美術展のタイトルが、 『ギャップ・ダイナミクス』 なんだ
と思ったら、全然違いました (笑)
美術展のタイトルに使われている 『ギャップ・ダイナミクス』 とは、実は、森林生態学の用語。
生い茂った森林の中で大木が倒れることによって、
森の頂にぽっかり空いた穴のような空間 (ギャップ) が生まれ、
暗かった森の底に陽光がさし、新たな発芽と成長が移り変わる現象のことなのだとか。
今回の美術展では、その 『ギャップ』 を “社会につけられた傷” と解釈し、
出品作家は、それぞれの形でギャップ・ダイナミクスな作品を発表しています。
ちなみに、出品作家を選定したのは、
今展覧会のコミッショナーを務める丸山常生・丸山芳子 (板橋区内在住の美術家) の両氏だそうです。
丸山常生 発生源としての場所(Generation Sources)2013年
こちらは、その丸山常生さんの 《発生源としての場所(Generation Sources)》 という作品。
板橋区立美術館所蔵の絵画作品ともコラボしたインスタレーション作品です。
一体、どんな形で、板橋区立美術館所蔵の絵画作品が設置されているのか。
これは、会場に行ってのお楽しみです♪
会場に行ってのお楽しみと言えば、任田進一さんの作品の展示会場も要チェックです。
任田進一 Vague noise 2012-2013年
「ここ、本当に板橋区立美術館?」 と目を疑うほどに、
白金高輪や表参道のギャラリーのような (?) スタイリッシュなアートスペースに変身していました。
もちろん任田さんの作品も素敵なので、そちらも併せてお楽しみくださいませ。
現代アートが好きな人には、本当にオススメな美術展なのですが。
現代アートが好きな人は、おそらく板橋区立美術館はチェックしていないことでしょう。
(板場区立美術館で、現代アート展が開催されるイメージが、あまりに無さすぎて)
そういう意味では、まさに “隠れ家系 美術展” 。
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発信//板橋//2013 ギャップ・ダイナミクス
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