昨日より、東京藝術大学大学美術館で、
“観音の里の祈りとくらし展-びわ湖・長浜のホトケたち-” が始まりました。
(注:館内の写真撮影は、特別に許可を頂いております)
展示されているのは、滋賀県長浜市に古くから伝わる観音像。
重要文化財に指定されている 《千手観音立像》 (日吉神社(赤後寺)蔵) や、
同じく重要文化財の 《十一面観音立像》 (善隆寺蔵) 、
長浜市指定文化財の 《馬頭観音立像》 (横山神社蔵) を筆頭に、
総勢18体の観音様が、東京に初めてお越しくださっています。
ありがたや。
長浜の観音像の一番の特色は、地元の村人たちによって、今日まで守り伝えられてきたこと。
元々は、大寺院の由緒ある仏像だったそうですが、
それらの大寺院の多くが衰退し廃寺化したあとも、村の本尊として大事に祀っていたのだそうです。
また、戦国時代に姉川の合戦や賤ヶ岳の合戦など、何度も長浜の地が戦火に見舞われた時も、
村人たちは、川底に沈めたり、地中に埋めたりして、観音像たちを大切に守ってきたのだそうです。
その観音像を守り伝える姿勢は、今現在も続いているのだそうです。
それゆえ、今回、そんな長浜の観音様が東京にやってきたのは、本当に奇跡的な出来事。
長浜の地元の人々にとっての精神的支柱と言っても過言ではない観音様を、
3週間限定とはいえ、東京にお貸しくださっているのですから、その胸中やいかばかしか。
今頃、おそらく長浜の人々は、
「我らが観音様は東京で元気にやっているだろうか??」
と、考えずにはいられないはず。
大切に育ててきた我が子を、
海外にホームステイさせたような気持ちで、日々を過ごしているのではないでしょうか。
そんな大切で貴重な観音様たちに対して、
あぁだこうだとツッコミを入れるのは、大変心苦しいのですが。
アートテラーは、そういう仕事なので、気になった観音様たちを紹介していきます (笑)
まずは、やっぱり 《十一面観音立像》 (大浦十一面腹帯観音堂蔵) です。
こちらは、なんやかんやあって (←割愛) 、サラシを巻くことになった観音像。
通称、腹帯観音です。
子宝祈願、安産祈願の本尊として、地元では昔から有名なのだそうで、
実際に、 《十一面観音立像》 が巻いていたサラシを頂いて、自分のお腹に巻けば安産になるのだとか。
ちなみに、マイ腹帯を、 《十一面観音立像》 に1週間巻いてもらうことも可能とのこと。
コルセットもOK。
・・・・・・・コルセットを巻いている姿、ちょっと観てみたいです (笑)
続いて、安念寺の 《菩薩形立像》 & 《如来形立像》 コンビ。
織田信長の比叡山焼き討ちの際に、大きく破損してしまったそうです。
それにくわえて、昭和の初めごろまでは、
村の子供たちが、この像を運び出しては川に浮かべて遊んでいたのだとか。
織田信長と子どものWパンチで、ほぼ原形は留めていないのですが。
それでも、思わず手を合わせたくなるような有難味がありました。
むしろ余計な装飾が削ぎ落とされて、純粋なるものだけが残ったような印象です。
最後は、菅山寺に伝わる 《十一面観音立像》 をご紹介。
木心乾漆で造られているのが、その最大の特徴。
木心乾漆とは、大まかな部分を木彫で造り、
細部を木屎漆 (木屑を麦漆で溶いてペースト状にしたもの) をパテのように盛り上げて彫像する技法です。
おそらく長い歴史の中で、顔を破損してしまったようで、
おそらく誰かが木屎漆で、その部分を補修したようなのですが・・・・・。
顔面が大変なことになってしまっていました。
整形、失敗。
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観音の里の祈りとくらし展-びわ湖・長浜のホトケたち-
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