国立科学博物館で開催中の特別展 “医は仁術” に行ってきました。
こちらは、今や世界の最先端を走る日本の医療のその原点、江戸時代の医学にスポットを当てた展覧会です。
江戸の医がテーマで、タイトルが 「医は仁術」 と来れば、頭に流れるのは、あのメロディ。
実は、会場の冒頭でも、この 『JIN -仁-』 のテーマ曲が流れていました。
さらに、展覧会のスペシャルナビゲーターと音声ガイドのナレーターを務めるのは、大沢たかおさん。
主催は、もちろんTBSでした。
・・・・・・・・それだけに、正直なところ、
「もう完全に、 『JIN -仁-』 のヒットに当て込んだだけの展覧会ですやん。。。」
と、ちょっと斜に構えていたのですが。
展覧会そのものは、いたって真面目に作られており、
決して、ドラマの人気に乗っかっただけの展覧会ではありませんでした! (関係者の皆様ゴメンナサイ)
まず何と言っても驚かされたのが、展示品の多さ。
実際に江戸時代に使われていた医療器具や、
漢方薬の原材料 (ちなみに、写真左の 「竜歯」 は、マンモスやサイの歯の化石!) 、
さらには、江戸時代に使われていた薬屋の看板に、
教科書でもお馴染みの 『解体新書』 まで、
(写真左:《解体新書》 国立科学博物館蔵 写真右:杉田玄白の弟子らによって刊行された 《重訂解体新書》)
江戸の医学に関する、ありとあらゆるものが会場に集められていました。
その徹底ぶりに、今回の展覧会を企画した方の本気度が伺えます。
「このままの形で、こういう江戸の医学専門の博物館を、どこかに作ってしまえばいいのに」
と、本気で思ってしまったほどのクオリティー&ボリューム。
6月15日に会期が終わってしまうのが、すでに今から悲しいくらいです。
また、普段なかなか目にする機会のない江戸時代の解剖図が多く展示されているのも、見どころの一つ。
それらの中には、日本最古の解剖図と言われる 《山脇東洋観蔵図》 も。
これは貴重です。
ちょっと (かなり?) グロいですが、こうした解剖図があったからこそ、
日本の医学が発達して、今の健康な自分がいるのかと思うと、殊勝な気持ちになりました。
意外だったのは、ほとんどの解剖図が、ちゃんと写実的に描かれていたこと。
江戸時代の解剖図だからと高を括っていたのですが、
思わず、じっくり見入ってしまうくらいに、細部まで描きこまれていたのには、純粋に驚きました。
アート作品として見てもレベルが高く、普通に美術展に展示されていても遜色は無いと思います。
ただ1点、日本初の医学的な実写人骨図とされる 《人身連骨真形図》 を除いてですが・・・ (笑)
ちなみに、解剖図だけでなく、江戸の医学に関連して、
骸骨がリアルに描かれた歌川国芳の 《大宅太郎光国妖怪退治之図》 をはじめとする浮世絵や、
英一蝶による 《神農図》 、幕末を代表する蒔絵師・原羊遊斎が制作した薬箱なども展示されています。
博物館的な展覧会かと思いきや、意外にも美術作品とも出合える展覧会でもありました。
そういう意味では、美術好きな方にもオススメです。
さてさて、奥深い江戸の医学の世界を、たっぷりと堪能した後は、
『JIN -仁-』 並みに (?) 、いっきにタイムスリップして、現代のゾーンへ。
こちらでは、人体のプロジェクションマッピングや、
3Dプリンターによる臓器モデルなどを交えながら、最新の医療事情が紹介されています。
江戸の医学だけでなく、ちゃんと現代の日本の医学も学べるのが、科博らしい展覧会。
きちんと知的好奇心のツボを押さえています。
そして、そんな展覧会のラストを飾るのが・・・
なぜか鉄拳さんによるパラパラマンガシアター。
「いやいやいや、さすがに、これはないでしょ (笑)」
と思いつつ、観賞。
数分後
・°・(ノД`)・°・
多少、強引に “医は仁術” 展に結びつけた感はありましたが、不覚にも会場で泣いてしまいました。
花粉症のせいにしましたが、おそらく周りの人にはバレていたはずです (笑)
驚きあり、感動あり、アートあり、グロあり (?) 、涙あり (??)。
とにもかくにも見応えたっぷりな展覧会でした。
3つ星でありんす。
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医は仁術
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