現在、東京ステーションギャラリーでは、
“洋画家たちの青春 ―白馬会から光風会へ” が開催されています。
こちらは、今年で記念すべき100回目を迎える洋画団体・光風会にスポットを当てた美術展です。
藤島武二、小磯良平、猪熊弦一郎といったネームバリューのある画家から、そうでもない画家まで (←!) 。
光風会で活躍した、または関わりの強い67作家80余点の作品が紹介されています。
しかも、北は群馬から、南は宮崎まで、
個人蔵も含めて、全国40か所近くから作品を借り集めてきたという気合の入りよう。
パッと見、薄味な美術展に思えますが、
実は、厳選された素材 (絵画) を使って丹念に作り込まれた、いわば、料亭のお吸い物のような美術展です。
さてさて、そんな美術展のトップバッターを飾るのが、
光風会の前身となる美術団体・白馬会の主要メンバーたちの作品群。
その中心物である黒田清輝の 《鉄砲百合》 や、
1909(明治42)年 石橋財団石橋美術館
黒田の盟友・久米桂一郎の 《林檎拾い》 をはじめ、
1892(明治25)年 久米美術館
日本近代洋画史に残る名作の数々が、勢ぞろいしていました。
それの中で個人的に強く印象に残ったのが、
岡田三郎助の 《五葉蔦》(泉屋博古館蔵)の隣に展示されていた・・・
(注:館内の写真撮影は、特別に許可を頂いております)
矢崎千代二の 《秋の園》 (横須賀美術館寄託)という一枚です (写真左)
和服の袖が、アザミの棘に引っかかってしまった少女の姿が描かれています。
その表情や仕草が、とても瑞々しい作品でした。
ただ、一つ気になったのが、そんな瑞々しい印象が、
画面の左下に書かれた作者のサインにより、ちょっとだけ相殺されていたこと。
赤文字で目立つように、 「C.YAZAKI」 。
あまり主張が強いサインなので、一瞬、 「YAZAWA」 に空目しました (笑)
もう少し控え目に、ヨロシク!
ちなみに。
今回初めて知ったのですが、白馬会というネーミングは、
白馬=ペガサスというイメージから付けられたものではないのだそうです。
居酒屋で、白馬 (どぶろくの隠語) を飲んでいる時に、結成の相談がまとまったことに由来するのだとか。
これまで白馬会という名前に、詩的な印象を抱いていただけに、軽くショックを受けました (笑)
また、そんな白馬会の会報の名前として使われていたのが、 『光風』 とのこと。
『光風』 には、クローバーという意味もあるそうで、
クローバー (和名:馬肥し) は、馬の肥料として与えられていたことに由来するのだそうです。
白馬会の画家たちの作品が紹介されたあとは、
光風会結成の主要メンバーの一人だった杉浦非水の作品(すべて愛媛県美術館蔵)をはじめ、
光風会に関わる作家の作品群が、時系列にそって紹介されています。
特に、東京駅の煉瓦壁を活かした2階の展示フロアと、
大正・昭和初期に描かれた洋画との親和性が高かったことが、何よりも印象的でした。
あたかもタイムスリップしたかのような感覚を味わえます。
この空気感に浸れただけでも、足を運ぶ価値はありました。
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洋画家たちの青春 ―白馬会から光風会へ
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