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Channel: アートテラー・とに~の【ここにしかない美術室】
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バルテュス展

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国内最大規模にして、没後初となる “バルテュス展” に行ってきました。
会場は、東京都美術館。
会期は、6月22日までです。

さてさて、国内では約20年ぶりの回顧展ということもあって、
バルスなら知ってるけど、バルテュスは知らないという方も多くいらっしゃることでしょう。
そこで、まずは、簡単にバルテュスについてご紹介。

バルテュス (1908~2001) は、フランスの画家。
バルテュスは芸名 (?) で、本名は、バルタザール・クロソフスキー・ド・ローラと言います。
ほとんど独学で絵を学びながらも、その実力は折り紙つきで、
あのピカソをして、 『20世紀最後の巨匠』 と言わしめたほどの人物です。
ちなみに、59歳の時に、バルテュスは34歳年下の日本人女性と再婚。
勝新太郎の大ファンであったなど、親日家としてのエピソードも多数知られています。

そんなバルテュスの作品が、世界中から日本に大集結。
日本初公開の作品や個人蔵も含めて、約40点以上の油彩画が展示されていました。
1、2点なら目にしたことがありましたが、
今回のように、まとめた形でバルテュス作品を観賞するのは、もちろん初めてのことです。
観始めた段階では、 「まぁ、何だかクールな絵だよね。」 というクールな感想しか抱けませんでしたが。
バルテュスの作品と向き合う時間が増えるにつれ・・・

猫たちの王  バルテュス 《猫たちの王》 1935年 油彩、カンヴァス 78x49.5cm 
バルテュス財団 (ヴヴェ、イエニッシュ美術館寄託)© Fondation Balthus,dépôt Musée Jenisch Vevey



美しい日々  バルテュス 《美しい日々》 
1944-1946年 油彩、カンヴァス、148x199cm ハーシュホーン博物館と彫刻の庭
© Hirshhorn Museum and Sculpture Garden, Smithsonian Institution,
Gift of the Joseph H. Hirshhorn Foundation, 1966. Photography by Lee Stalsworth



その独特な世界観に、どハマりしてしまいました!! (←かなり熱くなっています)

バルテュス作品の魅力は、なんと言っても、独特な距離感にありました。
こちらが、いくら作品世界に近づこうとしても、スッと距離を置かれてしまうのです。
しかし、かといって完全に絵に拒絶されているわけでなく、
絵から心が離れると、逆に、スッと一定の距離を保って、近づいてくるかのような印象を受けました。
その常に一定に保たれる鑑賞者と絵との距離感が、なんとも絶妙。
距離感というよりも、間合いという表現のほうが、しっくり来る気がします。


また、「この上なく完璧な美の象徴」 として少女像を多く描いていたというバルテュス。
正直なところ、作品を目にするまでは、

“もしかして、なかなかにアブノーマルな、18禁のような少女像なのでは??”

と、いろんな意味でドキドキしていましたが。
大丈夫でした (←?)
やはり絶妙な距離感があるおかげで、
エロティックは感じるものの、全体的にはクールな印象に映りました。

夢見るテレ-ズ  バルテュス 《夢見るテレーズ》 1938年 油彩
カンヴァス 150x130cm メトロポリタン美術館 Jacques and Natasha Gelman Collection,
1998 (1999.363.2). Photo: Malcolm Varon.©The Metropolitan Museum of Art. Image source:Art Resource, NY



男なので、多少、パンツにも目がいってしまいましたが (!)
それよりも、作品に漂う世界観や空気感といった全体像に目がいきました。
対角線を明らかに意識した構図も、クールな印象に拍車をかけています。



世界中から集められた作品を堪能できるだけでも十分に贅沢なバルテュス展でしたが。
バルテュスのアトリエを再現していたり、
バルテュスの愛用の品々を紹介していたり、様々な角度から彼の魅力に迫ったバルテュス展でした。
星星星
間違いなく、2014年のアートシーンを語る上で欠くことの出来ない美術展だと思います。


ちなみに、今回の出展作品の中で、
個人的に一番印象に残ったのが、 《トランプ遊びをする人々》 という一枚。

トランプ遊びをする人々》  1966-1973年 カゼイン、油彩、テンペラ、カンヴァス 203 x 240cm
 ボイマンス・ファン・ベーニンゲン美術館 © Museum Boijmans Van Beuningen, Rotterdam
Photo: Studio Tromp, Rotterdam



こちらは、バルテュス後期の作品で、フレスコ画を彷彿とさせる絵肌が特徴的です。
また、日本で観賞した歌舞伎の影響を受けているとのことで、
登場人物たちのポージングは、なんとなく歌舞伎の見栄を彷彿とさせました。
それよりも気になるのは、2人の顔。
あまりにソックリ。
兄妹?
ちょっと伊吹吾郎似。




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