現在、菊池寛実記念 智美術館では、
“陶の空間・草木の空間―川崎毅と関島寿子 展” が開催されています。
こちらは、30年近くにわたって、陶の 「街」 を作り続けている川崎毅さん (1942~) と、
《街(家の上の家)》
ヤナギやクルミなど様々な植物を編み、造形的な 「カゴ」 を造る関島寿子さん (1944~) の二人展です。
《固形Ⅱ》
お二方は、特にユニット活動されているというわけでなく、
今回の展覧会で、初めて共演を果たしているのだそうですが。
どちらも独自の作品世界を築き上げていること、
どちらも空間というものを意識させられる作品であったこと、
どちらの作品も静謐で論理的な雰囲気を漂わせていること、
そして、どちらの作品も実用的ではないこと (笑)
・・・などなど、通ずるところが多々あって、
作品同士が不思議と響き合っていたのが、何よりも印象的な美術展でした。
川崎毅さんが作る陶の 「街」 シリーズも良かったですが、
個人的に一番惹かれた川崎さんの作品は、 《室(上からの光)》 です。
タイトル通り、陶の空間に上から光が差し込んでいる作品です。
(サイドからも光は差し込んでいましたが)
陶器として、まったく実用性はありませんし、
そもそも、何で陶器で作る必要性があったのかも謎ですが。
それを超越した絶対的な存在感がありました。
この中に小さな自分 (?) が入ることが出来たら、
どれほどの光を全身で感じることが出来るのでしょうか。
作品と向き合って、しばし、そんな思いを巡らせてしまいました。
ちなみに。
今回出展されている川崎さんの作品の中で、一つだけ毛色の違う作品が。
《猫》
AIBOのような猫。
可愛いような可愛くないような。
一周回って可愛いような。
川崎さんの作品世界にも惹き込まれましたが、
個人的には、関島寿子さんの作品世界に、どっぷりとハマってしまいました。
パッと見では、適当に作っているような気がするのですが (←超失礼!) 、
実は、かなりシステマティックに、関島寿子さんの作品は作られているのです。
例えば、こちらの 《なわの記録Ⅶ 左縒・右縒》 という作品。
一見すれば、ただの縄。普通の一本の長い縄です。
しかし、一筋縄ではいきません。
よく見ると、その縄の途中にいくつも結び目が。
そして、その結び目を境に、左縒りから右縒へ、右縒から左縒へと、縒り方が変化しているのがわかります。
このように関島さんによる絶対的なマイルールによって制作されているからでしょう。
その出来上がった作品の姿には、これ以外の姿は存在し得ないような絶対的な説得力がありました。
他の作品も、また然り。
《域を印すⅢ》 や、
《反発の和》 をはじめ、
関島さんのルールによって生み出された作品は、やはり絶対的な説得力がありました。
しかも、さらにスゴイのが、どの角度から観ても、造形として絶対的な説得力があるということ。
左から観ても、右から観ても、上から観ても、
右上から観ても、その少し右寄り側の角度から観ても・・・以下、略。
とにもかくにも、関島さんの作り出す形は、造形としての一つの完全体であるような気がします。
一般的な美術作品が、 「美しいなぁ♪」 と感覚で味わう作品であるのに対し、
関島さんの美術作品は、 「なるほど。こういう美もあるのか!」 と真理に目覚めさせられるかのような作品です。
今年の夏は、例年以上に、話題の大型美術展が数多く開催されていますが。
その中でひっそり開催されているにも関わらず (←またも失礼!)
個人的には、見逃せない美術展の一つであると思っています。
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陶の空間・草木の空間―川崎毅と関島寿子 展
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