今回ご紹介するのは、三井記念美術館で開催中の “能面と能装束 ─みる・しる・くらべる─” 。
三井記念美術館が所蔵する旧金剛宗家伝来の能面 (重要文化財) と能装束を紹介する展覧会です。
今回の展覧会の見どころは何と言っても、最初の展示室。
重要文化財 《翁(白色尉)》 をはじめとする能面が・・・
伝日光作 室町時代 三井記念美術館 撮影:金井杜道
なんとアクリル板に展示されていました。
まるで能面が浮いているかのような光景に、思わずハッと息を呑みました。
こんなにも斬新な能面の展示を、僕はこれまでに見たことがありません!
さらに、アクリル板に展示されているということは・・・
能面の裏側を観ることも可能です!!
能面の裏側を初めて目にしましたが、能面の裏側って、こんな風になっていたのですね?!
まさか、こんな風な仕上げになっているとは。
まさか、こんな感じで、作者の名前が書かれているとは。
『能面の裏側全部見せます』 的な感じで、非常に興味深く拝見させて頂きました。
くどいようですが、こんなにも斬新な能面の展示を、僕はこれまでに見たことがありません!
と、能面の裏側に、つい目がいってしまいがちですが。
もちろん表側だって見逃すわけにはいきません (←当たり前)
今回紹介されていた能面の中で、特に印象に残っているのが、重要文化財 《孫次郎(オモカゲ)》 です。
伝孫次郎作 室町時代 三井記念美術館 撮影:金井杜道
まぶたや頬、鼻筋と目の間など、
顔の表面に現れている曲線が、あまりにも繊細で優美で、思わず見惚れてしまいした。
この繊細な曲線があるからこそ、見る角度によって、絶妙に表情が変化するのだと実感。
“能面なような表情” という慣用句がありますが、
本当に素晴らしい能面は、驚くほどに表情が豊かなものだったのですね。
この能面を間近で観ることが出来ただけでも、この展覧会に来た甲斐がありました。
表情が豊かと言えば、重要文化財 《大飛出》 も。
伝赤鶴作 室町時代 三井記念美術館 撮影:金井杜道
《孫次郎(オモカゲ)》 の表情が、繊細だったのに対し、
重要文化財 《大飛出》 の表情は、ややオーバーな印象でした (笑)
小顔トレーニングしているかのようです。
さてさて、能面だけでなく、能装束も見逃すわけにはいきません。
「能=幽玄の美」 というイメージがあったので、地味な能装束ばかりなのかと思いきや。
予想に反して、豪華絢爛な能装束が数多く展示されていました。
中には、マツケンサンバっぽい (?) 能装束も。
特に豪華絢爛だったのが、 《刺繍七賢人模様厚板唐織》 です。
明治時代 三井記念美術館
全面いっぱいに描かれた図柄は、なんと全て刺繍で表現されています。
近くに寄ってみれば、刺繍で表現された可愛らしい七賢人や動物たちの姿を見て取ることが出来ます。
・・・・・・ん?
でも、能を演じている時、観客はそこまで近づいて目にすることが出来ないような。
そういう意味でも、豪華な衣装です。
ちなみに。
今回の展覧会には特別に、 《正月飾文様打掛》 をはじめ、
株式会社三越伊勢丹所蔵 写真提供:株式会社三越伊勢丹
三越伊勢丹が所蔵する歌舞伎衣裳の数々も出展されています。
能に歌舞伎に。
舞台は揃っています。
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能面と能装束 ─みる・しる・くらべる─
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