横浜美術館で開催中の “松井冬子展 世界中の子と友達になれる” に行ってきました。
“世界中の子と友達になれる” という意味深なサブタイトルは、
展覧会のチラシにも使われている彼女の卒業制作作品から付けられています。
何でも、子供の頃には、友達をたくさん作れたという松井さん。
このまま友達を作り続けたら、
「世界中の子と友達になれる」
と確信したのだとか。
もちろん、大人になった今は、それが到底不可能であることを悟ったようで。
逆説的な意味を込めて、
“世界中の子と友達になれる” という展覧会のサブタイトルにしたそうです。
「確かに・・・。」 というのも何ですが。
松井冬子さんの絵は、精神的肉体的な ‘痛み’ に始まり、
恐怖、狂気、ナルシシズム、性、生と死…などのテーマで描かれており。
作風から伺える人間像としては、あまりお友達になりたくないお方です (笑)
日本初公開となる 《喪の寄り道》 や 《体の捨て場所》 を中心に、
出展されている約100点の松井冬子作品は、ほとんどがドロドロ系。
蛇あり、内臓あり、幽霊あり、死体あり。。。
たまに、普通に犬を描いた絵かと思えば・・・
盲目のために走ることをやめたボルゾイ犬を描いた 《盲犬図》 (チラシ中央) だったり。
“まぁ、よくも、こう悪趣味な画題ばかりを選ぶなぁ”
と、もはや逆に感動すら覚えました (笑)
ただ、何よりも、松井冬子さんがスゴいのは、
悪趣味な画題の作品ながらも、作品そのものには、きちんと美が宿っているのです。
“気持ち悪い・・・でも、美しい・・・
あ、でも、やっぱり気持ち悪いか。こんな絵は、家に飾りたくない・・・
でもでも、この妖しげな美しさからは目を離すことが出来ない・・・”
と、松井さんの絵の前で、
自分自身でも理解不能のアンビバレンツな感情に支配されました。
こんな観賞体験は、初めてです!
松井冬子さんと言えば、 『美人すぎる日本画家』 として知られるお方。
それだけに、正直なところ、
“顔で売って、作品そのものは、そこまでたいしたことないんだろうナ”
と、色眼鏡も色眼鏡で見ていましたが。
(松井さん、ゴメンナサイ!こんなヤツは、友達になってもらえないことでしょう)
作品そのものの美しさは、本物でした。
きっと、松井冬子さんがブスだったとしても、
僕は、同じように、松井冬子さんの絵を美しいと感じることでしょう。
是非、皆様も色眼鏡をロッカーに預けて (?) 、ご観賞下さいませ。
個人蔵の作品も、多数出展されているので、この機会をお見逃しなく!
さてさて、今回の松井冬子展、
平日に行ったにも関わらず、大変賑わっていました。
皆様の反応を小耳に挟んだところ、
『美人すぎる日本画家が、こんなにもダークな絵を描いている』
というのが、一般的にはウケているようです (とに~調べ) 。
“この図式は・・・あっ、あれと同じだ!”
美人すぎる松島菜々子が、無表情で不気味な役を演じている。
『家政婦のミタ』 に通ずるものがありそうです。
松井冬子展も、最終日に向けて、視聴率 (=観客数) が上昇するのではないでしょうか!
最後に。
ドロドロ系の絵が多い松井冬子さんですが、
千鳥が淵の夜桜を描いたプレーンな絵もありました。
印象的だったので、思わずポストカードを購入。
《この疾患を治癒させるために破壊する》
・・・まぁ、普通に夜桜を描いても、
しっかり怖さが宿るのが、松井冬子クオリティです (笑)
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松井冬子展 世界中の子と友達になれる
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