今回ご紹介するのは、
品川歴史館で開催中の “伊勢物語にあそぶ-鉄心斎文庫コレクション-” です。
これまで、このブログにて、
永青文庫、静嘉堂文庫、千秋文庫、東洋文庫・・・
と、さまざまな 『文庫』 を紹介してきましたが。
鉄心斎文庫とは、初耳。
一体、どんな文庫なのでしょう?
展覧会場の案内には、以下のようにありました。
「鉄心斎文庫は、区内企業の三和テッキ株式会社の元社長・故芦沢新二氏が夫人の美佐子氏とともに
40年の歳月と情熱をかけて収集した貴重なコレクションです。
平成3年には、神奈川県小田原市に “鉄心斎文庫” を開設して、
1000点を超えるコレクションを展示しています。」
ちなみに、個人的に調べてみたところ、こちらの鉄心斎文庫。
1年のうち、4月と11月に、1週間ずつしか開館しないのだとか。
1年で、たった2週間しか開かない美術館。
アートテラーの血が、ふつふつと騒ぎ出してきました (今年の4月、行っちゃおうかな!)
さてさて、この鉄心斎文庫コレクション。
最大の特徴は、1000点を超えるコレクションのすべてが、 『伊勢物語』 関係の資料であること。
つまり、芦沢新二さんは、相当な 『伊勢物語』 マニアだったのですね。
『伊勢物語』 の一体何が、彼をそこまで駆り立てたのでしょうか??
(銃で撃たれた時に、たまたま胸ポケットに、 『伊勢物語』 が入っていたとか?)
そんな超マニアックな 『伊勢物語』 コレクションが、
三和テッキ株式会社が品川区にあることに加え、芦沢夫妻の自宅も品川区にあることから、
今回、特別に品川歴史館で公開されることになったのです。
正直なところ、
“ 『伊勢物語』 コレクションって、そんなに種類があるの (笑)?”
と、疑問が拭えませんでしたが。
なかなかどうして。
奥が深すぎる 『伊勢物語』 。
写本された 『伊勢物語』 が、系統立てて、いくつも存在しているだけでなく。
『伊勢物語愚見抄』 や、 『伊勢物語肖聞抄』 など、『伊勢物語』 の注釈本も、数多く存在していました。
知れば知るほど、
「『伊勢物語』 = 教養」
ということを痛感。
“ 『伊勢物語』 コレクションって、そんなに種類があるの (笑)?”
という先ほどの発言は、無知の極み。
平安時代から江戸時代の人に、
こんな発言をしたら、教養のない人と思われるところでした。
ちなみに、江戸時代の人にとって、
『伊勢物語』 は、当たり前に馴染みのある書物だったそうで。
そこで、 『仁勢物語』 なる書物の出版されていたのだとか。
仁勢物語。
にせ物語。
ニセ物語。
要するに、 『伊勢物語』 のパロディです。
こういうパロディ本が当たり前に楽しまれていたほど、 『伊勢物語』 は浸透していたのですね。
書物だけでなく、浮世絵や屏風絵、カルタなどもあり、バリエーションは豊か。
ただ、 『伊勢物語』 の知識がないと、あまり楽しめないので、ご注意を。
知識が無いため、展示は楽しめなかったですが、
日本文化を勉強できたということで。
ちなみに。
入館料100円という破格の展覧会ながら、ポスターのお土産 (?) まで頂けました。
ただ、貰ったものの、貼るところがないので・・・
トイレの壁に貼ってみました。
・・・誰への告知 (笑) ?!
美術ブログのランキングが東下りしませんように (←?)
↧
伊勢物語にあそぶ-鉄心斎文庫コレクション-
↧