画家は誰も1つはすべらない話を持っており、
そしてそれは誰が何度聞いても面白いものである。
もちろんすべてのお話は実話である。
「え~と、これは、僕がロンドンで国際シュルレアリスム展の講演会に登壇した時の話なんですけどね。
その時が、僕の初ロンドンだったんですよ。
まぁ、天才ダリとして、初めてロンドン市民の前に登場するわけですから、
そこは、やっぱりドーンとインパクトを与えたかったわけですよ。
で、いろいろと考えた末に、潜水服を着て講演しようって思いついたんですね。
あれですよ、潜水服って言っても、スキューバダイビングで着るようなヤツじゃないですよ。
南部ダイバーが着るような重装備のヤツですからね。
重たいヘルメット被って、ガッチリ潜水服を着込んで、
その恰好で、いきなりお客さんの前に登場したわけですよ。
そしたらもうお客さんに、ドッカーンとウケて。
「さすがダリって天才だなぁ!」 ってなったわけですよ。
で、ウケてるんですけど、講演で来てるわけですから、
真面目にシュルレアリスムについて講演し始めたんですね。
そんで、しばらくして気づいたんですけど。
まだウケてるんですよ。
“ちょっとウケすぎてるなぁ” と。
というか、 “僕の講演、聞いてないんじゃないかな” って気がしてきたんですね。
そこでようやく気づいたんですけど。
僕、ヘルメットを被ってるじゃないですか。
密閉されてるから、全っ然、声が漏れてないんですよ!
お客さんに何一つ聞こえてないんですね。
さらに、気づいてしまったんですけど!
密閉されてるから、ヘルメットの中の空気が無くなってきたんですね。
そこから、パニックですよ。
「このままじゃ、死ぬわ!」 と。
もう講演どころじゃないですよね。
慌てて、 「助けてくれー!」 って叫んだんですけど。
密閉されてるから、全っ然、声が漏れてないんですよ!
で、お客さんをパッと見たら。
僕がもがいている姿を見て、それすらもパフォーマンスと思ってるんですよ。
めちゃめちゃウケてましたからねっ!
さすがに窒息する寸前で、お客さんたちも異変に気付いてくれたんで、なんとか助かりましたけど。
意識レベルは、だいぶ深いとこ潜ってましたね。」
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サルバトール・ダリのすべらない話
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