Quantcast
Channel: アートテラー・とに~の【ここにしかない美術室】
Viewing all articles
Browse latest Browse all 5005

ワシントン・ナショナル・ギャラリー展

$
0
0

2月7日より、三菱一号館美術館にて開催される美術展、
“ワシントン・ナショナル・ギャラリー展 ~アメリカ合衆国が誇る印象派コレクションから に行ってきました。

アメリカ唯一の西洋美術を集めた国立美術館ワシントン・ナショナル・ギャラリー (略称NGA) 。
その12万点にも及ぶ西洋美術コレクションの中から、
最も人気があるフランス印象派とポスト印象派のコレクションにターゲットを絞り、
選びに選び抜かれた全68点 (日本初公開38点を含む!) を紹介する美術展です。

今回の出展作品の中心となっているのが、
NGAの創設者アンドリュー・W・メロンの娘エイルサ・メロンのコレクション。
彼女が自宅に飾るために収集したコレクションということもあって、小さな作品が多いのが特徴的です。
三菱一号館美術館の展示室内にある暖炉と比べると、この通り。

展示風景
(注:館内の写真撮影は、特別に許可を頂いております)


なかなかの小ささです。
下手したら (?) 、iPadくらいのサイズです。
いつも美術館に展示されているような大きな作品に慣れていると、
今回のワシントン・ナショナル・ギャラリー展に、ちょっと戸惑ってしまうかもしれません。
しかし、 「小さな絵=たいしたことがない絵」 では、決してありませんよ。
例えば、こちらの画面右に飾られた小さな絵。

ドガ  


小さいながらも、競走馬の躍動感が伝わる臨場感溢れる一枚です。
むしろ、よくぞこの小さなサイズに、その臨場感をきっちり表現できたものだと感心すら覚えました。

マネ  エドゥアール・マネ 《競馬のレース》
1875年頃 油彩・カンヴァス National Gallery of Art, Washington, Widener Collection


他にも、こうした小さくて素敵な作品が何点も出展されています。
もし、会場で小さな絵に出合ったら、
面倒がらずに、そーっと優しく近づいて、観賞してみてくださいませ。


さて、それらの小さな作品も含めて、
今回のNGA展に出展されていた作品は、どれも共通して甘く繊細で優しい印象をまとっていました。
おそらくどの作品にも、エイルサ・メロンらコレクターの人柄や趣味が滲み出ているのでしょう。

ポスターにも使われているルノワールの作品も、

ルノワール  ピエール=オーギュスト・ルノワール 《猫を抱く女性》
1875年頃 油彩・カンヴァス National Gallery of Art, Washington, Gift of Mr. and Mrs. Benjamin E. Levy


嫁ぎゆく姉をモデルに描いたベルト・モリゾの作品も、

モリゾ  ベルト・モリゾ
《窓辺にいる画家の姉》
1869年 油彩・カンヴァス National Gallery of Art, Washington, Ailsa Mellon Bruce Collection


国民の祝日のパリの情景を描いたピエール・ボナールの作品も、

ピエール・ボナール  ピエール・ボナール 《革命記念日のパリ、パルマ街》
1890年 油彩・カンヴァス National Gallery of Art, Washington, Collection of Mr. and Mrs. Paul Mellon


もれなく甘く繊細。そして、優しい。
音楽で言うと (←?) 、Charaの 『やさしい気持ち』 のような印象でした。




ちなみに、あのゴッホの作品でさえも、甘く繊細で優しかったです。

ご  フィンセント・ファン・ゴッホ 《オランダの花壇》
1883年頃 油彩・カンヴァス(板で裏打ち) National Gallery of Art, Washington, Collection of Mr. and Mrs. Paul Mellon


普通の印象派の展覧会 (?) は、鑑賞すると、心が落ち着くものですが。
今回のNGA展は、観賞すると、心が落ち着くだけでなく、優しい気持ちにもなれます。
星星



どれくらい優しい気持ちになれたかと言いますと。
普段の僕なら、エドゥアール・マネの 《タマ、日本犬》 を観たら・・・

タマ


「いやいや、犬なのに、 “タマ” って!
 しかも、絵の中に “Tama” って描き込んでるし!」


と、ツッコミの一つも入れそうなものですが。

“・・・・・まぁ、カワイイから、タマでもいいかぁ(^-^)”

と、微笑ましく観賞しました。


また、普段の僕なら、エドゥアール・ヴュイヤールの 《黄色いカーテン》 を観たら・・・

黄色  エドゥアール・ヴュイヤール 《黄色いカーテン》
1893年頃 油彩・カンヴァス National Gallery of Art, Washington, Ailsa Mellon Bruce Collection


「黄色のカーテンに、黄色のベッドカバーに、花柄の壁紙って!
 どんなセンスしてるんだよ!!」


と、ツッコミの一つも入れそうなものですが。

“・・・・・・まぁ、逆にアリだな。IKEAでこの組み合わせがあったら買っちゃうな”

と、部屋の模様替えの参考にするくらいの気持ちで観賞しました。


皆様も、是非、NGA展で優しい気持ちになりましょう。




5位以内を目指して、ランキングに挑戦中!(現在10位ですダウン
下のボタンをポチッと押して頂けると嬉しいです!

Blogランキングへ   にほんブログ村 美術ブログへ


Viewing all articles
Browse latest Browse all 5005

Trending Articles