Quantcast
Channel: アートテラー・とに~の【ここにしかない美術室】
Viewing all articles
Browse latest Browse all 5005

今和次郎 採集講義 展

$
0
0
パナソニック 汐留ミュージアムにて、
3月25日まで開催されているのが、 “今和次郎 採集講義 展”

アートテラー・とに~の【ここにしかない美術室】-今和次郎 採集講義 展


“・・・今和次郎?誰??
 いまわ じろう?こん わじろう??”


まず今和次郎なる人物が、何者なのかわからない。
そもそも、名字と名前とを、どこで区切るのかもわからない。
それにくわえて、

“採集講義?最終講義じゃなくて??”

展覧会のタイトルも、意味がわからない。


その結果、必然的に導き出された結論は、

「この展覧会は、パス!」

というものでした。


ところが、アートテラー・とに~という男は、現金なものでして。
“今和次郎 採集講義 展” の招待券を貰えたため、足を運ぶことに (笑)


展覧会の冒頭に展示されていたのは、
今和次郎 (結局、 「こん わじろう」 という名前だと判明!) が描いた日本各地の民家のスケッチ。
今和次郎の民家研究の分野における活躍が紹介されています。

アートテラー・とに~の【ここにしかない美術室】-新潟県中頸城郡関川村 雪に埋れる山の村の家


展示されているスケッチは、数十点にも及びます。
スケッチの絵は、それなりに味があるのですが、
たくさんの点数を見ているうちに、素朴な疑問が。

“・・・この展覧会、楽しいのか?”

さて、展覧会では、続いて、関東大震災後の今の取り組みについて紹介されていました。
関東大震災、街中には多数のバラック建築が登場します。
それを、民家と同じくスケッチする今。
さらには、味気ないバラック建築を装飾しようと、
「バラック建築社」 なる活動を、仲間と始める今。

アートテラー・とに~の【ここにしかない美術室】-バラック装飾社が装飾を施した東條書店(外観)


さらにさらに、今の観察対象は、バラック建築から復興していく “東京” そのものへ。
街を行き交う人々の生活や風俗に、興味津々。

銀座のカフェで働く女性の制服をスケッチしたり、

アートテラー・とに~の【ここにしかない美術室】-銀座のカフェー服装採集1


街行く女性の髪型をスケッチしたり。

アートテラー・とに~の【ここにしかない美術室】-女の頭の型


考古学が、昔の風俗を探求する学問ならば、
現代の風俗を探求する学問は、 “考現学” であると、今和次郎は、新たな学問を誕生させたのです。

この今和次郎の考現学研究が、めちゃめちゃ面白い!

「そんなことまで、調べなくてもwww」

という笑いを堪えるのに、会場で必死でした。
一例を挙げますと、

 ・今が街を2時間歩いた時に出会った犬の数とその色についての報告 (68匹。うちアカブチが27匹)
 ・中学生男子の学生服の破れ方
 ・労働者の昼寝のポーズあれこれ   
               
…などなど。
極めつけは、今がよく通う食堂で出される茶碗が、
毎度毎度、ヒビが入っていたので、それらをスケッチしたもの。
その研究成果を、
新宿の紀伊國屋書店2階ギャラリで開催された “しらべもの(考現学)展覧会” にて、
発表したところ、食堂の茶碗はすべて新しいものに変えられてしまったそうです。


考現学を確立した後、建築家やデザイナーとして活動したり、
日本女子大学や早稲田大学で教鞭をとったり、生活学や服飾研究の分野を開拓したり…と、
多方面にわたって活動を続けていたそうです。


今和次郎という人物を知ることが出来て、よかったです。
というか、 “この展覧会をスルーしなくてよかったぁ・・・” と安堵しています (笑)
招待券、本当にありがとうございました!
(↑この場を借りて)
星星


最後に。
個人的に、一番気に入ったスケッチを。

《新時代の生活方向 家庭の各員の生活マヂノ線を防備しませう②主人》

アートテラー・とに~の【ここにしかない美術室】-新時代の生活方向


こちらは、出費に対する防衛 (?) を、
マジノ線 (=フランス軍がドイツ軍を防ぐために建設した要塞線) になぞらえて図示したもの。
例えば、 「弁当代」 という出費に対しては、 「自宅より持参」 で防ぎます。
「ポマード類」 に対しての防衛方法が秀逸でした。
その防衛方法とは・・・

「可及的断髪にす」

確かにwww




美術ブログのランキングにご協力をお願いします
Blogランキングへ   にほんブログ村 美術ブログへ

Viewing all articles
Browse latest Browse all 5005

Trending Articles