昨日より東京国立博物館で始まりました “ボストン美術館 日本美術の至宝” に、行ってまいりました。
『東洋美術の殿堂』 と称されるアメリカのボストン美術館。
その日本美術コレクションの数は、なんと10万点を超えるのだとか!
これまでにも、そんなボストン美術館から、
ちょこちょこと自慢の日本美術コレクションが来日することはありましたが。
“ボストン美術館の日本美術コレクション展の決定版”
と銘打たれた今回の美術展には、
約90点もの選りすぐりの日本美術作品が、ドーンとまとめて来日。
そのラインナップの中には、
《平治物語絵巻》 や、
《法華堂根本曼荼羅図》
…などなど。
もしも、日本に存在していたら、
間違いなく、国宝指定されている名品の数々が!
(海外で所蔵されているものは、国宝指定が適用されないのです)
あまりに、そのラインナップがスゴすぎて、
「いやいや、そこまで頑張って頂かなくてもいいのに」
と、日本人らしく、謙虚な気持ちで、ボストン美術館さんを心配してしまうほどです。
しかも、ボストン美術館さんの本気ぶりは、ただ貸してくれるだけに留まりません。
デリケートなため、作品保護が難しい日本美術。
今回の来日のために、出展される作品すべてを、
5年に渡って公開を控えていてくれたのだそうです。
なんという、心遣い!
そして、5年にも及ぶ、壮大な準備期間!
そんなボストン美術展に、3つ星を付けなかったら、罰が当たるというものです。
本当ならば、5つ星を付けたいくらい。
もちろん。
ボストン美術館の心意気が素晴らしいだけでなく、
出展されている日本美術コレクションが、本当に素晴らしいです。
ここ数年で観た日本美術展では、間違いなく1、2を争う内容でした。
正直、紹介したい作品が多すぎて、
このボストン美術館の記事を、3回に渡ってお届けしたいくらいですが (笑)
ここは、涙を呑んで (←?) 、1回の記事に収めましょう。
というわけで、ここからは、
アートテラー・とに~が選んだ見どころ作品を、駆け足でご紹介!
まずは、快慶作の 《弥勒菩薩立像》
こちらは、現存する快慶作の仏像の中で、
もっとも若い時に造られたものなのだとか。
若くにして、この完成度!
さすが、快慶です。
手に巻きつく布 (?) の軽やかさが、視覚で感じ取れました。
木で出来ているとは、到底思えなかったです。
続いて、《馬頭観音菩薩像》
まさかのアフロ!
なんともファンキーな観音菩薩様です (笑)
ちょっと顔は、田中義剛に似ていますが。
他にも、仏教美術の名品が多数展示されていましたが。
個人的に、一番印象的だったのは、こちらの 《菩薩立像》
右手の手つきが、完全に痴漢です (笑)
満員電車の中で出会ったら、限りなく、彼はクロでしょう。
続きまして、絵のジャンルから、尾形光琳 《松島図屏風》
光琳の作品に関しては、先日、MOA美術館で観た 《紅白梅図屏風》 や、
根津美術館所蔵の 《燕子花図屏風》 のようなスッキリとした洗練されたデザインのイメージが強かったですが。
今回、目にした 《松島図屏風》 は、
それとは違って、ポップでダイナミックなデザインの作品でした。
こういう光琳も、悪くないですねぇ~。
絵の前で、思わずニンヤリです
若冲の 《十六羅漢図》 の前でも、思わずニンヤリ。
若冲らしい伸びやかな筆遣いが、観ていて、とても気持ちがイイ。
(展示作品は全4点)
また、印象に残った絵の一つに、
狩野元信の弟・雅楽助の作とされる 《松に麝香猫図屏風》 があります。
猫を描いた作品は数多くあれど。
麝香猫を描いた作品を目にするのは、初めてのこと。
“どれどれ?どんな可愛いニャン子なのかしらん??”
ぎゃー!化け猫Σ(゚д゚;)
光琳、若冲、狩野派の他にも、雪舟や長谷川等伯などなど、
日本美術史に名を残すビッグネームの絵画作品がたくさん展示されていましたが。
一人だけ、別格扱いで、大々的に紹介されている日本画家がいました。
それは、曽我蕭白。
全6章から構成される今回のボストン美術館展の中で、
「第五章 鬼才 曽我蕭白」 と、一章まるまる使ってフィーチャーされていたほど。
最初期から晩年まで、11点の曽我蕭白作品が紹介されています。
来月から、千葉市美術館にて、
“蕭白ショック!! 曾我蕭白と京の画家たち” が開催されるというのに。
まさかの曽我蕭白かぶり。
千葉市美術館にとっては、リアル蕭白ショックなはず。
さてさて、今回出展されていた蕭白作品の中では、
やはり群を抜いて、 《雲竜図屏風》 がインパクト大。
3Dメガネをかけていないのに、
左隻に描かれた竜の右手が浮かび上がって見えてしまったくらいです。
また、左隻に頭、右隻に尻尾が描かれることで、
描かれていない胴体の部分を、自然と想像してしまい、
この竜が、とんでもない大きさであることに思い至ります。
その瞬間に、背筋に “ぶるっ!” としたものが走りました。
いやはや、なんともスゴイ竜の絵です。
蕭白作品をもう一点。
《虎渓三笑図屏風》 です。
こちらは、東晋の僧侶・慧遠 (えおん) の元を尋ねた陶淵明 (とうえんめい) と陸修静 (りくしゅうせい) を描いた一枚。
3人の話が夢中になるあまり、気づいたら、3人は橋を渡っていました。
実は、慧遠は、俗世に通じるからという理由で、決して、橋を渡らない誓いを立てていたのです。
(話に夢中になる3人。橋を渡りきる)
陶淵明「(それに気づいて) …あれっ?てか、俺たち、橋を渡ってない?」
陸修静「あっ、マジだ!渡ってる?!」
慧遠「それが、どうしたの?」
陶淵明「いやいや、どうしたのって?お前が言うなよ!」
陸修静「おめぇが、橋を渡らねぇって決めたんじゃん!」
慧遠「・・・あっ!」
陶淵明「『あっ!』 じゃねぇよ!アハハハハ!」
陸修静「慧遠はバカだなぁ!アハハハハ!」
慧遠「これは、うっかり!アハハハハ!」
3人「アハハハハ!」
…という絵なのです。
それにしても、笑いすぎ。
最後に、絶対にスベらない?今回のベスト作品をご紹介。
《吉備大臣入唐絵巻》 です。
こちらは、唐に渡った吉備真備を主人公にした絵巻物。
しかし、唐で、何故か幽閉の憂き目に。
そして、輪をかけるように、吉備真備には、唐人から次々と試練が与えられます。
仲間となった阿倍仲麻呂の霊とともに、すべての試練に立ち向かえ!
・・・というお話。美術作品というより、もはや漫画です (笑)
会場では、全巻まるまる展示されています。
全巻通して面白いので、是非、時間をかけて、通読されることを勧めます。
面白いシーンはたくさんありますが、一部を、チラリとご紹介。
まずは、吉備真備が幽閉された高い楼閣。
階段、急すぎ (笑)
フリークライミングの要領で登らないといけません。
阿倍仲麻呂の霊の超能力により、空を飛ぶ吉備真備。
正座をしたまま飛ぶスタイルが、斬新も斬新w
そして、こんな場面も。
囲碁名人と、囲碁勝負をするハメになった吉備真備。
しかし、吉備真備は、囲碁のルールすら知りません。
そんな絶体的に不利な状態での囲碁勝負に挑みます。
奮戦するものの劣勢となった真備は、
とっさに相手の碁石を一つ食べてしまいます (どんな方法だ!)
碁石が無くなったことを不審に思う唐人の面々。
「お前、食べただろ!」
と、真備に詰め寄ります (しっかりバレてるw)
「いや。食べてないです」
「嘘つけ」
「本当です」
「じゃあ、下剤を飲んで、腹の中も全部出せ」
「・・・・・。」
絶体絶命のピンチ!
このピンチを阿倍仲麻呂の霊が超能力で救うのです。
「う~ん。確かに、う○この中にも、碁石は無いなぁ」
「無いねぇ」
と、描かれているのは、
吉備真備のう○こを、徹底的に調べる唐人たちのシーンです。
ちなみに。
では、この時に、碁石はどこにあったのか?
阿倍仲麻呂の霊が超能力により、
碁石は、吉備真備のお腹の中に留まっていたそうです。
・・・超能力なら、碁石を消せよ (笑) !
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『東洋美術の殿堂』 と称されるアメリカのボストン美術館。
その日本美術コレクションの数は、なんと10万点を超えるのだとか!
これまでにも、そんなボストン美術館から、
ちょこちょこと自慢の日本美術コレクションが来日することはありましたが。
“ボストン美術館の日本美術コレクション展の決定版”
と銘打たれた今回の美術展には、
約90点もの選りすぐりの日本美術作品が、ドーンとまとめて来日。
そのラインナップの中には、
《平治物語絵巻》 や、
《法華堂根本曼荼羅図》
…などなど。
もしも、日本に存在していたら、
間違いなく、国宝指定されている名品の数々が!
(海外で所蔵されているものは、国宝指定が適用されないのです)
あまりに、そのラインナップがスゴすぎて、
「いやいや、そこまで頑張って頂かなくてもいいのに」
と、日本人らしく、謙虚な気持ちで、ボストン美術館さんを心配してしまうほどです。
しかも、ボストン美術館さんの本気ぶりは、ただ貸してくれるだけに留まりません。
デリケートなため、作品保護が難しい日本美術。
今回の来日のために、出展される作品すべてを、
5年に渡って公開を控えていてくれたのだそうです。
なんという、心遣い!
そして、5年にも及ぶ、壮大な準備期間!
そんなボストン美術展に、3つ星を付けなかったら、罰が当たるというものです。
本当ならば、5つ星を付けたいくらい。
もちろん。
ボストン美術館の心意気が素晴らしいだけでなく、
出展されている日本美術コレクションが、本当に素晴らしいです。
ここ数年で観た日本美術展では、間違いなく1、2を争う内容でした。
正直、紹介したい作品が多すぎて、
このボストン美術館の記事を、3回に渡ってお届けしたいくらいですが (笑)
ここは、涙を呑んで (←?) 、1回の記事に収めましょう。
というわけで、ここからは、
アートテラー・とに~が選んだ見どころ作品を、駆け足でご紹介!
まずは、快慶作の 《弥勒菩薩立像》
こちらは、現存する快慶作の仏像の中で、
もっとも若い時に造られたものなのだとか。
若くにして、この完成度!
さすが、快慶です。
手に巻きつく布 (?) の軽やかさが、視覚で感じ取れました。
木で出来ているとは、到底思えなかったです。
続いて、《馬頭観音菩薩像》
まさかのアフロ!
なんともファンキーな観音菩薩様です (笑)
ちょっと顔は、田中義剛に似ていますが。
他にも、仏教美術の名品が多数展示されていましたが。
個人的に、一番印象的だったのは、こちらの 《菩薩立像》
右手の手つきが、完全に痴漢です (笑)
満員電車の中で出会ったら、限りなく、彼はクロでしょう。
続きまして、絵のジャンルから、尾形光琳 《松島図屏風》
光琳の作品に関しては、先日、MOA美術館で観た 《紅白梅図屏風》 や、
根津美術館所蔵の 《燕子花図屏風》 のようなスッキリとした洗練されたデザインのイメージが強かったですが。
今回、目にした 《松島図屏風》 は、
それとは違って、ポップでダイナミックなデザインの作品でした。
こういう光琳も、悪くないですねぇ~。
絵の前で、思わずニンヤリです
若冲の 《十六羅漢図》 の前でも、思わずニンヤリ。
若冲らしい伸びやかな筆遣いが、観ていて、とても気持ちがイイ。
(展示作品は全4点)
また、印象に残った絵の一つに、
狩野元信の弟・雅楽助の作とされる 《松に麝香猫図屏風》 があります。
猫を描いた作品は数多くあれど。
麝香猫を描いた作品を目にするのは、初めてのこと。
“どれどれ?どんな可愛いニャン子なのかしらん??”
ぎゃー!化け猫Σ(゚д゚;)
光琳、若冲、狩野派の他にも、雪舟や長谷川等伯などなど、
日本美術史に名を残すビッグネームの絵画作品がたくさん展示されていましたが。
一人だけ、別格扱いで、大々的に紹介されている日本画家がいました。
それは、曽我蕭白。
全6章から構成される今回のボストン美術館展の中で、
「第五章 鬼才 曽我蕭白」 と、一章まるまる使ってフィーチャーされていたほど。
最初期から晩年まで、11点の曽我蕭白作品が紹介されています。
来月から、千葉市美術館にて、
“蕭白ショック!! 曾我蕭白と京の画家たち” が開催されるというのに。
まさかの曽我蕭白かぶり。
千葉市美術館にとっては、リアル蕭白ショックなはず。
さてさて、今回出展されていた蕭白作品の中では、
やはり群を抜いて、 《雲竜図屏風》 がインパクト大。
3Dメガネをかけていないのに、
左隻に描かれた竜の右手が浮かび上がって見えてしまったくらいです。
また、左隻に頭、右隻に尻尾が描かれることで、
描かれていない胴体の部分を、自然と想像してしまい、
この竜が、とんでもない大きさであることに思い至ります。
その瞬間に、背筋に “ぶるっ!” としたものが走りました。
いやはや、なんともスゴイ竜の絵です。
蕭白作品をもう一点。
《虎渓三笑図屏風》 です。
こちらは、東晋の僧侶・慧遠 (えおん) の元を尋ねた陶淵明 (とうえんめい) と陸修静 (りくしゅうせい) を描いた一枚。
3人の話が夢中になるあまり、気づいたら、3人は橋を渡っていました。
実は、慧遠は、俗世に通じるからという理由で、決して、橋を渡らない誓いを立てていたのです。
(話に夢中になる3人。橋を渡りきる)
陶淵明「(それに気づいて) …あれっ?てか、俺たち、橋を渡ってない?」
陸修静「あっ、マジだ!渡ってる?!」
慧遠「それが、どうしたの?」
陶淵明「いやいや、どうしたのって?お前が言うなよ!」
陸修静「おめぇが、橋を渡らねぇって決めたんじゃん!」
慧遠「・・・あっ!」
陶淵明「『あっ!』 じゃねぇよ!アハハハハ!」
陸修静「慧遠はバカだなぁ!アハハハハ!」
慧遠「これは、うっかり!アハハハハ!」
3人「アハハハハ!」
…という絵なのです。
それにしても、笑いすぎ。
最後に、絶対にスベらない?今回のベスト作品をご紹介。
《吉備大臣入唐絵巻》 です。
こちらは、唐に渡った吉備真備を主人公にした絵巻物。
しかし、唐で、何故か幽閉の憂き目に。
そして、輪をかけるように、吉備真備には、唐人から次々と試練が与えられます。
仲間となった阿倍仲麻呂の霊とともに、すべての試練に立ち向かえ!
・・・というお話。美術作品というより、もはや漫画です (笑)
会場では、全巻まるまる展示されています。
全巻通して面白いので、是非、時間をかけて、通読されることを勧めます。
面白いシーンはたくさんありますが、一部を、チラリとご紹介。
まずは、吉備真備が幽閉された高い楼閣。
階段、急すぎ (笑)
フリークライミングの要領で登らないといけません。
阿倍仲麻呂の霊の超能力により、空を飛ぶ吉備真備。
正座をしたまま飛ぶスタイルが、斬新も斬新w
そして、こんな場面も。
囲碁名人と、囲碁勝負をするハメになった吉備真備。
しかし、吉備真備は、囲碁のルールすら知りません。
そんな絶体的に不利な状態での囲碁勝負に挑みます。
奮戦するものの劣勢となった真備は、
とっさに相手の碁石を一つ食べてしまいます (どんな方法だ!)
碁石が無くなったことを不審に思う唐人の面々。
「お前、食べただろ!」
と、真備に詰め寄ります (しっかりバレてるw)
「いや。食べてないです」
「嘘つけ」
「本当です」
「じゃあ、下剤を飲んで、腹の中も全部出せ」
「・・・・・。」
絶体絶命のピンチ!
このピンチを阿倍仲麻呂の霊が超能力で救うのです。
「う~ん。確かに、う○この中にも、碁石は無いなぁ」
「無いねぇ」
と、描かれているのは、
吉備真備のう○こを、徹底的に調べる唐人たちのシーンです。
ちなみに。
では、この時に、碁石はどこにあったのか?
阿倍仲麻呂の霊が超能力により、
碁石は、吉備真備のお腹の中に留まっていたそうです。
・・・超能力なら、碁石を消せよ (笑) !
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