練馬区立美術館で開催中の…
“日本画壇の風雲児、中村正義-新たなる全貌” に行ってきました。
4月1日まで。
このポスターに、ドーンと使われているパンチの効いた顔の絵は、
とある雑誌の表紙絵のために、中村正義が描いた三島由紀夫。
赤と青で描かれる顔なんて、鬼か三島由紀夫かくらいなものです。
と、このようなな派手派手しい日本画を数々発表し、
「日本画壇の風雲児」 、 「異端の天才画家」 と称された日本画家・中村正義 (1924~1977)
そんな中村正義のデビュー時の作品 《斜陽》 から、
絶筆の 《うしろの人》 まで。
約230点の作品が、展示されています。
肺癌のために、52歳という若さで亡くなった中村正義。
その駆け抜けるような画家人生が、
そのまま美術展になったかのような美術展。
これまでにも回顧展は、たくさん観賞してきましたが、
今回の中村正義展ほど、彼の画家人生を追体験出来る回顧展は初めて。
確実に、好き嫌いがハッキリと分かれそうな画風ではありますが。
美術展としては一見の価値ありです。
個人的には、初期の頃の 《斜陽》 や、
《夕陽》
のような “いかにも日本画でござい” という作品が好きでした。
このままの画風で行くのかと思いきや、
戦後の日本画壇に吹き荒れる日本画滅亡論の嵐。
「もう日本画なんて、古いんだよ!ハハハ!」
そんな日本画滅亡論に、真っ向から立ち向かう正義の人・正義。
その画風は、どんどんと実験的なモノになっていきました。
モディリアーニ風の絵を描いてみたり、
ピカソ風の絵を描いてみたり、
これまで手垢が付くくらいに日本画で描かれてきた舞妓という画題を、
独自のセンスで描いてみたり (そのシリーズは、舞妓三部作と呼ばれる)
赤い舞妓こと 《女》
白い舞妓こと 《舞妓》
そして、黒い舞妓こと 《舞子》
しかし、中村正義の実験は、こんなものでは終わりません。
ついには、自分がそれまで絶対に使わなかった色=原色を、強制的に使って描くようになります。
(こうすることで、自分の限界を振り切ろうとしたらしい・・・)
画像では、伝わりませんが。
この絵がいきなり現れた時の衝撃と言ったら、もう・・・。
「ショッキング!!」
日本画の色使いの絵を続けてみた後に、いきなり現れる原色の世界。
そのビビットで、ポップで、キッチュな迫力は、半端ではありませんでした。
この原色への挑戦を皮切りに、どんどん実験的になっていく中村正義。
画材として、ボンドを使ってみたり、
絵に段ボールを貼り付けたり、と、段々とノッポさん化していきました (笑)
その後も、落ち着きが無いくらいに (?)
画風は、転々としていきます。
スーパーリアリズムな絵を描いたり、仏画を描いたり、江戸絵画風な絵を描いたり・・・etc
観賞する身としては、その画風の変遷に追いつくのがやっと。
「そんなに急いでどこへ行く」
と思わず中村正義に言いたくなりました。
お世辞でも何でもなく、どの絵も印象に残りましたが (良くも悪くも!)
一番印象に残った一枚が、こちらの 《ピエロ》 という作品
怖い。怖すぎる。
怖すぎるにもほどがあります。
殺人ピエロです。
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日本画壇の風雲児、中村正義-新たなる全貌
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