今年は 「錦絵」 が誕生して、ちょうど250年という節目の年。
それを記念して、現在、太田記念美術館では、
“錦絵誕生250年記念 線と色の超絶技巧” という展覧会が開催されています。
「錦絵」 とは、色鮮やかな多色摺木版画のこと。
早い話が、皆様が思い浮かべる浮世絵のことです。
歌麿の浮世絵も、北斎の浮世絵も、広重の浮世絵も。
カラフルなのは、「錦絵」 です。
当たり前のように、浮世絵(=錦絵) がたくさん存在しており、
すっかり見慣れてしまっているので、現代人の僕らは、あまり意識する機会が無いのですが。
当時の人にとって、「錦絵」 の誕生は、かなりエポックメイキングな出来事でした。
それこそ、白黒テレビしかなかった時代に、カラーテレビが誕生したようなものだったのです。
今回の展覧会には、そんな白黒時代の初期の浮世絵も展示されています。
奥村政信 《浮世花見車》
このようにモノクロな浮世絵からはじまり、
1枚1枚着色する浮世絵の時代を経て、ようやく 「錦絵」 が誕生するのです。
さてさて、錦絵、浮世絵とは言うものの、厳密には絵ではありません。
当然のことながら、版で刷られたものです。
絵として観賞すると、見過ごしてしまいがちな超絶技巧が、実は浮世絵の随所に施されています。
例えば、喜多川歌麿の 《五人美人愛敬競 松葉屋喜瀬川》 をご覧ください。
髪の生え際にご注目!
1㎜以下の精度で髪の毛が彫られているのです。
(細いペンで描いているわけじゃありません!)
また、歌川国貞の 《星の霜当世風俗 蚊やき》 をご覧ください。
蚊帳の網目がビッシリと彫り込まれています。
考えただけで気が遠くなりますね。
と、このように浮世絵の摺りや彫りの技術にスポットを当てているのが今回の展覧会。
浮世絵を観る目が、いい意味で変わる展覧会でした。
今回出展されていた作品の中で、
個人的にもっとも感嘆した浮世絵は、《今様三十二相 逢た相》 。
作者の歌川国貞のサインは当然あるとして、
珍しいことに、彫師の名前もサインされている浮世絵です。
彫ったのは、横川竹二郎。
通称、馬鹿竹。
本当に馬鹿だったのかもしれませんが、
おそらく馬鹿が付くほどの超絶技巧の持ち主という意味での通称でしょう。
一見しただけでも、普通に美しい浮世絵ですが。
驚くべきは、着物の柄。
小さな折り鶴が着物をビッシリと埋め尽くしています。
馬鹿竹の腕が遺憾なく発揮されていました。
ちなみに、展覧会のラストには、
加山又造や田中一光など、現在における浮世絵も紹介されています。
その中には、山口晃さんの作品も。
《新東都名所 東海道中 日本橋改》 アダチ版画研究所所蔵
見どころの多い展覧会です。
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錦絵誕生250年記念 線と色の超絶技巧
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