今回ご紹介する展覧会は、世田谷美術館で開催中の展覧会 “スペインの彫刻家フリオ・ゴンサレス” 。
スペイン、バルセロナ出身の彫刻家フリオ・ゴンサレス (1876~1942) の日本初となる大々的な回顧展です。
ゴンサレスと 《鏡の前の女》 1937年頃 Archivo Julio González, IVAM
フリオ・ゴンサレスは、鉄彫刻のパイオニアとして美術界に名を残す人物。
彼がいなければ、デイヴィッド・スミスや、
アンソニー・カロといった現代彫刻家は生まれていなかったかもしれません。
“鉄のゲージツ家” 篠原勝之さんも生まれていなかったかもしれません。
溶接という技術を作品制作に取り入れ、独自の抽象彫刻を作り上げたフリオ・ゴンサレス。
《ダフネ》
1937年頃 バレンシア現代美術館蔵 ©IVAM, Institut Valencià d’Art Modern
《座る女Ⅰ》
1935年頃 バレンシア現代美術館蔵 © IVAM, Institut Valencià d’Art Modern
これらの作品を目にして、
「あれっ、ピカソっぽい!」
と思った方もいらっしゃることでしょう。
実は、フリオ・ゴンサレスとピカソは盟友の間柄。
何を隠そう、ピカソに鉄彫刻を教えたのが、フリオ・ゴンサレスなのです。
つまり、ピカソの鉄彫刻のほうが、フリオ・ゴンサレスっぽいのです。
さて、フリオ・ゴンサレスの彫刻作品に関する重要なキーワードが、「空間の中のドローイング」 。
作品と同じくらいに作品哲学が抽象的なので、
彼が言わんとする 「空間の中のドローイング」 を、
果たしてちゃんと理解できたのか、イマイチ自信はないのですが。
確かに、フリオ・ゴンサレスの彫刻作品は、
空間そのものに描かれたドローイング作品のように感じられました。
普通の彫刻作品は、彫刻そのものが作品なわけですが、
フリオ・ゴンサレスの彫刻作品は、設置された空間も含めて作品といった感じがするのです。
そんなフリオ・ゴンサレスの作品の意図を汲んだのでしょう。
今回の展覧会では、たっぷりとした空間に、彼の作品がゆったりと展示されています。
また、開放感を演出したのか、普段は塞いでいる窓を開き、
ふんだんに外の光を取り入れていたのが、何よりも印象的でした。
外から見ると、こんな感じです↓
そのおかげで、世田谷美術館の建物の素晴らしさを再認識。
こんなにも気持ちの良い空間だったのですね!
良くも悪くも、フリオ・ゴンサレスの彫刻作品が、
世田谷美術館の建物の魅力の引き立て役になっていました。
ちなみに、今回の展覧会には、彼が彫刻家として活動する前の、
金工職人時代に、手がけた貴重な宝飾品なども展示されていました。
《花(菊)》
1890-1900年頃、バレンシア現代美術館蔵 © IVAM, Institut Valencià d’Art Modern
個人的には、こっちのスタイルを極めたほうが良かったような気がします。
┃会期:2015年11月28日(土)~2016年1月31日(日)
┃会場:世田谷美術館
┃http://www.setagayaartmuseum.or.jp/exhibition/exhibition.html
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スペインの彫刻家フリオ・ゴンサレス
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