昨年のことです。
僕のメールアドレスに、とある美術館の広報さん (当時) から、一通のメールが届きました。
「初めてご連絡差し上げます。
当館は、サルバドール・ダリの常設美術館として国内最大規模を誇っている美術館です。
今後、展覧会や内覧会のお知らせなどをとに~様に送付させていただく、ご連絡差し上げました。
遠方とはなりますが、ご機会があればぜひご来館いただきたいと思っております。」
美術館から直接ラブコール (?) が届くだなんて。
アートテラーもまぁまぁ偉くなったものだと、自惚れたものです。
しかし、訪れたい気持ちは山々なのですが、
送り主の諸橋近代美術館があるのは、福島県の裏磐梯高原。。。
「遠っ!!!」
なので、昨年は行くのを断念していたのですが。
今年の秋は、国立新美術館の “ダリ展” を中心に、
芸術新潮や美術手帳でもダリ特集が組まれるなど、ダリ旋風が巻き起こっています。
行くなら今しかねぇ
というわけで。
東京から車で約4時間、諸橋近代美術館へとやってきました。
目の前に現れたのは、実に立派な建物。
率直な第一印象は、「ここ日本??」 でした。
約4時間も運転していたので、
もしかしたらもしかして、日本を飛び出してしまったのかもしれません (←混乱)。
ちなみに、建物のイメージは、中世の馬小屋風の西洋建築とのこと。
・・・・・・・そこまでダリとは関係なさそうです (笑)
こちらの諸橋近代美術館を創立したのは、諸橋廷蔵氏 (1934~2003)。
大型スポーツショップ・SUPER SPORTS XEBIOでおなじみの 「ゼビオ」 を創業した人物です。
もともとダリが好きだったという諸橋氏。
世界屈指のダリの彫刻コレクションとして知られたパリ・ストラットン財団のダリ彫刻37点を、
偶然の成り行きで一括して購入したことがきっかけとなって、美術館の創立を構想するように。
その後、精力的にダリの油彩画作品の収集にも力を入れ、
1999年に、故郷である福島の地に念願の諸橋近代美術館をオープンさせたのだそうです。
館内に入ってまず目を奪われるのは、
諸橋近代美術館の顔ともいうべき、ダリの彫刻コレクション。
(注:館内の写真撮影は、特別に許可を頂いております。)
それらの中には、お馴染みの溶ける時計の彫刻ver.も。
ダリの絵画や版画作品は、これまでに何度も目にしていますし、
ダリの彫刻作品も1、2点ずつくらいでしたら、目にする機会は何度もありましたが。
これだけのまとまった数のダリの彫刻作品を目にするのは、初めてのこと。
すさまじい光景です。
次元をも捻じ曲げるようなダリの彫刻パワーに、ただただ圧倒されました。
この空間を味わうために、福島まで足を運ぶ価値は大いにアリ!
ダリ好きならずとも、一度は訪れるべきでしょう。
確かに、福島県は遠いかもしれませんが、海外に行くことに比べたら、断然近いですよ。
さてさて、そんな諸橋近代美術館では、
現在、“ヤワカタな自我~かたくてやわらかいダリの世界~” という展覧会が開催中。
こちらは、諸橋近代美術館のダリコレクションの中から、
「やわらかい」&「かたい」 をキーワードに、約50点の作品を紹介するユニークな展覧会です。
奇人変人というイメージが、とにかく強いダリ。
その奇妙奇天烈な作品世界には、天才がゆえに、何のルールもないような印象がありますが。
「やわらかい」 と 「かたい」 という2つのキーワードから見てみると、
確かに、時計は溶けて柔らかくなっているし、人体は柔らかく引き伸ばされているし、
作品のモチーフとして多用されている卵やロブスターやフランスパンは固いものばかりだし・・・
意外と、ちゃんとルールが存在していることがわかりました (笑)
実は真面目なところもある。
そんなダリの側面が垣間見える展覧会でした。
ちなみに、ダリを前面に押し出している諸橋近代美術館ですが。
セザンヌやルノワール、ピカソなど、ダリ以外の名画もありますので、
「どうしてもダリが苦手で。。。」 という人も、どうぞご安心くださいませ。
最後に、ミュージアムショップで見つけた諸橋近代美術館こだわりのグッズをご紹介。
ダリの作品にたびたび登場するアリをモチーフにした角皿です。
食欲が湧く気はしませんが (笑)
1枚1枚図柄が違うというこだわりが詰まった逸品です。
諸橋近代美術館を訪れた際は、是非記念にお一つ!
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ヤワカタな自我~かたくてやわらかいダリの世界~
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