国立科学博物館の “特別展「世界遺産 ラスコー展 ~クロマニョン人が残した洞窟壁画~」” に行ってきました。
こちらは、世界各国で人気を博している巡回展の日本特別バージョンで、
約2万年前にクロマニョン人たちによって、壁画が描かれたラスコー洞窟の全貌を紹介する展覧会です。
展覧会の目玉は何と言っても、完全再現された壁画展示。
教科書などでおなじみの 《黒い牝ウシ》 をはじめ、
実物大で再現される壁画「黒い牝ウシ」 © SPL Lascaux international exhibition
ラスコー洞窟の壁画の数々が実物大で再現されています。
そう聞いて、
「な~んだ、再現・・・レプリカかぁ。」
と、ガッカリされてしまった方もいらっしゃるかもしれません。
まぁまぁ、そう慌てなさらずに。
再現は再現でも、現在の最新技術の粋を集めた高精度の再現。
現在は研究者ですら立入り不可のラスコー洞窟内に実際にいるような感覚になれること請け合いです!
と、その再現コーナーの前に。
会場には、10分の1で再現されたラスコー洞窟の模型が広がっていました。
壁画のシンプルなスタイルから、勝手にシンプルな洞窟を想像していたのですが。
意外と複雑。
藤岡弘、が探検してそうな感じの洞窟でした (←?)。
さらに、このコーナーでは、ラスコー洞窟内から発見された顔料や、
石器の数々も併せて紹介されています。
それらに交じって、暗い洞窟内で壁画を描くために用いられていたとされるランプも。
《ランプ》 フランス国立考古学博物館所蔵
パッと見たときは、「ふーん。これがランプかぁ」 くらいにしか思えなかったのですが。
実は、こちらは 『ラスコーのランプ』 と呼ばれている超貴重かつ、
その業界では超有名なランプで、今回、来日したのは奇跡に等しいとのこと。
ラスコー以外の洞窟でも、ランプが出土することは、そう珍しくないのだそうですが、
基本は粗雑なつくりのようで、『ラスコーのランプ』 だけが、例外的に美しいのだとか。
そう言われてみれば、美しいように思えてきました。うん。
では、いよいよ、お待ちかねのラスコー洞窟内へ。
「おぉ!!!!!」
この光景が目に飛び込んできた瞬間、感動でちょっと震えました。
“再現=ニセモノ” という安っぽい感じは、一切ありません。
まるで本物。
臨場感が、ものスゴかったです。
今回の完全再現されていた壁画の中で、もっともパンチが効いていたのは、もちろんコチラ。
謎多き壁画、通称、「井戸の場面」 です。
一番右に描かれているバイソンは、なぜか腸がはみ出てます。
そして、そのバイソンの前で倒れている男性 (?) は、なぜか顔が鳥になっています。
いやはや、謎すぎます。
クロマニョン人は、シュルレアリスム美術も生み出していたのですね。
さて、この後、展覧会では、クロマニョン人による壁画以外の芸術作品の数々が紹介されています。
《ヴィーナス》 グリマルディ洞窟遺跡(イタリア)出土、グラヴェット文化(約3万4000年から2万5000年前)、褐色の凍石製
フランス国立考古学博物館(サン=ジェルマン=アン=レー)所蔵
Photo © RMN-Grand Palais (musée d'Archéologie nationale) / Jean-Gilles Berizzi
《体をなめるバイソン》 ラ・マドレーヌ岩陰遺跡(フランス)出土、マドレーヌ文化(約2万年から1万4500年前)、トナカイ角製
フランス国立考古学博物館(サン=ジェルマン=アン=レー)所蔵[フランス国立先史博物館(レゼジー)寄託]
Photo © RMN-Grand Palais (musée de la Préhistoire des Eyzies) / Franck Raux
原始的で野性味がある作品ばかりかと思いきや、
意外と細かい細工も多く、繊細な印象を受けました。
シュルレアリスムな壁画も含めて、
クロマニョン人を少し下に見ていた (?) 自分を反省する展覧会でした。
ちなみに、展覧会のラストでは、クロマニョン人がいた時代の日本列島についても紹介されています。
衝撃的だったのは、世界最古の落とし穴が、静岡県にあったという事実。
なんと約3万5000年前には、狩猟用の落とし穴があったのだとか。
ロンハーをはじめ、日本のバラエティ番組のドッキリ企画に欠かせない落とし穴。
実は、かなり昔から日本のお家芸だったのですね。
┃会期:2016年11月1日(火)~2017年2月19日(日)
┃会場:国立科学博物館
┃http://lascaux2016.jp/
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特別展「世界遺産 ラスコー展 ~クロマニョン人が残した洞窟壁画~」
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