時は、1910年代後半。
一人の日本人男性が、パリの芸術文化に触れ、カルチャーショックを受けた。
その男の名は、福原信三。資生堂初代社長である。
福原がとりわけ心を奪われたのは、香水だった。
福原は言った。「香りを芸術まで高めたい!」。
そこから、福原のあくなき香水作りが始まった。
合言葉は、『商品の芸術化』。
これは、西洋に負けない日本発のオリジナル香水作りに挑んだ男たちの物語である―
・・・と、思わず 『プロジェクトX』 風に紹介したくなる展覧会が、現在、資生堂ギャラリーで開催中です。
その名も、“Les Parfums Japonais ―香りの意匠、100年の歩み―” 。
福原信三が憧れたフランスの香水瓶とともに、福原自らが手がけた初期の資生堂の香水瓶、
さらには、『商品の芸術化』 の精神を受け継ぐ香水瓶、併せて約40点を紹介する展覧会です。
さて、みなさま、香水瓶の展覧会と聞いて、どんな会場を思い浮かべたでしょうか?
きっと多くの方が、小さくて美しい香水瓶が、
ガラスケースの中で仲良く並んでる様子をイメージされたことでしょう。
しかし、そうした従来の香水瓶の展覧会のイメージを、
いい意味で、大きく裏切ってくれたのが今回の展覧会。
会場に広がっていたのは・・・・・
“香水瓶展” 史上 (?) 、もっともスタイリッシュな光景でした!
パッと見では、とても香水瓶の展覧会とは思えません。
オシャレなバーラウンジのような印象です。
ちなみに、この展覧会のためにデザインされた、
オリジナルの展示什器は、植物とその上に乗った雫をイメージしたものとのこと。
その雫の中に、香水瓶たちが閉じ込められています。
なんとシャレオツな!
また、展示ケースもかなりスタイリッシュですが、
それに輪をかけて展示の演出が、実にスタイリッシュ!
今回の展覧会の演出を担当したのは、メディアアートユニットのplaplaxの皆さん。
彼らとコラボレーションしたことで、これまでに全く観たことがなく・・・
かつワクワクする香水瓶展のインタラクティブ空間に仕上がっていました!
想像の斜め上をいく香水瓶展でした。
女性だけでなく、男性にもオススメの展覧会です。
さてさて、今回の展覧会の主役はもちろん香水瓶。
資生堂の第一号香水 『花椿』 をはじめとする初期 (フランスに追い付け追い越せ期) の香水瓶に、
家紋や印籠をイメージした形など日本らしい造形を取り入れた香水瓶、
戦時中の物品不足の中、シンプルながらもデザインにはこだわった香水瓶、
そして、資生堂イズムを継承した現在の資生堂デザイナーが手掛けた斬新すぎる香水瓶など、
個性あふれる香水瓶の数々が展示されていましたが。
個人的にもっともデザインに惹かれたのは、『禅』 です。
高台寺蒔絵をイメージしてデザインされたという香水瓶。
そのカッコよさは、尋常ではありません!
海外向けに作られ、見事大ヒットしたそうですが、納得も納得のデザインです。
デザインはともかくも、気になって仕方が無かった香水は、こちら↓
その名も、『銀座』。
昭和20年代当時、今でいう渋谷のように賑やかだった銀座の街をイメージした香りとのこと。
都会の雑踏やノイズが香りで表現されているのだそうです。
・・・・・・・・・。
イイ匂いな気はしません (笑)
最後に、今回の展覧会でもっとも注目して頂きたいコーナーをご紹介いたしましょう。
こちらは、香水のネーミングに注目したコーナーで、
『あなたのもとへ』 や 『再会の時』 など、9つのロマンチックな名前の香水が並んでいます。
特にplaplaxの皆さんが力を入れた空間であるようで、
それぞれの香水瓶の前に立つと、香水の名前が壁に映し出される仕組みになっています。
さらに、フランス語で香水の名前が読み上げられます。
(男性・囁き声ver. 男性・セクシーver. 女性・囁き声ver. 女性・セクシーver.の計4パターンがランダムに流れます)
ちなみに、このコーナーに展示された9つの香水瓶、
左から順にたどると、なんとなく恋愛のストーリーになっているとのこと (笑)
『軽はずみ』 に始まって、
ラストは、『さよならは言わない』 。
・・・・・・・甘~い!!
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Les Parfums Japonais ―香りの意匠、100年の歩み―
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