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Channel: アートテラー・とに~の【ここにしかない美術室】
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第2回菊池寛実賞 工芸の現在

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現代陶芸を専門とする菊池寛実記念 智美術館では、
現在、“第2回菊池寛実賞 工芸の現在” という展覧会が開催されています。

智


こちらは、陶芸に限定せず、金工、ガラス、竹工など、
さまざまな工芸分野で活躍する作家の近作や新作を紹介する展覧会です。
出展しているのは、菊池寛実記念 智美術館が、
「今、キてる!」 と自信を持ってリコメンドする12名。
まさに、“工芸の現在” の第一線を走る工芸作家たちです。

どの作家の作品も、本当に素晴らしかったですが。
さすがに12人全員を紹介する余裕はないので、
個人的にとりわけ印象に残った作家をご紹介いたします。
星星


まずは、杉浦功悦さん。

竹芸家・杉浦功悦さん
(注:館内の写真撮影は、特別に許可を頂いております。)


手前に見えるは、《虎嘯風生》 という作品です。
テオ・ヤンセンが生み出したオブジェのようにも、
スクリーンセーバーかコンピューターグラフィックのようにも見えますが。
こちらは、竹を編んで作った作品。竹芸品です。
竹で、こんなにも複雑な形を作ることが出来るだなんて。
もはやイリュージョンを見せられているかのような印象を受けました。


また、谷岡茂男さんの竹芸品もイリュージョンのよう。

谷岡 茂男


奥に展示された 《LOOP 2012》 は、まるでメビウスの輪のように、
始点と終点が合わさって、ループ状になっているというウルトラCな作品。
何がどうなって、何をどうしたら、このような複雑な形状が作り出せるのか。
考えると夜も眠れなくなりそうです。


もちろん、菊池寛実記念 智美術館の展覧会ですから、
12人中6人と、やきものの作家も多く紹介されていました。
その中で特にインパクトが大きかったのが、川端健太郎さんの作品です。

菊池寛実記念 智美術館
川端


これまでのアートテラー人生で、相当な数の陶芸作品を目にしていますが。
川端健太郎さんの生み出す作品は、そのどれともかぶっていません。
全く観たことがないフォルム。
全く観たことがない質感。
全く観たことがない存在感。
独創的にもほどがあります。
これらの作品はすべて磁土を手捻りしながら、
その都度湧いたインスピレーションを大事にして制作されているのだとか。
ジャジースタイルな陶芸作品です。


磁器といえば、亀井洋一郎さんの作品も印象的でした。

亀井 洋一郎


磁土が柔らかいうちに立方体のフレームに流し込むという独自のスタイルを確立。
その立方体のユニットを組み合わせることで作品を制作しています。
ありそうでなかったスタイリッシュな陶芸作品でした。


さて、今回の展覧会で特に心を奪われたのは、山本茜さんの作品です。
もともとは、截金の作家だったという山本茜さん。
ある時から、仏像の衣服であったり、箱の表面に施されたり、と、
何かを装飾する役割のため、決して主役にはなれない截金そのものに、
スポットを当てられなかいかと考えるようになったそうです。
理想は、截金が宙に浮いて自立してくれることですが、さすがに、そういうわけにはいかず。
そこで、ガラスで截金を浮かすことを思いつきます。
ところが、どのガラス作家も、やったことないからと協力してくれなかったため、
ガラスの専門学校に入学し、一からガラスを学び、ガラスも自ら制作するようになったのだとか。
そんな山本茜さんによって生み出されたのが、截金とガラスを融合させた截金ガラス作品です。

山本茜


截金ガラス作品のパイオニア山本茜さんの作品は、
見る角度によって、さまざまな表情を見せるのが、その最大の魅力。

山本茜さん
山本茜さん


何周回っても見飽きませんし、
1時間でも2時間でも、ずーっと見てられます。
ついつい万華鏡に見入ってしまう、あの感覚にどことなく通ずるものがありました。


他にも紹介したい作品は多々ありますが。
あまり記事が長くなりすぎるのもなんなので、本日はここまで。
僕の勝手な印象 (妄想?) ですが、どこか未来を感じる造形が多かったような。
なんとなく未来の家電っぽいといいましょうか。
50年後くらいには、あんなフォルムの空気清浄器や、
プラズマクラスター、加湿器が販売されていそうな気がしてなりません。




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