昨年、ゴッホとゴーギャンの友情をテーマにした展覧会が、東京都美術館で開催されていましたが。
今年は、アンリ・マティスとジョルジュ・ルオーの友情をテーマにした展覧会、
“マティスとルオー展 ―手紙が明かす二人の秘密―” がパナソニック 汐留ミュージアムで開催されています。
(注:館内の写真撮影は、特別に許可を頂いております。)
マティスとルオー。
作風の全く違う2人ですが、実は、ともにパリの国立美術学校で学んだ間柄。
ともに、毎年春に開催されていた従来の保守的なサロンに対抗して、
サロン・ドートンヌ (秋季展の意) を立ち上げた中心メンバーでもありました。
その友情はマティスが亡くなる前年まで続いていたとのこと。
今回の展覧会は、そんな2人が半世紀近くにわたって交わした手紙に焦点が当てられています。
《マティスからルオーへの手紙》 1946年11月4日 ジョルジュ・ルオー財団、パリ
《ルオーからマティスへのハガキ》 1947年7月 アルシーヴ・マティス
美術界に名を残す巨匠2人がやりとりした手紙ですから、
もちろん、文面には美術に関するあれこれが綴られていたのですが。
それなりに歳を取った2人の手紙に関しては、話題の中心は健康についてでした。
巨匠といえども、人の子。
普通に中年のおじさんの会話をしていたのだなぁ、と妙に親近感がわきました (笑)
さてさて、2人の友情が主役の展覧会ではありますが。
それぞれの出展作品も、主役級の名品が揃っています。
友情パワーで、なんとかしようという展覧会ではありませんでした (←?)。
マティス展としても、ルオー展としても、
2人展としても楽しめる、1粒で3度おいしい展覧会です。
今回の展覧会で特に印象に残ったのは、
2人が出会った国立美術学校時代のマティス作品でしょうか。
アンリ・マティス 《スヒーダムの瓶のある静物》 1896年 マティス美術館、ル・カトー=カンブレジ
マティス感は、0。
マティスがマティスになる前、いわば、エピソード0な作品です。
でも、よくよく見ると、皿に盛られている果物の色合いに、マティスらしさが。
ここから、いろいろあって、こうなるのですね↓
アンリ・マティス 《ラ・フランス》 1939年 公益財団法人ひろしま美術館
日本人で初めてルオーの作品を収集した福島繁太郎の旧蔵品をはじめ、
ルオーも印象深い作品が多かったですが、個人的イチオシ作品は、《聖ジャンヌ・ダルク》 です。
ジョルジュ・ルオー 《聖ジャンヌ・ダルク》「古い町外れ」 1951年 個人蔵(ジョルジュ・ルオー財団協力)、パリ
言われなければ、ジャンヌ・ダルクに見えませんが。
言われれば、まぁ、ジャンヌ・ダルクに見えてきます。
背景に緑と黄色が使われていて、馬の輪郭線が青で、と、カラーリングはめちゃくちゃなのですが。
しばらく見ていると、それが正しく思えてくる、不思議な説得力がありました。
ルオーマジック。
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マティスとルオー展 ―手紙が明かす二人の秘密―
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