国立西洋美術館で開催中の “シャセリオー展” に行ってきました。
(注:館内の写真撮影は、特別に許可を頂いております。)
こちらは、19世紀フランスの画家テオドール・シャセリオーの日本初となる回顧展です。
ルーヴル美術館やオルセー美術館、メトロポリタン美術館をはじめ、
世界の名だたる美術館から100点を超えるシャセリオー作品が来日し、一堂に会しています。
これだけシャセリオーの作品をまとめて観られる機会は、本国フランスでもあるかどうか。
西洋絵画ファンなら、是非チェックしておきたい美術展の一つです。
・・・・・と言っても。
きっと多くの方の頭の上には、?マークが浮かんでいるはず。
「シャセリオー?」
そこで、まずはシャセリオーがどんな画家なのかを、簡単にご説明いたしましょう。
《自画像》 1835年 ルーヴル美術館
Photo©RMN-Grand Palais (musée du Louvre) / Jean-Gilles Berizzi / distributed by AMF
上の絵の人物がシャセリオー。
こちらは、16歳の時に描かれた自画像です。
なかなかのイケメンに思えましたが、
シャセリオー自身は自分の容姿にコンプレックスを抱いていたとのこと。
付き合っていた女性にも、ブサイク呼ばわりされていたのだとか。
この時代のフランスの顔面偏差値は、相当高かったのですね。。。
と、フェイスのことはさておきまして。
シャセリオーの画家としての才能は、超メジャー級。
わずか11歳で新古典主義の巨匠アングルに弟子入りを許され、16歳でサロンデビューを果たします。
師匠であるアングルに、「絵画界のナポレオンになる!」 と絶賛されながらも、
やがて新古典主義と対立するロマン主義に傾倒し、独自の道を追求するようになります。
しかし、道半ばにして37歳にて、この世を去ることに。
まさしく、時代を駆け抜けた画家でした。
ちなみに、そんなシャセリオーから大きく影響を受けたのが、
シャヴァンヌやギュスターブ・モローといった象徴主義の画家たち。
今回の展覧会では、シャセリオーの作品と併せて、彼らの作品も展示されています。
並べてみると、一目瞭然。
確かに、言い逃れできないくらいに (←?) バッチリ影響を受けているのがわかります。
さて、カリブ海に浮かぶドミニカ共和国生まれというバックボーンも関係しているのでしょうか。
シャセリオーが描く絵はどれももれなく、エキゾチックな雰囲気が漂っている気がしました。
《カバリュス嬢の肖像》 1848年 カンペール美術館 Collection du musée des beaux-arts de Quimper
《コンスタンティーヌのユダヤ人街の情景》 1851年 メトロポリタン美術館
特にエキゾチックさを漂わせていたのが、こちらの 《泉のほとりで眠るニンフ》 という作品。
《泉のほとりで眠るニンフ》 1850年 CNAP(アヴィニョン、カルヴェ美術館に寄託)
©Domaine public / Cnap /photo: Musée Calvet, Avignon, France
なんとも妖艶。
なんとも小顔。
モデルは、シャセリオーの恋人で、女優のアリス・オジー。
パリでも最も美しいと讃美された体の持ち主だったのだとか。
セクシーすぎて、5秒以上直視できませんでした。
この絵に関しては、遠くから眺めるのが良さそうです。
ちなみに、個人的に一番印象に残った作品は、《気絶したマゼッパを見つけるコサックの娘》 です。
《気絶したマゼッパを見つけるコサックの娘》 1851年 ストラスブール美術館(ルーヴル美術館より寄託)
Photo©Musées de Strasbourg, Mathieu Bertola
画面中央で、気を失いッパなのが、マゼッパ。
有力者の妻と、昨今流行のゲス不倫をしてしまったそうで、
野生馬に裸で縛りッパで、荒野に追放されッパの罰を受けることとなったのだとか。
不倫。ダメ。ゼッタイ。
マゼッパは自業自得だから致し方ないですが、馬は可哀そうです。
何でこんな状態になるまで走ったのだろうか。
他にも気になった作品を。
一つは、《アクタイオンに驚くディアナ》(写真左) 。
狩りの最中に、水浴中の女神ディアナの姿を覗き見てしまったアクタイオン。
「アクタイオンさんのエッチ!」 と水をかけられてチャンチャン・・・とはなりません。
烈火のごとく怒り狂ったディアナによって、鹿の姿に変えられてしまいます。
そして、次の瞬間、アクタイオンは自分の連れていた猟犬たちに食べられてしまうのです。
覗き。ダメ。ゼッタイ。
と、そんなアクタイオンを描いた絵は、これまで何点も目にしてきましたが。
まだ変身していないか、頭に鹿の角が生えた変身直後か、
もしくは、完全に鹿の姿となった変身完了バージョンのいずれかのアクタイオン。
しかし、シャセリオーのアクタイオンは、そのどれでもなく、
身体は人間で顔だけ鹿という “バンビーノ” スタイルでした。ダンソン。
そして、もう一つは、《政治家にして公法学者のアレクシ・ド・トクヴィルの肖像》(写真左)。
ちょっと高橋一生似。
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シャセリオー展
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