今回ご紹介するのは、Bunkamuraザ・ミュージアムで開催中の展覧会、
“ゴールドマン コレクション これぞ暁斎! 世界が認めたその画力” です。
展覧会の主役は、もちろん河鍋暁斎。
会場では、「画鬼」 と呼ばれた暁斎のパンクでロックな魅力を存分に味わうことが出来ます。
河鍋暁斎 《名鏡倭魂 新板》 明治7(1874)年 大判錦絵三枚続
イスラエル・ゴールドマン コレクション Israel Goldman Collection, London Photo:立命館大学アート・リサーチセンター
河鍋暁斎 《地獄太夫と一休》 明治4-22(1871-89)年 絹本着彩、金泥
イスラエル・ゴールドマン コレクション Israel Goldman Collection, London Photo:立命館大学アート・リサーチセンター
それと同時に、暁斎のユーモアセンスも存分に味わうことが出来ます。
個人的にイチオシのユーモア作品が、こちら↓
河鍋暁斎 《鬼を蹴り上げる鍾馗》 明治4-22(1871-89) 紙本淡彩
イスラエル・ゴールドマン コレクション Israel Goldman Collection, London Photo:立命館大学アート・リサーチセンター
鍾馗に蹴り上げられた鬼が、空の向こうへ。
きっと、このあとはキラーンと光って、画面から消えてしまうはずです。
まるで昭和のギャグ漫画。
永井豪や高橋留美子あたりの漫画でよく見るヤツです。
漫画っぽいといえば、こんな作品もありました。
河鍋暁斎 《三味線を弾く洋装の骸骨と踊る妖怪》 明治4-22(1871-89)年 紙本淡彩
イスラエル・ゴールドマン コレクション Israel Goldman Collection, London Photo:立命館大学アート・リサーチセンター
確か、こんなキャラが麦わらの一味にいたはず。
もしくは、漫画ではないですが、ティム・バートンの映画に出てたはず。
さてさて、今回の展覧会のもう一人の主役は、イスラエル・ゴールドマンさん。
ロンドンの画商さんで、世界屈指の暁斎コレクターです。
今回の展覧会に出展されているのは、すべて彼のコレクション。
その中には、いつもは寝室に飾ってあるという特に思い入れの強い作品も。
河鍋暁斎 《象とたぬき》 明治3(1870)年以前 紙本淡彩
イスラエル・ゴールドマン コレクション Israel Goldman Collection, London Photo:立命館大学アート・リサーチセンター
日本美術に興味を持ってくれて、ありがとうございます。
そして、惜しげもなく日本に作品を貸してくれて、ありがとうございます。
一人のコレクターのコレクションで構成された展覧会だけに、
ゴールドマンさんの趣味がダイレクトに反映され、展示作品にやや偏りがみられるのはご愛嬌。
特にカラスを描いた作品は、何点も展示されています。
カラスの絵だけで、1コーナーが出来ていたほど。
河鍋暁斎 《烏瓜に二羽の鴉》 明治4-22(1871-89)年 絹本着彩
イスラエル・ゴールドマン コレクション Israel Goldman Collection, London Photo:立命館大学アート・リサーチセンター
バージョン違いも集めたくなってしまうのは、コレクターの性なのかもしれません。
さてさて、カラスの絵ばかりなぜ描くの?
暁斎の勝手ではありますが、実は、こんな理由があります。
暁斎は第2回内国勧業博覧会に 《枯木寒鴉図》 を出品し、
見事、事実上の最高賞である妙技二等賞牌を獲得します。
しかも、飴でお馴染みの榮太樓の主人が、
当時としては破格の 「100円」 で購入したことで、《枯木寒鴉図》 はさらに話題になりました。
そう、《枯木寒鴉図》 は、暁斎を一躍スターダムにした作品なのです。
だから、そのあと何度もカラスの絵を描いたのですね。
M-1グランプリでチャンピオンになった芸人が、いろんな番組に出演し、同じネタを披露する。
あれに近いものがあります。
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