茨城県近代美術館で開催中の “東山魁夷 唐招提寺御影堂障壁画展” に行ってきました。
こちらは、東山魁夷が10年の歳月をかけて描いた 《唐招提寺御影堂障壁画》 、
その68面すべてと、スケッチや下図など関連作品45点を合わせて公開する展覧会です。
東山魁夷好きとしては、一度は観ておきたい 《唐招提寺御影堂障壁画》。
昨年ついに、国宝ハンターもかねて、
開山忌の時期に合わせて唐招提寺を訪れたのですが。(その時の記事は、こちら)
まさかまさかで、御影堂は平成大修理中。
《唐招提寺御影堂障壁画》 と対面することは叶いませんでした。。。
奈良まで出向いての空振りに、激しく気落ちしましたが、
鑑真和上は日本に辿り着くまでに6回もかかったんだから、と自分を慰めたのを今でも覚えています。
さて、今回は空振りすることなく、《唐招提寺御影堂障壁画》 と無事に対面を果たすことが出来ました。
やはり、東山魁夷の集大成とされる作品だけあって、素晴らしかったです。
特に、全16面からなる 《濤声》 は絶品。
《唐招提寺御影堂障壁画 濤声》(部分) 昭和50年 唐招提寺蔵
まさに、そこに海がありました。
潮風や海の匂い、寄せては返す波の音。
五感で海が感じられるのです。
東山魁夷は鑑真和上に捧げるために、《唐招提寺御影堂障壁画》 を描いたわけですが。
鑑真和上は、暴風雨にあったり、漂流したり、何度も海で酷い目に遭っているわけですから、
こんなにも海が感じられる絵だと、PTSDに苦しんでしまうのでは、とやや心配になりました。
ただ、東山ブルーのヒーリング効果は絶大なので、きっと大丈夫なことでしょう。
ちなみに、日本の海を描いた 《濤声》 と対をなすのが、日本の山を描いた 《山雲》。
《唐招提寺御影堂障壁画 山雲》(部分) 昭和50年 唐招提寺蔵
初めて目にする光景なのに、これまでに何度も目にしたことがあるかのような安心感がありました。
おそらく、そう感じる日本人は僕だけではないはず。
実際、僕以外の多くの鑑賞者の方が、この絵の前でホッとした表情を浮かべていました。
『みんなの中に、東山魁夷はいる。』 ということなのでしょう。
さて、《唐招提寺御影堂障壁画》 に描かれているのは、日本の風景だけではありません。
鑑真和上の故郷、中国の風景も描かれています。
《唐招提寺御影堂障壁画 揚州薫風》(部分) 昭和55年 唐招提寺蔵
こちらは・・・まぁ・・・うん。
悪くはないんですけども。
《濤声》 や 《山雲》 と比べて、ボンヤリしているといいましょうか。
つくづく、東山魁夷は日本の景色を描くのに長けた画家なのだということを実感しました。
ちなみに、茨城県立近代美術館の展覧会ホームページを眺めていて、気になったことが一つ。
「展覧会の特徴と見どころ」 が7つ挙げられているのですが。
『普段は見ることができない貴重な作品』 や 『茨城県で初公開』 、
『障壁画を立体的に展示』 に交じって、『水戸の梅まつりと一緒に楽しめる』 がありました。
それは、展覧会の特徴、展覧会の見どころなのか (笑)
「水戸の梅まつり会場である偕楽園と東山魁夷展を開催する茨城県近代美術館は車で5分の距離なので、あわせてお楽しみいただけます。」
とのこと。
車、推奨。
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東山魁夷 唐招提寺御影堂障壁画展
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