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Channel: アートテラー・とに~の【ここにしかない美術室】
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SEITEI~渡辺省亭 蘇る!孤高の神絵師

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JAKUCHU (=伊藤若冲)ZESHIN (=柴田是真)KYOSAI (=河鍋暁斎)

海外で評価が高まったあとで、日本で再ブレイクする。
そんな逆輸入パターンで人気を博す絵師が、これまで何人も現れてきましたが。
ネクストブレイク間違いなしなのが、“SEITEI” こと渡辺省亭です。

よほど日本美術が好きな方でも、その名を知らないであろう渡辺省亭。(僕も昨年初めて知りました)
しかし、海外の日本美術コレクターの間では、“SEITEI” で通じるほどメジャーな画家なのだとか。
ちなみに、日本の現状はともかくも、世界的に省亭の評価は高く、
ボストン美術館、メトロポリタン美術館、大英博物館、V&Aを筆頭に、
世界の主要なミュージアムに彼の作品が所蔵されています。


さて、今年2017年は、そんな渡辺省亭の100回忌にあたる節目の年。
それを記念して、個人蔵を含め、日本で観られる省亭の作品を可能な限り集めた、
日本初の省亭展 “SEITEI~渡辺省亭 蘇る!孤高の神絵師” が、現在開催されています。
舞台は、京橋にある加島美術。

加島
日本初の省亭展


会期は、4月9日までです。
省亭伝説の始まり、どうぞお見逃しなきように。
星星


さてさて、省亭作品の魅力。
それは何と言っても、その洒脱さにあります。

例えば、こちらの 《松樹にかささぎ》 という一枚。

省亭の作品


一見すると、モノクロームで表現された写実的な絵画に思えます。
しかし、近寄って、よく見てみると・・・

かささぎ


羽の部分は、そこまで写実的に描かれていないことがわかります。
にもかかわらず、カササギの姿にはリアリティがありました。
決して、嘘っぽく感じられないのです。
その理由はおそらく、羽の一部に使われている青色と、
キャッチアイを表現するために目玉の部分に使われた白にあるのでしょう。
ちょっとの工夫で本格的。
カリスマ料理研究家みたいな感じです。


また、カリスマ料理研究家みたいな渡辺省亭は、
高級な食材 (題材) や珍しい食材 (題材) は、ほとんど用いません。

鴨
ニワトリ


題材にするのは、鴨や鷺、ニワトリ、土鳩といった身近なモチーフばかり。
それらを意外な角度から描いたり、意外な組み合わせで描くことで、作品には新鮮な驚きが。
例えば、身近な鳥の代表格・雀を渡辺省亭が料理すると、こんな仕上がりに。

雀


これでもかというくらいに、雀を描いているため、
一瞬、雀に思えず、スズメバチの絵なのかと空目。
平野レミの料理くらいに衝撃的でした。


ちなみに、個人的にお気に入りなのは、《瀑布岩燕図》 です。

岩燕


スッキリ感、清涼感にあふれた一枚。
絵の前で思いっきり息を吸い込んだら、メントールの味がした気がしました。
あくまで、“気がした” だけですが。


それと、《時鳥図》 もお気に入りの一枚。

時鳥


ただ、時鳥が1羽、飛んでいるだけなのに。
絵の前に立つと、何とも言えない高揚感がありました。
まるで大河ドラマや歴史超大作映画の1シーンを観ているかのような。
この後、きっと何かが起こります。
時鳥は、風雲急を告げているのかもしれません。
(↑34歳になって一発目の記事なので、ちょっとカッコつけてみました。明日からは通常営業です)



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