Quantcast
Channel: アートテラー・とに~の【ここにしかない美術室】
Viewing all articles
Browse latest Browse all 5005

歌川国芳 21世紀の絵画力

$
0
0
「春のパンまつり」 ほどは定着していないですが。
府中市美術館では、「春の江戸絵画まつり」 と題して、
江戸絵画をテーマにした展覧会を毎年春に開催しています。
今年開催されているのは、“歌川国芳 21世紀の絵画力”

国芳


歌川国芳はなぜ江戸時代に人気を誇ったのか。
そして、なぜ現代も人気を誇っているのか。
19世紀と21世紀。
2つの時代における国芳フィーバーの理由に迫る展覧会です。


「かわいい」 だとか 「猫」 だとか、
国芳の浮世絵とともに、いろいろと人気の理由が紹介されていましたが。
正直なところ、目新しいポイントは無かったような。
これまでに本やテレビで読んだり見たりしたものばかりだったような。
こするほど国芳の展覧会を観ている僕的には、
“まぁ、結局のところ、いつもの国芳展だなぁ” という感じでした。
でも、逆に言えば、国芳展デビューする方には、オススメ!
国芳展の決定版です。
星星


さて、今回出展されている作品は、前後期合わせて約240点。
その中で特にささった作品を、いくつかご紹介いたしましょう。

まずは、《東都首尾の松之図》 から。

東都首尾松之図


首尾の松とは、江戸時代、浅草蔵前の隅田川のほとりにあった有名な松とのこと。
しかし、その松は、ほとんど描かれていません。
主役は、むしろカニ。もしくは、フナムシ。
まるで、スナップショットのような一枚です。
迷彩柄のような空も印象的。


続いても風景画。
《相州江之島之図》 です。

相州江之島之図


江の島を、あえて裏側から描いたというトリッキーな一枚。
江の島の裏側って、こんなモンスターみたいなフォルムをしているのですね。
進撃の江の島。


《江戸ノ花木葉渡 早竹虎吉》 もインパクトの強い作品でした。

江戸ノ花木葉渡 早竹虎吉


早竹虎吉は、幕末の人気軽業名人。
超人的なバランス感覚です。
しかし、もっと驚くべきは、その握力。
足を片手で掴んで離さない、というのは、まだ理解できますが。
左手一本で、あそこを掴むだけでキープできるのは、脅威も脅威。
今生きていたら、間違いなくシルク・ドゥ・ソレイユで主役を張れたことでしょう。


今回の国芳展には、団扇絵がまとまって紹介されていましたが。
その中でも特に印象的だったのは、《流行うきよひやうたん》 です。

流行うきよひやうたん


この団扇があったら買ったのに。
ゆるキャラ感が、たまりません。


また、国芳本人的には、暴いてほしくなかったでしょうが。
いくつかの浮世絵は、元ネタ (ジョン・ニューホフ 『東西海陸紀行』) の画像とあわせて紹介されていました。

誠忠義士肖像であるジョン・ニューホフ 『東西海陸紀行』


これは、やってますね (笑)
現代なら、ネット住民によって、炎上確実。
江戸時代に、Google画像検索がなくて、本当に良かった。


ちなみに、国芳以上に、完全にやってしまっていたのが、国芳と同時代の絵師・安田雷州。

赤穂義士報讐図


こちらの 《赤穂義士報讐図》 という絵の元ネタは、
アルノルト・ハウブラーケンの 『絵入り聖書』 の一場面だそうです。
構図や人物のポーズは、まったくの一緒。
完全なるパクリでした。
元ネタでのマリア様は、《赤穂義士報讐図》 では、大石内蔵助に置き換えられています。
そして、マリア様が胸に抱いている幼きキリストは・・・・・吉良上野介の首に。
どういうセンスをしてるんだ。




1位を目指して、ランキングに挑戦中!(現在7位ですアップ
下のボタンをポチッと押して頂けると嬉しいです!

Blogランキングへ  にほんブログ村 美術ブログへ

Viewing all articles
Browse latest Browse all 5005

Trending Articles