現在、DIC川村記念美術館では、
ヴォルスをフィーチャーした展覧会 “ヴォルス――路上から宇宙へ” が開催されています。
「ヴォルス?バルス?」
という方のために、まずは簡単にヴォルス (1913~1951) の紹介から。
ヴォルスは、ドイツで生まれ、フランスで活動した20世紀の画家です。
ヴォルスはアーティスト名で、本名はアルフレート・オットー・ヴォルフガング・シュルツェ。
わりと長めの名前です。
生前は、20世紀を代表する哲学者サルトルなど、ごく一部の人からは評価を受けていたようですが。
名声が高まる前に、38歳という若さで逝去。
死後になって、アンフォルメル (前衛芸術運動の一つ) の先駆者として、注目を浴びるようになりました。
その人生は、悲惨も悲惨です。
生活は貧窮。
度重なる収監。
アル中による失明の危機。
そして、挙句の果てには、腐った馬肉を食べて中毒死。
“あぁ、僕がヴォルスでなくて良かったぁ”
と、ヴォルスの人生には、まったく惹かれるものがなかったのですが。
ヴォルスの作品には、妙に惹き付けられるものがありました。
ゴッホや若冲などの作品と比べてしまうと、磁力はかなり弱め。
無視しようと思えば、無視できてしまう感じです。
しかし、そこを無視せずに (←?) 、
ひとたび作品と向き合うと、心の奥底がザワザワゾワゾワしてくるのです。
何かデジャヴのようなものを感じると言いましょうか。
良くも悪くも、今までに味わったことのない不思議な感覚に陥ります。
しかも、不思議なことに、作品を見ているその時よりも、
観終わってしばらくして、ふっと思い返した時のほうが、よりザワザワゾワゾワします。
ヴォルス。
感覚の崩壊を引き起こす呪文です。
今回の展覧会には、一般的によく知られるヴォルスの水彩や銅版画作品だけでなく、
数十点しか確認されていない貴重なヴォルスの油彩画や、
画家になる前、写真家として活動していた頃のヴォルスの写真作品、
さらには、壁のあちこちで、
ヴォルスの言葉も紹介されていました。
ヴォルスの作品世界を総括的に知ることのできる貴重な展覧会といえましょう。
ハマる人はとことんハマる。
ハマらない人は最後までハマらない。
0か100か。それが、ヴォルス。
ちなみに、個人的に一番印象に残ったのは、ヴォルス本人による 《百面相》 という写真作品です。
「百面相っていうわりに、そんなに顔のバリエーションねぇな!!」
と、カミナリばりに強めのツッコミを入れたくなりました。
それから、《(美しい玉ねぎ・・・!)》 とのタイトルが付けられた写真作品も。
その原題にご注目。
「玉ねぎに驚いたあとに、何だよ、いきなりParisって!!
唐突すぎて、和訳のとき、無視されてるじゃねぇか!!」
と、こちらもカミナリばりに強めのツッコミを入れたくなりました。
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ヴォルス――路上から宇宙へ
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