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Channel: アートテラー・とに~の【ここにしかない美術室】
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Book:9 『小田野直武―解体新書を描いた男』 他2作

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今回は、意外な画家を主人公にした小説をご紹介。
その人物とは、小田野直武 (1749~1780) 。
江戸時代中期の画家であり、
平賀源内より洋画を学び、秋田蘭画と呼ばれる一派を形成した人物です。

小田野直武―解体新書を描いた男/小室 千鶴子

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■小田野直武―解体新書を描いた男

 作者:小室千鶴子
 出版社:郁朋社
 発売日:2011/9
 ページ数:341ページ

卓越した細密抽写の技と大胆な遠近法とで秋田蘭画を確立した孤高の天才画家。
主君佐竹曙山の寵愛と嫉妬とに苦しめられた主人公の栄光と謎の死に迫る渾身作。
(「BOOK」データベースより)


小田野直武って誰?!

 という人が大半でしょうが。
 サブタイトルにもある通り、

アートテラー・とに~の【ここにしかない美術室】-解体新書


 あの 『解体新書』 の挿絵を描いたのが、小田野直武。
 日本人ならば、教科書等々で、その絵は、一度は見たことことがあるはずです。

 とは言え、おそらく多くの方が名前は知らないはず。

 よくまぁ、小田野直武を主人公にした小説を描こうと思ったものです。
 まずは、作者の小室千鶴子さんの目の付けどころに、関心しました。
 
 ・・・でも、念には念を入れて。

 “他に、小田野直武を主人公にした小説はないよね?”

 一応、調べてみることに。
 すると、実は、これ以外にも小田野直武を主人公にした小説があったのです。

風狂の空 平賀源内が愛した天才絵師/城野 隆

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■風狂の空 平賀源内が愛した天才絵師

 作者:城野隆
 出版社:祥伝社
 発売日:2009/8/29
 ページ数:386ページ

角館の佐竹北家に仕える小田野直武(武助)は、
安永二(一七七三)年七月、本草学者にして山師・平賀源内に画才を認められる。
その時見せられた阿蘭陀絵の西洋画法に衝撃を受けた武助は、源内の誘いで江戸での蘭画修業を開始。
浮世絵師・吉次郎(鈴木春重)らから刺激を受けながら画道に専念、
やがて杉田玄白らが翻訳を目指す『解体新書』の附図描きの仕事を得る。
それを機に、老中・田沼意次の知遇を得るようになっていくが…。
後代の浮世絵にも多大な影響を与えた秋田蘭画の中心的絵師にして、平賀源内に愛された小田野直武。
夭逝を遂げた謎の絵師の生涯を活写した傑作歴史小説。
(「BOOK」データベースより)


そして、何ともう一冊!

源内が惚れこんだ男―近世洋画の先駆者・小田野直武/野村 敏雄
 アートテラー・とに~の【ここにしかない美術室】-源内が惚れこんだ男
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■源内が惚れこんだ男―近世洋画の先駆者・小田野直武

 作者:野村敏雄
 出版社:プレジデント社
 発売日:1994/01
 ページ数:319ページ

秋田・角館に生まれた直武は、
平賀源内にその絵画の才能を見出され、『解体新書』の挿絵を描く大役を与えられた。
田沼時代の改革の気運のなかで、洋画技法の習得に若き命を燃やし、
主君佐竹曙山らとともに「秋田蘭画」の花を咲かせた武人画家の短い生涯を爽やかに描く力作歴史小説。
(「BOOK」データベースより)


 美術展でも、ほとんどフィーチャーされたことがない小田野直武なのに。
 小説界では、意外なほどに、フィーチャーされていた小田野直武。

 せっかくなので、3冊すべて読んでみました。
 
 さすがに、作家が違えば、
 同じ人物を主人公に描いても、三者三様ですね。
 しかし、3冊とも共通して描かれているのは、

 “秋田から江戸に上京して (上江して?) 、江戸の文化の高さに心を奪われる小田野直武”




 “その後、藩命により、志半ばで秋田に戻ることになり、江戸への想いを募らせる小田野直武”


 今も昔も、若者は、東京の文化に憧れるものなのだなぁ…と、共感するものがありました。
 僕以外にも、小田野直武は、きっと多くの若い人に共感されるはず。
 今こそ、小田野直武展の開催が望まれます!

 
 さて、それぞれの小説の感想を、サラッと。
 小室千鶴子さんの 『小田野直武―解体新書を描いた男』 は、3冊の中では、一番のドロドロ系。
 女性作家の作品だから?
 とにかく、登場人物の誰もが、心の底に渦巻くものを抱えています。
 小田野直武がどうこうと云うよりも、人という生き物をキライになりそうな小説です (笑)
 ただ、3冊の中では、一番、小田野直武の絵師としての信念のようなものが描けていた気がします。


 続いて、城野隆さんの 『風狂の空 平賀源内が愛した天才絵師』 。
 登場人物がイイ人すぎず、悪い人すぎず。
 3冊の中で、一番バランスは良かった小説です。
 ただ、おざなりなラストに、あれれ?
 3冊の中で、一番、読み終わって何も残らなかった小説です (笑)
 主人公を小田野直武にして、作者は、何を描きたかったのか??


 そして、野村敏雄さんの 『源内が惚れこんだ男―近世洋画の先駆者・小田野直武』
 3冊の中では、一番爽やか!
 基本的に、登場人物、みんなイイ奴!!
 読み心地はいいですが、内容が薄い気も (笑)


 総じての感想は、もっと面白い小田野直武小説を描ける作者を引き続き募集中です
スター スター ほし ほし ほし(星2つ)」


~小説に登場する名画~

《東叡山不忍池図》

アートテラー・とに~の【ここにしかない美術室】-東叡山不忍池図


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