三井記念美術館で開催中の “ホノルル美術館所蔵 「北斎展」” に行ってまいりました。
アジア美術の所蔵で、世界的にも有名なホノルル美術館。
その中でも浮世絵コレクションは、特に名高く、実に、約10000点も所蔵しているそうです。
そんなホノルル美術館が誇る浮世絵コレクションの中でも、
広重作品に関しては、これまでに何度も里帰り展が企画されていたのだそうですが。
なぜか、ホノルル美術館が所蔵する北斎作品は、里帰りしたことがなかったのだとか!
北斎は、広重の永遠のライバル。
きっと草葉の陰で、相当に悔しがっていたはずです。
そして、2012年。
ようやくホノルル美術館の北斎コレクションが、まとまって来日。
ここに、初となる “ホノルル美術館所蔵 「北斎展」” が開催されたわけです。
北斎は、きっと草葉の陰で、嬉し涙を流していることでしょう。
さてさて、今回の美術展は、
「Ⅰ.揃物の名品」 と 「Ⅱ.北斎の生涯と画業」 の2本柱で構成されています。
「Ⅰ.揃物の名品」 では、文字通り、揃物の名品が紹介されています。
具体的に云えば、シリーズものの浮世絵が、不足のない状態で揃っているということ。
確かに、床屋さんや喫茶店に行って、
『美味しんぼ』 の8巻だけ無いとか、萎えますからね。
やはり、シリーズものは、全部揃った状態で観たいところです。
《冨嶽三十六景 江都駿河町三井見世略図》 や、
《冨嶽三十六景 山下白雨》
で、お馴染みの 《冨嶽三十六景》 シリーズだけは、
残念ながら、2点ほど足りないそうですが。
《琉球八景 長虹秋霽》
こちらの 《琉球八景》 シリーズをはじめ、
《諸国名橋奇覧》 シリーズ、《諸国瀧廻り》 シリーズ、《詩哥写真鏡》 シリーズなどは、完全コンプリート状態。
よくぞ集めたものです。
コンプガチャでなくて、良かったです (←?)
・・・・・ただ。
せっかく全コンプリートされているのに、
前後期で、綺麗に半々しか、出展されないと云うのは、どうなのでしょう??
結局、前期行っても、後期行っても、
全部がまとまった状態では観れないわけで。。。
せっかく、 「Ⅰ.揃物の名品」 を謳うのでしたら、
例えば、前期に、 《琉球八景》 シリーズを全部、
後期に、 《諸国名橋奇覧》 シリーズを全部、とまとめて展示した方が良かったのでは?
それぞれを、半分ずつ観られてお得、
という考えの方もいらっしゃるでしょうから、一概には言えませんが。
僕個人としては、揃物なら、すべて揃った状態で観たかったです。
美術展後半の 「Ⅱ.北斎の生涯と画業」 でも、
そこまで目を引くような名品には出合えず・・・・・。
これまで、ホノルル美術館の北斎コレクションが、
まとまって来日しなかった理由が、なんとな~くわかった気がしました。
唯一、目を引かれたのが、 《游亀》 という一枚。
亀が気持ちよさそうに泳いでいるさまに、思わずニンマリ。
ゆっくりと泳ぐ、その速度まで、描かれているような気がしました。
また、サラッと描かれていますが、波立つ様の描写が、抜群に巧い。
波だった水面がレンズの役割を果たし、
亀の尻尾を拡大している様子まで、きちんと描かれています。
その類い稀なる北斎の観察眼に、唸らされました。
この一枚を観れただけでも、美術展に行った甲斐があったというものです。
もし、近い将来、ハワイに行く機会があったとしても、
わざわざ北斎を観るために、ホノルル美術館に行くことはないでしょうからね。
(ダイヤモンド・ヘッドやワイキキ・ビーチを優先します)
都内で観れて、本当に良かった。
美術ブログのランキングにご協力をお願いします。
↧
ホノルル美術館所蔵 「北斎展」
↧