アートテラー・とに~が信じる美術に関する説を検証していく企画 『水曜日のアートテラー』。
突然ですが、皆様は、美術館にクレームをつけたことはありますか?
美術館がより良い施設になるためには、愛のあるクレームは必要だと思いますが。
テレビ界と同じく、過度のクレームが、逆に美術館をつまらなくしている気がしてなりません。
そこで、そんな美術館へのクレームに関する説を持ってきました。
この手のクレームを言っている人を、よく見かけます。
というか、僕も美術館で喰らったことがあります。
「静かにしろ!」 と声を荒げている人のほうが、よっぽどうるさい気がするのですが。。。
ともあれ、このクレームが一番多いのではないでしょうか。
そこで、まずは、都内の20館の美術館にクレームに関するアンケートを依頼。
そのうち17館が匿名を条件に、「美術館に寄せられるクレームTOP3」 を回答くださいました。
今回は、その回答をもとに、「美術館に寄せられるクレームランキング」 を作成。
「他のお客がうるさい!」 が1位なら、説立証となります。
果たして、どんなクレームがランクインするのでしょうか?
「美術館に寄せられるクレームランキング」 第5位
「道順がわかりづらい!」 5票
最寄り駅から徒歩10分以上かかる美術館のほとんどが喰らっているのが、このクレーム。
道順がわかりづらいのだから、街中に看板を多く設置して欲しいとの注文も。
HPで道中の写真を掲載するなど、きちんと対応している美術館もありますが、
クレームをつける人々は、そもそも、HPをきちんとチェックしないようです。
「美術館に寄せられるクレームランキング」 第4位
「会場が寒すぎる!」 6票
展示室の温度は低めに設定されているのは、作品保護の観点からすれば、致し方のないこと。
しかし、「人間よりも美術作品のがエラいのか!」 と怒られることも、しばしばなのだとか。
「美術品が冷凍保存だと初めて知りました」 というシニカルなクレームもあったそう。
「美術館に寄せられるクレームランキング」 第2位
「会場が暗すぎる!」 7票
2位は、7票で同率。
展示室の照度も、作品保護の観点から低めに設定されています。
会場が暗すぎて、作品がよく見えなかった。
会場が暗すぎて、キャプションの文字がよく見えなかった。
だから、入館料を返してほしいと詰め寄られたことがある美術館も。
「美術館に寄せられるクレームランキング」 第2位
「スタッフに注意されて、不愉快!」 7票
スマホを出しただけで監視員に注意されたのが、不愉快。
鉛筆を持っていたのに、ペンを出しただけで監視員に注意されたのが、不愉快。
風邪気味だから飴を舐めていただけで監視員に注意されたのが、不愉快。
注意を促すと、倍返しでクレームが戻ってくるようです。
特に、「触ってないのに、触らないでくださいと言われた!」 というクレームが多いよう。
いやいや、実際に触られてしまったら、もう取り返しがつかないのです。
そのための注意。
また、こんなケースも。
展示室内で駆け回っていたお子さんに、「走らないでね」 と声掛けすると、
その母親は、「うちの子は自由にさせているので注意しないで!」 と逆ギレ。
「公共の場なのに走ったらいけないなんて馬鹿げている。うちの子が迷惑かけるわけがない!」
と、交代が来るまで、監視員に絡み続けたそうです。
『本当にあった怖い話』 よりも怖いです。
いよいよ第1位の発表ですが、その前に。
アンケートで回答頂いたレアケースのクレームの数々を紹介いたしましょう。
「前の人の香水がきついから、空気を全部取り替えてほしい!」
「終わるまで、私はここで待っています」 と言われたそうな。
同じく空気関連のクレーム。
混雑している展示室の真ん中に連れて行かれて、
「空気が薄いだろ!なんとかしろ!」と言われた学芸員さんも。
何とかできるものなのか?
学芸員さんはつらいよ、なクレームはいろいろありましたが。
特にキツかったのが、
「展示と展示の間にお休みが入るのは怠慢だ!」 というクレーム。
そのクレーマー曰く、「展示替えは夜して、翌日は開けろ!」 とのことです。
ちなみに、今回寄せられた回答の中で、もっとも理不尽なクレームが、こちら。
「警備員の顔が馬鹿っぽくてムカついた」
・・・・・どうしたらいいのか。整形?
それでは、ランキングに戻りまして、
栄えある 「美術館に寄せられるクレームランキング」 第1位 は・・・
「他のお客がうるさい!」 10票
堂々の10票。
実に半数以上の美術館が、この手のクレームを喰らっていました。
最近では、話し声だけでなく、スマホのシャッター音も、その対象となっているそうです。
さて、美術館ではその対策として、
大きな声で話している方には、監視員さんが注意を促しているとのこと。
しかし、とある美術館では、こんな事例も。
“話し声を注意したら、
「静かにしろと言われたので気分が悪くなった。訴える!」 とお帰りになった方がいました。”
注意をしなければ、クレーム。
注意をしても、また別の人からクレーム。
監視員さんは、こんな板挟みと戦っていたのですね。
もっと優しい気持ちで接してあげて頂きたいものです。
美しい作品を鑑賞して、心が綺麗にならないものか。
愛や平和を象徴する作品を鑑賞して、心が穏やかに、人に寛容にならないものか。
そういう人は、美術を通じて、何を得たのでしょう?
ちなみに、僕個人の意見として。
美術館は敷居が高い、美術館は面白くない。
一般の人の多くが、そう感じている一要因は、
「美術館は静かであるべし!」 という考え方を押し付けてくる人の存在にあると思っています。
例えば、映画や観劇中は、なるべく会話は控えるべきです。
でないと、台詞が聞こえないからです。
また例えば、図書館も静謐であるべきでしょう。
なぜなら、読書や勉強に集中したい人が多くいるからです。
では、動物園や水族館、物産展は?
僕はそれらを一度も静かに観たことがないですし、
会話をしたからと言って、他のお客さんに咎められたことはありません。
かつての美術館も、そういう場所だったはず。
美術館は静謐な空間であるべきとは、一体誰のどこの常識なのでしょうか。
とは言え、美術の楽しみ方は人それぞれです。
静かに鑑賞するのがベスト。その考え方は、否定しません。
でも、会話を楽しみながら鑑賞するのがベストという方もいるのです。
「うるさい」「うるさくない」 の2段階で判断するのではなく、
「うるさい」「まぁまぁうるさい」「うるさくない」 の3段階にして、
「うるさい」 と感じた時にだけ、注意するのではダメですか?
どうしても静かな環境がお好みなら、耳栓を持参して、
それでもうるさいと感じた時だけ、注意するのではダメですか?
もし、どちらも許容できないというのであれば、
絶対に会話禁止の美術館を自分のお金で作って頂ければ幸いです。
その美術館を訪れる際は、さすがに僕も一言も喋りません。
もちろん、美術館で会話を楽しみたい人も、
静かに鑑賞したい人に配慮をするのはマナーです。
「美術館で会話をするときは、静かな声で。」
「美術館で会話をするときは、自分の50%の大きさの声で。」
いや、もっとしっくりくる言い回しを、
連日のワイドショーを見ている際に発見してしまいました。
「美術館で会話をするときは、自分が持っている一番優しい声で。」
クレームを掘り下げると、闇が深かった。
そして、なんだか真面目な記事になってしまった。
なお、この記事に対するクレームは、受け付けておりません。
1位を目指して、ランキングに挑戦中!(現在7位です)
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突然ですが、皆様は、美術館にクレームをつけたことはありますか?
美術館がより良い施設になるためには、愛のあるクレームは必要だと思いますが。
テレビ界と同じく、過度のクレームが、逆に美術館をつまらなくしている気がしてなりません。
そこで、そんな美術館へのクレームに関する説を持ってきました。
この手のクレームを言っている人を、よく見かけます。
というか、僕も美術館で喰らったことがあります。
「静かにしろ!」 と声を荒げている人のほうが、よっぽどうるさい気がするのですが。。。
ともあれ、このクレームが一番多いのではないでしょうか。
そこで、まずは、都内の20館の美術館にクレームに関するアンケートを依頼。
そのうち17館が匿名を条件に、「美術館に寄せられるクレームTOP3」 を回答くださいました。
今回は、その回答をもとに、「美術館に寄せられるクレームランキング」 を作成。
「他のお客がうるさい!」 が1位なら、説立証となります。
果たして、どんなクレームがランクインするのでしょうか?
「美術館に寄せられるクレームランキング」 第5位
「道順がわかりづらい!」 5票
最寄り駅から徒歩10分以上かかる美術館のほとんどが喰らっているのが、このクレーム。
道順がわかりづらいのだから、街中に看板を多く設置して欲しいとの注文も。
HPで道中の写真を掲載するなど、きちんと対応している美術館もありますが、
クレームをつける人々は、そもそも、HPをきちんとチェックしないようです。
「美術館に寄せられるクレームランキング」 第4位
「会場が寒すぎる!」 6票
展示室の温度は低めに設定されているのは、作品保護の観点からすれば、致し方のないこと。
しかし、「人間よりも美術作品のがエラいのか!」 と怒られることも、しばしばなのだとか。
「美術品が冷凍保存だと初めて知りました」 というシニカルなクレームもあったそう。
「美術館に寄せられるクレームランキング」 第2位
「会場が暗すぎる!」 7票
2位は、7票で同率。
展示室の照度も、作品保護の観点から低めに設定されています。
会場が暗すぎて、作品がよく見えなかった。
会場が暗すぎて、キャプションの文字がよく見えなかった。
だから、入館料を返してほしいと詰め寄られたことがある美術館も。
「美術館に寄せられるクレームランキング」 第2位
「スタッフに注意されて、不愉快!」 7票
スマホを出しただけで監視員に注意されたのが、不愉快。
鉛筆を持っていたのに、ペンを出しただけで監視員に注意されたのが、不愉快。
風邪気味だから飴を舐めていただけで監視員に注意されたのが、不愉快。
注意を促すと、倍返しでクレームが戻ってくるようです。
特に、「触ってないのに、触らないでくださいと言われた!」 というクレームが多いよう。
いやいや、実際に触られてしまったら、もう取り返しがつかないのです。
そのための注意。
また、こんなケースも。
展示室内で駆け回っていたお子さんに、「走らないでね」 と声掛けすると、
その母親は、「うちの子は自由にさせているので注意しないで!」 と逆ギレ。
「公共の場なのに走ったらいけないなんて馬鹿げている。うちの子が迷惑かけるわけがない!」
と、交代が来るまで、監視員に絡み続けたそうです。
『本当にあった怖い話』 よりも怖いです。
いよいよ第1位の発表ですが、その前に。
アンケートで回答頂いたレアケースのクレームの数々を紹介いたしましょう。
「前の人の香水がきついから、空気を全部取り替えてほしい!」
「終わるまで、私はここで待っています」 と言われたそうな。
同じく空気関連のクレーム。
混雑している展示室の真ん中に連れて行かれて、
「空気が薄いだろ!なんとかしろ!」と言われた学芸員さんも。
何とかできるものなのか?
学芸員さんはつらいよ、なクレームはいろいろありましたが。
特にキツかったのが、
「展示と展示の間にお休みが入るのは怠慢だ!」 というクレーム。
そのクレーマー曰く、「展示替えは夜して、翌日は開けろ!」 とのことです。
ちなみに、今回寄せられた回答の中で、もっとも理不尽なクレームが、こちら。
「警備員の顔が馬鹿っぽくてムカついた」
・・・・・どうしたらいいのか。整形?
それでは、ランキングに戻りまして、
栄えある 「美術館に寄せられるクレームランキング」 第1位 は・・・
「他のお客がうるさい!」 10票
堂々の10票。
実に半数以上の美術館が、この手のクレームを喰らっていました。
最近では、話し声だけでなく、スマホのシャッター音も、その対象となっているそうです。
さて、美術館ではその対策として、
大きな声で話している方には、監視員さんが注意を促しているとのこと。
しかし、とある美術館では、こんな事例も。
“話し声を注意したら、
「静かにしろと言われたので気分が悪くなった。訴える!」 とお帰りになった方がいました。”
注意をしなければ、クレーム。
注意をしても、また別の人からクレーム。
監視員さんは、こんな板挟みと戦っていたのですね。
もっと優しい気持ちで接してあげて頂きたいものです。
美しい作品を鑑賞して、心が綺麗にならないものか。
愛や平和を象徴する作品を鑑賞して、心が穏やかに、人に寛容にならないものか。
そういう人は、美術を通じて、何を得たのでしょう?
ちなみに、僕個人の意見として。
美術館は敷居が高い、美術館は面白くない。
一般の人の多くが、そう感じている一要因は、
「美術館は静かであるべし!」 という考え方を押し付けてくる人の存在にあると思っています。
例えば、映画や観劇中は、なるべく会話は控えるべきです。
でないと、台詞が聞こえないからです。
また例えば、図書館も静謐であるべきでしょう。
なぜなら、読書や勉強に集中したい人が多くいるからです。
では、動物園や水族館、物産展は?
僕はそれらを一度も静かに観たことがないですし、
会話をしたからと言って、他のお客さんに咎められたことはありません。
かつての美術館も、そういう場所だったはず。
美術館は静謐な空間であるべきとは、一体誰のどこの常識なのでしょうか。
とは言え、美術の楽しみ方は人それぞれです。
静かに鑑賞するのがベスト。その考え方は、否定しません。
でも、会話を楽しみながら鑑賞するのがベストという方もいるのです。
「うるさい」「うるさくない」 の2段階で判断するのではなく、
「うるさい」「まぁまぁうるさい」「うるさくない」 の3段階にして、
「うるさい」 と感じた時にだけ、注意するのではダメですか?
どうしても静かな環境がお好みなら、耳栓を持参して、
それでもうるさいと感じた時だけ、注意するのではダメですか?
もし、どちらも許容できないというのであれば、
絶対に会話禁止の美術館を自分のお金で作って頂ければ幸いです。
その美術館を訪れる際は、さすがに僕も一言も喋りません。
もちろん、美術館で会話を楽しみたい人も、
静かに鑑賞したい人に配慮をするのはマナーです。
「美術館で会話をするときは、静かな声で。」
「美術館で会話をするときは、自分の50%の大きさの声で。」
いや、もっとしっくりくる言い回しを、
連日のワイドショーを見ている際に発見してしまいました。
「美術館で会話をするときは、自分が持っている一番優しい声で。」
クレームを掘り下げると、闇が深かった。
そして、なんだか真面目な記事になってしまった。
なお、この記事に対するクレームは、受け付けておりません。
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