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Channel: アートテラー・とに~の【ここにしかない美術室】
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歌麿大作「深川の雪」と「吉原の花」 ―138年ぶりの夢の再会―

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長らく所在不明になっていた喜多川歌麿の晩年の肉筆画 《深川の雪》 が、
岡田美術館によって再発見されたのは、今から数年前のこと。

喜多川歌麿「深川の雪
喜多川歌麿 《深川の雪》(部分) 享和2~文化3年(1802~06)頃 198.8×341.1㎝ 岡田美術館蔵


歌麿の幻の大作が約60年ぶりに公開されるというニュースは、多くの美術ファンに衝撃を与えました!《深川の雪》 を一目見ようと、多くの方が岡田美術館に詰めかけたそうです。
なんでも、ピーク時には箱根の山に渋滞が出来たとか出来なかったとか。
歌麿人気の高さを実感させられるエピソードです。


さて、今年2017年。
岡田美術館から、またまた衝撃的なニュースが発表されました。
実は、《深川の雪》 は、歌麿が描いた 「雪月花」 三部作の一つ。
その三部作の 「花」 に当たり、今はアメリカの美術館が所蔵している 《吉原の花》 が・・・

喜多川歌麿「吉原の花
喜多川歌麿 《吉原の花》 寛政3~4年(1791~92)頃 186.7×256.9cm ワズワース・アセーニアム美術館蔵


なんと岡田美術館にやってくることになったのです。
《深川の雪》《吉原の花》 が日本で並んで展示されるのは、実に138年ぶり!

奇跡
(注:館内の写真撮影は、特別に許可を頂いております。)


まさに奇跡の2ショット。
「これを見ずに死ねるか!」 と言い切っても過言ではない光景が、今、箱根にあります。
岡田美術館に行ったことがある方はもちろん行くべし!
岡田美術館に行ってみようと思ってるけど、
なかなか行く機会がなくて・・・という方は、間違いなく今回がその機会です。
星星星
そんな特別展 “歌麿大作「深川の雪」と「吉原の花」―138年ぶりの夢の再会―” は、10月29日まで。
会期中は無休です!


さてさて、2つの大作を見比べてみて、
まず真っ先に感じたのが、「なんて、《吉原の花》 は華やかなんだ!」 ということ。
ダジャレではないですが、《吉原の花》 には、圧倒的な 「華」 があります。
それに対して、《深川の雪》 はしっとりとした美しさ。
《吉原の花》 は、セレブのパーティーっぽい感じで、
《深川の雪》 からは、演歌の世界観に通ずるような印象を受けます。
それぞれがアメリカと日本で所蔵されていることに、妙に納得させられました。
どちらの大作にも、美人がこれでもかと描かれていますが、
《吉原の花》 にも、《深川の雪》 にも、残念なフェイスの女性も描きこまれています。
たぶん、彼女らは絵の中の美人の引き立て役。
江戸時代にもマウンティング地獄はあったのですね。


ちなみに、叶うのであれば、「雪月花」 三部作すべてが揃った光景が観たかったところですが。
「月」 にあたる 《品川の月》 を所蔵しているアメリカのフリーア美術館は、
コレクションの館外貸し出しを禁止しているため、残念ながら、日本での三部作揃い踏みは実現せず。
とはいえ、その代わりに、
原寸大の高精細複製画が展示されていたので、雰囲気は充分に味わえました。

会場
会場


この3点 (実質2点) を観るだけでも箱根に行く価値は、大いにありますが。
さすがは、東洋・日本美術の殿堂 “岡田美術館”。
他にも名品がたっぷりと展示されています。

例えば、同じく歌麿による肉筆画 《三美人図》

三美人図
喜多川歌麿 《三美人図》(部分) 寛政年間(1789~1801) 岡田美術館蔵


そして、こちらも歌麿による肉筆画 《芸妓図》 です。

撃
喜多川歌麿 《芸妓図》(部分) 享和2年(1802)頃 岡田美術館蔵


実は、歌麿の肉筆画は相当少なく、
現在世界で確認されているのは、約40点ほどしかありません。
言うなれば、ほぼフェルメールに匹敵するレアさ。
そのうちの4点が、今、岡田美術館に集結しているわけです。
やはり今行くしかありません!


もちろん歌麿以外の絵師の美人像も充実しています。
葛飾北斎による肉筆美人画や、

北斎


琳派の美人画、

琳派
伊年印 《絵合図(源氏物語図屏風断簡)》 江戸時代前期 17世紀前半 岡田美術館蔵


さらには、紀元前の美人 (?) である 《土偶》 も紹介されていました。
(僕にはジミー大西にしか見えませんでしたが)

土偶
《土偶》 縄文時代晩期 岡田美術館蔵



個人的にイチオシの美人画は、狩野秀頼の 《霊照女図》 です。

霊昭女図
狩野秀頼 《霊照女図》 室町時代末期~桃山時代 岡田美術館蔵


目鼻立ちがハッキリしていて、わりと今風の美人。
と言っても、現代的ではなく、ちょっと昔の美人といった感じでしょうか。
昭和の朝ドラ女優っぽい。




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