現在、埼玉県立近代美術館では、“遠藤利克展―聖性の考古学” という展覧会が開催されています。
こちらはヴェネツィア・ビエンナーレやドクメンタなど、
国際的に活躍する彫刻家・遠藤利克さんの大規模な個展です。
遠藤利克さんの大規模な個展が関東で開催されるのは、実に26年ぶりとのこと。
早速、行ってまいりました。
いつものように埼玉県立近代美術館の入り口を抜け、1階のロッカーに荷物を入れ、階段を上がって、
2階の企画展示室へと向かおうとしたところ、想像だにしなかった光景が目の前に飛び込んできました。
「!!!!!」
あまりのことに思考がフリーズ。
高さ約1.5m。
直径約3.7m。
展示室の手前、階段を上がったすぐのスペースに、
早速、遠藤利克さんの巨大な彫刻作品 《空洞説―円い沼》 がドーンと置かれていたのです。
作品の表面は、完全に焼け焦げ。
ほのかに焦げた匂いがします。
と、もちろん火事の被害に遭ったわけではなく、これこそが遠藤作品の代名詞。
造形物が全面的に燃やされることで、彼の作品は完成するのです。
ちなみに、制作風景はこんな感じ。
美術品を制作しているとは、とても思えない光景です。
場所もどこなのでしょう?
戦隊モノのロケをするところ??
と、会場に入る前から、いきなり衝撃を受けたわけですが。
会場の中では、もっともっと衝撃を受けました。
さらに一回りも二回りも大きな 《空洞説》 シリーズの作品に、
(注:館内の写真撮影は、特別に許可を頂いております。)
長さ約20メートルの巨大な柱状の作品 《泉》 に、
巨大な水路の一部の表面が黒焦げにされた作品に。
それらの作品が目の前に現れるたびに、思わずハッとさせられます。
心臓がギュッと掴まれる感じといいましょうか。
“燃える” ということから、火事や事故、もしくは、火葬を連想。
直観的に無意識に、「死」 をイメージしているのかもしれません。
人ひとりが軽く入れる柩を燃やした作品 《寓話ⅴ―鉛の柩》 なんかは、その典型例でした。
ただその一方で、キャンプファイヤーや後夜祭の後のイメージも。
どこかノスタルジックな印象も受けました。
また、お護摩ご祈祷のような何かしらの儀式のイメージもあります。
どこか崇高で畏怖的な印象も受けるのです。
巨大な作品を燃やしただけ・・・と行為自体は、とてもシンプルなのですが。
遠藤さんの作品から受ける印象は、いろいろ交じり合って実に複雑でした。
ちなみに、ネタバレ禁止ということで、画像は掲載しませんが。
これまで紹介した作品以上に、今回の展覧会のために制作した新作は衝撃的です。
作品のある部屋に入った瞬間、
「別の次元にワープしてしまったのでは?」 と、本気で焦ってしまいました。
あの新作で満たされた空間は、もしかしたら、この世とは違う時間が流れていたのかもしれません。
そんなこんなの繰り返しでしたので、展覧会を観終わった後には、かなりグッタリ。
もちろんいい意味で。
僕自身も燃え尽きました (笑)
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遠藤利克展―聖性の考古学
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