現在、原美術館では、“田原桂一「光合成」with 田中泯” という展覧会が開催されています。
(注:館内の写真撮影は、特別に許可を頂いております。)
展覧会の主役は、2人。
一人は、木村伊兵衛写真賞やフランス芸術文化勲章シュヴァリエをはじめ、
数多くの賞を受賞してきた世界的写真家で、今年6月に逝去した田原桂一さん。
そして、もう一人は、田中泯さん。
『まれ』 のおじいちゃん役や 『龍馬伝』 の吉田東洋など、
最近では、いぶし銀の俳優として、すっかりお茶の間でお馴染みとなっている感はありますが。
もともと田中泯さんは (というか、本人的には今でも) ダンサーです。
今の俳優業での姿からは、あまり想像がつきませんが。
かつては、眉毛から髪の毛まで全身の体毛という体毛を剃り、
体を土色に塗りたくり、ほぼ全裸 (大切な部分は包帯でガード) になって踊っていました。
いぶし銀どころか、超前衛的なダンサーだったのです。
さてさて、今回の展覧会で紹介されているのは、
田原桂一さんが1978年から80年にかけて撮影したそんな前衛ダンサー時代の田中泯さんの姿。
全身像はほとんどなく、基本的には田中泯さんの一部がクローズアップされています。
それゆえに、田中泯さん感は全くなし。
観れば観るほど、田中泯さんどころか人にも見えなくなっていきます。
観れば観るほど、何を映している写真なのか、段々とわからなくなっていきました。
白昼夢でも見ているかのような感覚に陥ります。
未知の粘体生物のようにも見えますし、
そういうオブジェのようにも見えますし。
いや、それよりも、アマゾンの奥地で発見された新種の植物のようにも見えてきました。
「あっ、だから、タイトルが光合成なのか!」
そうそう、不思議と言えば、作品をしばらくじーっと見つめていると、
どこからか田中泯さんの息遣いが聞こえてくるようでした。
シューシューだったり、スーッスーッだったり、ハァハァだったり。
(注:これはあくまで僕の脳内での出来事です。田中泯さんは変態ではありません)
そんな息遣いが、館内のあちこちから聞こえてくるのです。
原美術館は、今、田中泯さんの巣窟と化しています。
(注:くどいようですが、これはあくまで僕の脳内での出来事です。田中泯さんはクリーチャーではありません)
酸素濃度の濃い展覧会でした。
ちなみに、ギャラリーⅢの一室では、昨年撮影された新作5点が初公開されています。
田中泯さんの変わらなさ、歳の取らなさにビックリ。
本当に、光合成して生きているのかもしれません。
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田原桂一「光合成」with 田中泯
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