今年2017年は、「二科会のドン」 と称され、
俗に 「東郷様式」 と呼ばれる独特のスタイルでお馴染みの東郷青児の生誕120年の節目の年。
それを記念して、日本全国を4会場巡回する東郷青児の大回顧展、
“生誕120年 東郷青児展 抒情と美のひみつ” が開催されています。
もちろん東郷青児の名を冠する東郷青児記念 損保ジャパン日本興亜美術館も、その会場の一つです。
(注:館内の写真撮影は、特別に許可を頂いております。)
東郷青児記念 損保ジャパン日本興亜美術館には、
「毎回、展示室のレイアウトを同じにしがち」 という “あるある” がありますが。
今回は、いつもと違うレイアウトになっていました。
そんなところからも、東郷青児記念 損保ジャパン日本興亜美術館の本気が感じられます。
展覧会には、お菓子の包装紙のイメージが強い、
これぞ東郷青児、“ザ・東郷様式” な代表作も数多く紹介されていましたが。
《若い日の思い出》 1968年 油彩・キャンヴァス 145.6×97.2cm 損保ジャパン日本興亜
《紫》 1939年 油彩・キャンヴァス 129.6×79.7cm 損保ジャパン日本興亜
東郷青児が東郷青児となる前 (←?)、
いうなれば、東郷青児のエピソード0とでもいうべき、初期の作品も紹介されていました。
《コントラバスを弾く》 1915年 油彩・キャンヴァス 153.0×75.4cm 東郷青児記念 損保ジャパン日本興亜美術館
当時、イタリアで流行していた未来派スタイルを取り入れた、実に前衛的な作品。
カッコいいですが、お菓子の包装紙には採用されそうもありません。
(ルミネセールのポスターに採用されそうです)
また、とある温泉を飾っていたモザイクタイルを再現した作品や、
《裸婦》 1952年 モザイクタイル絵 164.0×121.0cm INAX ライブミュージアム(PART OF LIXIL)
とある百貨店の壁画として描かれた、11歳上の藤田嗣治との競作など、
《山の幸》 1936年 油彩・キャンヴァス 173.0×173.8cm シェラトン都ホテル大阪
東郷青児の激レアな作品の数々も、一堂に集結していました。
新たな東郷青児の魅力に気づくこと請け合い。
東郷青児のファンは当然として、
「えー、東郷青児?もう見飽きたよー」 という方にこそ、オススメの展覧会です。
さてさて、かくいう僕自身が、
まさに、「えー、東郷青児?もう見飽きたよー」 状態だったのですが (笑)
今回の展覧会を通じて、しぶしぶと・・・、
もとい、マジマジと鑑賞したことで、さまざまな気づきを得ることができました。
特に強く印象に残ったのが、髪の毛の表現。
《バイオレット》 1952年 油彩・キャンヴァス 108.4×80.0cm 損保ジャパン日本興亜
これまでは、少し離れたところから、
「うん。東郷青児のよくある美人画ね」 と、サラッと眺めるだけだったので気づきませんでしたが。
近づいてよーく観てみると、髪の毛はただの白一色なのではなく、
髪の毛のウェーブが、刷毛目を巧く使って丁寧に表現されていました。
他にも、髪の毛の部分にラメが入っているような表現の絵があったり、
絶妙で繊細なグラデーションで丸みを帯びた立体感を表現していたり。
細部の細部まで、職人技が施されています。
絵画というよりも、もはや工芸品のような印象でした。
これまで、サラッと眺めるだけだった自分を反省です。
と、心を入れ替えて、東郷青児作品を鑑賞した結果、
一つの “あるある” にも気が付くことが出来ました。
《超現実派の散歩》 1929年 油彩・キャンヴァス 64.0×48.2cm 東郷青児記念 損保ジャパン日本興亜美術館
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生誕120年 東郷青児展 抒情と美のひみつ
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