今年の頭に、マティスとルオーの友情に焦点を当てた展覧会を開催したパナソニック 汐留ミュージアム。
この秋は、カンディンスキーとルオーとの接点にスポットを当てた展覧会を開催しています。
その名も、“表現への情熱 カンディンスキー、ルオーと色の冒険者たち” 。
(注:館内の写真撮影は、特別に許可を頂いております。)
「カンディンスキーとルオー??」
かたや、ロシア出身でいわゆる “熱い抽象” で知られる抽象絵画のパイオニア。
ヴァシリー・カンディンスキー 《活気ある安定》 1937年 宮城県美術館蔵
かたや、フランス出身で絵の具モリモリな絵肌が特徴的な20世紀最大の宗教画家。
ジョルジュ・ルオー 《降誕》 1953年 ジョルジュ・ルオー財団蔵
国も違えば、作風も画題も違う。
接点なんか、どこにも無いような気がします。
とは言え、展覧会を開催するからには、
“マティスとルオーの時みたいに、
カンディンスキーとルオーの間にも、意外な交流があったんだろうなァ”
と、点と点が結ばれるのを期待していたのですが・・・・・
ほとんど接点はなかったです。やっぱり。
若い時に同じ展覧会に出展していたという接点はありましたが。
そのあとに紹介されていたのは、同じような時代に、
同じように色彩の激しい絵を描いていたというトピックでした。
接点と言えなくもないけど、接点とは言い難い。
色で言えば、まるで玉虫色のような感じです。
というわけで、個人的には、2人の接点がどうのはさておいて、
カンディンスキーとルオー、ときどきクレーの展覧会として勝手に楽しんでました。
(2人と関わりの深い画家として、クレーも大きく取り上げられていました)
それぞれ国内外から名品がやってきているので、それぞれ見ごたえあり。
まるで、主人公が3人いるオムニバスのような展覧会として楽しめました。
個人的に一番印象に残っているのは、初期のカンディンスキー作品です。
ヴァシリー・カンディンスキー 《商人たちの到着》 1905年 宮城県美術館蔵
まだ抽象表現には至っていませんが。
その片鱗は、チラホラ。
画面中央の群衆が、無数の色の点で表現されていますし、
城がそびえ立つ丘も、やはり無数の色の点で表現されています。
クローズアップして観てみると、カラフルな抽象画のようでした。
また、クレーの珍しい初期の作品も強く印象に残っています。
どことなくジョジョ。
どことなく荒木飛呂彦です。
こんなモノクロで不穏な画風の時代もあったのですね。
それと、主役の3人の作品ではないですが、
ガブリエーレ・ミュンターの作品も印象的な一枚です。
ガブリエーレ・ミュンター 《抽象的コンポジション》 1917年 横浜美術館蔵
彼女は、一時期カンディンスキーと恋人の関係にあったとのこと。
その出会いは、美術学校の担当教師と生徒だったのだとか。
生徒に手を出すなんて、カンディンスキーこのこのぉ。
抽象的と言いながら、ちゃっかり画面の左に、
ハートマークを描いているミュンターの浮かれっぷりが気になります。
リア充め。
しかし、何と言っても、今回一番インパクトが強かったのは・・・
画面右のエーリッヒ・ヘッケルという画家の作品です。
裸でアンバランスな女性が、口元を抑えています。
えっ、吐くの??
じーっと見てると、自分まで戻しそうになってしまいます (←?)。
なんとも不気味な人物だと思ったら、タイトルは 《木彫りのある静物》 とのこと。
人ではなく、木彫りの彫刻だったのですね。
呪いの偶像にしか見えません。
タワー・オブ・テラーの世界観。
最後に。
今回の展覧会では、美術館では史上初となる自撮りできる記念撮影コーナーが設けられています。
一人で行っても、ちゃんと記念撮影できますよ。
是非、チャレンジしてみてくださいませ。
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表現への情熱 カンディンスキー、ルオーと色の冒険者たち
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